私がピアノのレッスンを受けていた当時、苦戦した曲ランキングの上位に入るのではないかというレベルで嫌いだった曲です(笑)

テクニカルを要する曲だとか、表現力が重要だとか、そういった曲よりも、「ここはこういう風に弾きたい!」と頭で思っているのになぜかうまく表現できない・・・。
そういう曲が私の中では苦手でした。
・・・もっとも、それは練習不足もあるんでしょうが(笑)

元々ベートーベンの曲を弾くのが割と好きでしたし、この曲自体も「悲愴」の中では一番好きでしたので、弾く前は弾くのが楽しみでした。

自分の中ではかなり気合を入れて練習をしたつもりなのに、自分の主張したい事や先生が言ったことをうまく表現できなくて悩みました。

この曲はたしか発表会かなにかで弾いた曲でしたが、弾いても弾いても納得がいかないまま本番を迎えた気がします。

まさに悲愴感いっぱいで、本番の演奏も自分で納得できるものとは言い難かったのですが、発表会が終わった後弾いてみると、「あれ、なんか上手に弾ける・・・」。
本番が終わって無駄な力が抜けたのか、本番後の方が自分のしたい演奏ができている気がしました。

みなさんもそんな経験はありませんか?

練習を重ねているのであれば必ず実力はついてきます。
でも、余計に悩んだりしてネガティブな気持ちでいたり、焦ってしまうと、本当の実力の半分も出せないのだと思いました。

発表会やコンクールを控えて、うまく弾かなきゃ!練習しなきゃ!と、そればかり考えていると、当時の私のようにスランプに陥ってしまうこともあるかもしれません。

そんな時は一呼吸おいて気分転換したり、ピアノから少し離れることも上達の一歩に繋がるかもしれませんよ♪

話は戻りまして、この曲を機に私は、ヘンレ版の分厚くてちょっと値段が高いベートーヴェンのピアノソナタ集1・2を購入したのですが、「せっかく高い楽譜買ったんだから」と先生もレッスンの課題で使う曲のがますますベートーベンになって困りました(笑)

私もベートーベンと少し距離を置けばもっと彼の曲を好きになれたかもしれないのに・・・。



難易度は?

全音ピースの難易度はD(中級上)となっています。
譜面を見る限りではそこまで難しところはないと思います。

ただ、テンポも速いですし、繊細に弾くところから途端にスフォルツァンドで力強く弾くというような場面も多々出てきますので、気持ちと強弱の切り替えを俊敏に行っていかなければならないという意味では少々難しい曲だと思います。

悲愴感たっぷりに弾きましょう♪


1拍半前から始まる曲ですが、最初から緊張感をもって弾きましょう。
ここの8分音符を上手く弾けるかどうかが全体の雰囲気を左右するといっても過言ではないくらいこの3つの8分音符は重要です。

弾く前からこの曲に入り込み、気持ちを作ります。
そして頭の中でよく音を鳴らして、どのように曲を進めていくのか。つまりどのようにこの3つの8分音符を演奏するのかを考えてから弾きます。

弾く前には短く呼吸を入れるとよいと思います。
そして、この8分音符と4小節目までが一つの固まりというイメージで弾きましょう。

また、私は初めの8分音符から2小節目の2分音符にかけてまでを、指番号で言うと「1.2.3.4⌒3.4.2.3.1」と弾いていました。

少々わかりずらいかもしれませんが、1拍目の付点4分音符は初めは薬指で弾き、中指に変え指をするという方法で弾いていました。

私のヘンレ版の楽譜では初めの8分音符のソ・ドに「1.2」と、1小節目3拍目のレに「3」としか指示が出されていないのですが、楽譜通りではなく、こう弾くことでメロディを歌いやすく、次が弾きやすいのでおすすめです。


5、6小節目の2分音符の前についている装飾音符の頭と左の8分音符の頭を合わせて弾きましょう。


9、10小節目のオクターブの2分音符は、不可能とは知りつつも、弾いてからクレッシェンドをするイメージです。

また、次の4分音符を弾く直前にはデクレッシェンドをするイメージです。
もちろんピアノで実際にそれを表現するのは不可能です(笑)
ただ、そういったイメージで弾いてみましょう。


16小節目は弾く前に指の形を作って弾きます。
2、3拍目のトリルと装飾音符は「レミレドレミ」と弾きます。

ここは横隔膜を広げるイメージで、まるでオーケストラが演奏しているような重厚感のある音で演奏しましょう。


17小節目は悲愴を感じさせるように重苦しく。
18小節からは語りかけるように弾くものの、重苦しい心は変わらずに弾きます。


25小節目からは優しい気持ちで。28小節目の3、4拍目の4分音符はシ♭はスタッカートでラにはスタッカートはついていませんので注意しましょう。


33小節目からは2拍子のようなリズムになります。
レガートはついていませんが、「ラシドシラ」の3連符はレガートを意識して弾きましょう。
その後に出てくる3連符も同様です。


37小節目からは左手も3連符に加わってきます。
3連符に気を取られがちですが、左手の4分休符はしっかり休み、右手の2分音符もしっかり伸ばします。

40小節目の右手はヘンレ版通りの指番号では弾かず、私の場合は「4.1.4.3.2.1.3.2.3.1.4.2」と弾きました。
これはただこの方が弾きやすかったためこうしましたが、参考までにこの指でも弾いてみてください。


44小節目からは急に雰囲気が変わるのですが、ここは自主的に弾くのではなく、曲の流れに押されて音を奏でていくイメージで弾いていました。

前段の3連譜の勢いが収まらず、曲が進んでいくから音も進んでいくように弾いていたので、無駄な力を込めて弾く必要はないと思います。


58小節目は、前の小節からの後押しもありぐんぐん高ぶりを見せて2分音符の頂上を迎えます。

だからと言ってここはリタルダンドをかけたり、デクレッシェンドをして音階を弾くのは違います。
まるで断頭台の刃が躊躇なく落ちてくるかのようにストーンと弾きましょう。


79小節目はまるで悲愴の2楽章を思わせるような優しい響きですね。
まるでチェロとヴィオラが2重奏をしているかのようなイメージで弾いてみましょう。


107小節目からは深く暗い気持ちで歌います。
だんだんクレッシェンドをしていき、111小節目ではフォルテッシモになりますが、ここが頂点ではありません。気持ちはどんどん前に進んでいきます。


113小節目からは再び3連符です。先ほどの16分音符からの気持ちが途切れたり変わったりしないようにして、まだまだ前に進む気持ちは変わらずに弾きます。
3拍目にスフォルツァンドがついていますので、ここは強調して弾きましょう。

そして117小節目に気持ちの頂上です。ここも58小節目同様に弾きます。


そして最初のメロディに戻ってきますが、128小節目から少々変化しています。
132小節目の8分音符は高揚する気持ちを表現するように弾いて、次のメロディに繋げていくように弾きます。


167小節目からは悲愴感でいっぱいの苦しい気持ちを絞り出すように。そして、173小節目からは最初のメロディに戻るので、苦しい気持ちから解放されて前に進むようにして弾きます。


189小節目からは1、3拍目頭の右手をよく聞いて。
そして193小節目に繋がります。
スフォルツァンド一つ一つに体の重みを乗せるように弾きます。


そして198小節目からにかけての音階になっていきますが、ここだけは前回のように弾くのではなく、特に後半の6連符7連符を徹底して聴き、弾きます。


ラストにかけては平和的に終わると思いきや、またもやフォルテッシモで音階を駆け下り終了です。
ここは直前の直前まで気持ちはピアニッシモです。

フォルテッシモの前に2つの4分休符がありますが、ここもまだ気持ちはピアニッシモです。

音階を駆け下りる直前にフッと息を吸い、そこからやっと気持ちを切り替えます。
その方が鋭く雰囲気を変えれるでしょうし、何より、聞いている人を少々驚かすことができると思います(笑)

まとめ

1、最初の8分音符が曲全体の雰囲気を創る!
2、音階は躊躇なく駆け下りる!
3、悲愴感に押しつぶされそうなイメージで!


いかがでしたでしょうか?悲愴と言えば2楽章は弾いたことがあるという人は多いかと思います。そのような人はぜひこの3楽章にも挑戦してみてください!できれば、2楽章との繋がりも併せて感じていただけるとよいかと思います!


「悲愴第3楽章」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1862年にブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版された楽譜(全楽章)です。
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