ピアノでクラシック曲を学ぶ場合、バッハの「インベンション」はほぼ通る道ですよね。

インベンションを学んだあとに「シンフォニア」に入る方も多いと思います。

インベンションは右手と左手の2声ですが、シンフォニアになると3声になります。

となると右手か左手でもうひとつの内声を弾かなければいけないので、シンフォニアの方が少し難しくなりますね。


ちなみにインベンションとシンフォニアは、「クラヴィーア」のための曲集としてセットとなっていて、それぞれ15曲、計30曲となっています。

クラヴィーアとは鍵盤楽器のことで、バッハの時代のチェンバロやパイプオルガン、現代のピアノでももちろん演奏されています。

チェンバロでもオルガンでもピアノで弾いてもしっくりくるなんて…

やはりバッハ先生の曲は偉大、そして不思議な魅力がありますね!

今回は曲集の一番最後の曲、シンフォニアの第15番をご紹介します。

■ 目次

難易度は?

インベンションよりシンフォニアの方が難しいといいましたが、実はこの第15番はシンフォニアの中でも易しい方です。

最後の曲ではありますが、実はシンフォニアを学ぶ上で最初の曲として弾かれることが多いんですよ。

理由は他のシンフォニアの曲に比べて、3声の部分が少ないからではないでしょうか。

2声で動く部分が多いので、インベンションを何曲か弾いたことがある方は弾きやすいと思います。

コンクールのレベルでいうと、小学5年~中学1、2年くらいになりますね。

インベンションは弾けるけど、シンフォニアは難しそう…と思っている方でもきっと大丈夫です。ぜひ挑戦してみましょう!

弾き方のコツ


この曲は16分の9拍子という珍しい拍子ですが、
(16分音符×3)×3の3拍子、つまり付点8分音符=1拍と思って演奏しましょう。

テンポは80~90くらいで弾かれることが多いです。
けっこう速いですが、指が転ばないように焦らずゆっくりのテンポから練習しましょう!


バッハ「シンフォニア第15番ロ短調BWV801」ピアノ楽譜1 (動画冒頭~)

冒頭の右手は楽譜のスラーとスタッカートで表現している通り、跳ねるように歯切れよく弾き始めましょう。

左手はスラーのメロディーを一息で歌うようにしっかりと出します。

32分音符の部分は軽やかに、でもテンポが速くならないように気を付けましょう。

6小節目は両手とも32分音符で動くので少し弾きにくいですが、ここがこの曲のテクニックの見せどころでもあります。

後々もこの32分音符の動きが何回か出てくるので、適当に流してしまわず確実に両手をそろえて弾けるようになりましょう!


転ばずに弾けるようになるには、やはりリズム練習が効果的です。

ここでリズム練習の基本、4パターンをご紹介します。

バッハ「シンフォニア第15番ロ短調BWV801」ピアノ楽譜2
6小節目の右手を例に、4パターンのリズムを書いたものです。

長い音の方にアクセントを付けて、まずは片手ずつ、できるようになったら両手でも合わせてみましょう。

色々なパターンのリズムで弾くことで指の柔軟体操になるのと、指のコントロールがしやすくなります。

ぜひ試してみてくださいね♪

バッハ「シンフォニア第15番ロ短調BWV801」ピアノ楽譜3 (動画0:14~)

7~10小節目は右手が2声になります。
タイで伸ばされている音が途中で切れないように、右手でしっかり2声の受け渡しをしましょう。

左手はチェロかコントラバスを弾いているように、低音で全体を支えています。

バッハ「シンフォニア第15番ロ短調BWV801」ピアノ楽譜4 (動画0:23~)

11~13小節目は、右手と左手の受け渡しがスムーズにいくととてもカッコイイところです。

先ほどのリズム練習を参考に、ゆっくりからで良いので右手と左手の息がぴったりと合うように演奏しましょう!


そして注意すべきポイントは28小節目です。

バッハ「シンフォニア第15番ロ短調BWV801」ピアノ楽譜5 (動画1:00~)

下の段がト音記号になっていますね。
この青丸の部分だけ左右交差します。

そして赤丸の「レ」の音が左右かぶっています。
両手で「レ」の鍵盤を弾いても良いですが、弾きにくい場合は左手だけで弾くと良いでしょう。

バッハ「シンフォニア第15番ロ短調BWV801」ピアノ楽譜6 (動画1:05~)

32小節目のフェルマータで伸ばす前は、少しテンポを落としてブレーキをかけます。

33小節目からは元のテンポに戻って、ラストに向けて盛り上げていきましょう。


バッハ「シンフォニア第15番ロ短調BWV801」ピアノ楽譜7 (動画1:20~)

36小節目の右手が3度の和音になる箇所は難しいので、焦らず丁寧に弾きましょう。

最後の2小節は少しブレーキをかけながらだんだん小さくして、丁寧に終わります。

まとめ


・第15番は、シンフォニアに挑戦する初めの曲としてオススメ!
・歯切れよいメロディーとスラーのメロディーを対照的に演奏する!
・32分音符は転ばないように、リズム練習がオススメ!
・声部の受け渡しをスムーズに!左右の息を合わせて演奏する!


以上がポイントになります♪

この曲は全体的に、スラー(レガート)がかかっているメロディーを中心にして、調性の変化も楽しみながら弾くと綺麗にまとまるのではないでしょうか。

テンポを上げるのは少し大変ですが、なめらかに演奏できるように80くらいのテンポを目指して頑張りましょう!


この曲をマスターしたら、他のシンフォニアの曲も挑戦してみてくださいね♪



「シンフォニア」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1840年にペータース社から出版されたパブリックドメインの楽譜です。「シンフォニア」全15曲が収録されており、第15番BWV801は18ページからになります。


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