ベートーベンのピアノソナタ第1番は、コンクールや発表会でも人気のある曲です。
タイトルの付いている「悲愴」や「テンペスト」のソナタより知名度は低いものの、簡単すぎず難しすぎないのでベートーベンの曲に挑戦したい人におすすめです!
今回は最終楽章の第4楽章をピックアップしてみました。
テンポが速くとても情熱的で、まさにベートーベン!と分かるような曲なんです。
気になる難易度や、弾き方のポイントをご紹介します♪
難易度は?
このピアノソナタ第1番は、全音のソナタアルバム第2巻にも収録されています。ソナタアルバム第2巻は中級~上級者向けで、この楽譜の曲が弾ければ技術も表現力もかなり身に付きますよ♪
難易度はツェルニーの練習曲30番の後半くらいで、コンクールでは中学1~3年生くらいの子が演奏しています。
テンポが速いので、しっかりした指のコントロール力も必要です。
ハノンの練習曲などで指を慣らしておくと良いでしょう。
また、この曲(第4楽章)は右手にオクターブの和音がたくさん出てくるので、手が小さいと少ししんどいかもしれません。
指を全部使う5和音は特につかみにくいので、しんどい方は一番下の音を省略して弾くというのもアリだと思いますよ!
弾き方のポイントは?
(1:58から再生されます)うーんやっぱりprestissimoだけあってテンポが速いですね!
この3連符の速い伴奏をいかになめらかに、テンポを崩さずに弾くかが重要です。
まずゆっくりのテンポから確実に音を覚えましょう!
(動画1:58~)
2小節目や3小節目に出てくるような赤丸の部分ですが、音が下がっていく時や上がっていく時に指をくぐらせないといけませんね。
これが意外と難しくて、ゆっくりなら弾けてもテンポを上げると指がつっかえてしまいがちです。
手首をねじらせると余分な動きが加わってしまうので、素早く平行移動するような感じで弾いてみてください!
(動画2:09~)
10、11小節目に出てくるトリルは上の楽譜にあるように5連符のようにして演奏します。
ここもテンポが遅くならないように気を付けてくださいね。
(動画2:13~)
13小節目に出てくるような5和音は、前述のとおり手が小さいとしんどいので1番下の音を省略しても大丈夫ですよ。
左手はまた指くぐりが出てくるので、手首を平行移動で頑張ってテンポをキープしましょう。
(動画2:23~)
22小節目から右手にも3連符が出てきます。
左手のメロディーとしっかり拍を合わせて弾きましょう!
(動画2:28~)
26小節目から右手と左手のリズムが異なる、いわゆる「ポリリズム」になり、ちょっとややこしいですね。
タイミングとしては3連符の真ん中の音を弾いたすぐ後に左手の裏拍が入りますが、ゆっくりからだんだんテンポを上げて練習しましょう。
右手の3連符を弾く時のコツですが、4分音符になっているメロディーをしっかり意識してのばします。
(espr.=表情豊かに、とあるのでしっかり歌うように。)
残りの2つの音は「おまけ」くらいに考えて、指を自然に下ろすときの力だけで弾いてくださいね。
(動画2:38~)
34小節目から左手に3連符の伴奏が戻ります。
右手のオクターブはレガートになるように、ペダルの力も借りてつながって聞こえるように演奏します。
dolce ma espress.=優しく、感情をこめて。という意味です。
(動画2:58~)
50小節目からすぐにフォルテにするので、前の小節から心の準備をしておいてくださいね。
また5和音が出てくるので、ここもつかみにくい方は1番下の音を省略しましょう。
(動画3:11~)
61小節目から展開部に入ります。
へ短調の平行調である、変イ長調に転調して明るい雰囲気になりますね。
L’istesso tempoとは同じ速さで、という意味なので今までのテンポをキープします。
この展開部はモーツァルトのソナタのように、軽やかに!爽やかに!演奏しましょう。
(動画3:43~)
89小節目から右手がオクターブになります。
音をつなげるためにペダルを使うと思いますが、左手がベタッと重くならないように気を付けましょう。
(動画4:10~)
111小節目から、再現部へ戻るためのつなぎになります。
転調を繰り返してヘ短調に戻っていくので、和音の移り変わりを感じて演奏しましょう!
(動画4:23~)
122~126小節目に右手がオクターブの「ラ」を繰り返しますが、こういう繰り返すメロディーはベートーベンの曲によく出てきます。
同じような弾き方で繰り返すのではなく、だんだん緊張感が増していく感じで左手のバスのメロディーを意識しましょう。
(動画4:43~)
140小節目から再現部になります。
前の小節のppから急にfになるので、心の準備をしておいてくださいね。
再現部は初めの提示部とは少し違って転調しているので、注意して譜読みしましょう!
(動画5:44~)
191小節目のラストのコーダはmarcatissimo(各音をはっきりと)なので、最後の力を振り絞るように右手の3連符をしっかり演奏してくださいね。
最後の音までffでカッコよく決めましょう!
まとめ
- 難易度は中~上級者向け。テンポが速いのでハノンなどで指のコントロール力をつけましょう♪
- 5和音が届きにくい場合は、1番下の音を省略しましょう♪
- 展開部はモーツァルトのソナタのように軽快に弾きましょう♪
以上がポイントになります♪
テンポが速い方がもちろんカッコよく聞こえますが、ただ速いだけではつまらない曲になってしまいます。
ベートーベン特有の美しいメロディーも散りばめられているので、たっぷり歌って演奏しましょう♪
「ピアノソナタ第1番ヘ短調Op.2-1」の無料楽譜
- IMSLP(楽譜リンク)
本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1919年にリコルディ社から出版されたOp.2-1全楽章のパブリックドメインの楽譜です。第4楽章は15ページからになります。
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