バッハのイタリア協奏曲は第1楽章が有名ですが、第3楽章も第1楽章と同じヘ長調で、とても明るく華やかな曲です。

バッハなどバロック音楽が好きな人は、1度は挑戦したい曲ではないでしょうか。

この曲はバッハの「クラヴィーア練習曲集」の第2巻に入っている曲で、二段鍵盤のチェンバロで演奏するために書かれました。

バッハの弾き方については色々な解釈がありますし、好みもあるので難しいのですが…

チェンバロで演奏されていたというイメージを残しつつ、現代のピアノでどうやって表現するかという視点で解説したいと思います!

難易度は?

この曲の難易度は一般的には上級レベルに入ります。


楽譜だけ見るとわりと単純に見えるのですが、「弾いてみると意外と難しい!」というバッハの曲にありがちなやっかいな曲です(笑)

バッハを学習している人は、インベンションの次のシンフォニア、つまり3声の曲が弾けるレベルが必要になりますね。

私も以前弾いたことがあるので体験談になりますが…

「とりあえず弾ける」というレベルまではいっても「人前で弾けるレベル」になるにはかなり努力が必要だと感じました。

テンポが速く、ペダルもほぼ使わないのでごまかせないですし、技術というより集中力と体力がいりますね。

脅しているわけではないですよ(笑)
それだけ練習しがいのある曲だということです!

そして弾いているとテンションが上がってくるので、だんだんテンポが速くなってしまうのも難しいところ。

まずはゆっくり確実に音を覚えて、メトロノームを使ってだんだんとテンポを上げていきましょう♪


私のおすすめの楽譜はこちら。



ウィーン原典版が音楽之友社から出版されています。
ウィーン原典版は表紙の赤色がかっこよくて好きです。(そこ?笑)

解説や指番号もきちんと載っていますよ!

もう少しお手頃価格の楽譜が良い方は、全音のピアノピースもありますよ。




全音の楽譜は強弱が細かく書かれているので、自分で曲想を付けたい方は原典版の方が良いかもしれません。

弾き方のコツは?

まず初めに。

二段鍵盤のチェンバロのために書かれたと言いましたが、こんな楽器です。


鍵盤が2段あって、鍵盤の色も白黒逆だし、なんだか不思議な楽器に見えますね。

現代のピアノよりサイズは小さいですが、上鍵盤と下鍵盤を同時に鳴らすことができるので意外と大きな音が鳴ります。

チェンバロで演奏している動画があるので、聴いてみましょう♪

(演奏は0:28~です。)



動画を見ていただいたらお気付きかと思いますが…

ほぼ下の鍵盤を弾くと、上の鍵盤も動いていますね!
これによりとても豊かな響きを生み出しています。

そしてたまに、上の鍵盤を弾いていますね!
上の鍵盤の方が音が柔らかく、音量も小さくなります。

チェンバロは現代のピアノのように強弱の差が付けられないので、こうして上下の鍵盤を弾き分けることによって音色や音量をコントロールしているのです。


次に楽譜を見てみましょう。

バッハ「クラヴィーア練習曲集第2巻「イタリア協奏曲」ヘ長調BWV971第3楽章」ピアノ楽譜1 (動画0:28~)

これは原典版(作曲者が残したものをほぼ忠実に再現した楽譜)の楽譜で、強弱や表現記号は書いてありません。

のですが…
よく見ると「forte(フォルテ)」と「piano(ピアノ)」の指示だけ書いてあるのです。

しかしこれは単に「強く」「弱く」という指示ではなく、チェンバロで弾く場合の上鍵盤と下鍵盤を表しています。

動画を見てお気付きだと思いますが、
「forte」→下鍵盤
「piano」→上鍵盤
で演奏しています。

下鍵盤の方が音が厚くなるので結果的に「強く」なりますが、音量の変化というよりも音色の変化と捉えたほうが良いでしょう。

オーケストラのトゥッティ(合奏)とソロ(独奏)をイメージしてみましょう♪


バッハ「クラヴィーア練習曲集第2巻「イタリア協奏曲」ヘ長調BWV971第3楽章」ピアノ楽譜2 (動画0:57~)

25小節目からは右手がpianoで左手がforteになりますね。

チェンバロだったら右手を上鍵盤で弾くことになりますが、ピアノで演奏する場合はforteの方がメインのメロディーだと思って、左手を少し目立たせるように演奏しましょう。

その後、左右のメロディーがチェンジしていきます。

基本はこの弾き方でOKです!
つまり、どの声部がメインのメロディーなのかを意識して演奏しましょう。

動画の演奏だと楽譜の指示以外にも上鍵盤で弾いている箇所がありますが、例えば繰り返しのフレーズの場合は2回目をpianoで弾いて変化を付けています。


また現在では、強弱や表現記号が付け加えられている楽譜もたくさん売られています。

例えばこんな感じです。

バッハ「クラヴィーア練習曲集第2巻「イタリア協奏曲」ヘ長調BWV971第3楽章」ピアノ楽譜3
スタッカートやアクセント、スラー、クレッシェンドなど細かく書かれていますね。

現代のピアノで演奏するなら、もちろんこれくらい表現して良いと思います。

ただテンポを速めで弾きたい方は、チェンバロで演奏しているようなシンプルな強弱表現でも十分だと私は思います。

なぜならシンプルに演奏しても、不思議と表現力豊かで華やかな曲に聞こえるからです!

これがバッハの曲のすごいところですよね(笑)

まとめ


・難易度は上級レベル。テクニックというより集中力と持久力が必要!
・二段鍵盤のチェンバロで演奏されていたというイメージを持とう!
・基本はforteと書かれている声部がメインのメロディーなので、そちらを目立たせるように演奏しよう!
・もっと表現を付けたい人は、現代版の校正が入っている楽譜を参考にしよう!

以上がこの曲を弾く上でのポイントになります。

先ほども言いましたが、シンプルに弾いても華やかに聞こえるのがバッハの曲の良いところでもあります。

自分好みの演奏で気持ちよく演奏できるよう、ぜひお試しくださいね♪



「イタリア協奏曲」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事で原典版として紹介したパブリックドメインの楽譜です。1853年にブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版されました。第3楽章は9ページからになります。
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事で現代版として紹介したパブリックドメインの楽譜です。1918年にユニバシティ・ソサイエティ社から出版されました。第3楽章は12ページからになります。

バッハ「クラヴィーア練習曲集」の記事一覧

 ピアノ曲の記事一覧