ベートーヴェンの悲愴ソナタのなかでもとりわけ人気のある第二楽章。第一楽章で展開したベートーヴェンの苦悩・いらだちから一転して、ため息がでるようなやさしいメロディーが胸を打つ名曲です。

未完に終わったベートーヴェン交響曲第10番の冒頭主題がこの曲の主題に類似しているという研究成果もあり、もしかするとベートーヴェンが作曲家人生を送るあいだ、心の中に持ち続けたメロディーの一つなのかもしれません。

友人や親せきの前でちょっとピアノを披露するというような時があっても、さまざまなシチュエーションでも適応する便利な曲でもあるので、是非レパートリーに入れておきたい一曲です!

ということで、今回は悲愴ソナタの第二楽章の難易度と上手に弾くためのコツをご紹介します!



ベートーヴェン「悲愴(第二楽章)」の難易度


悲愴ソナタの「全音」の難易度評価ですが、「D(中級上)」に分類されています。ですが、これは第一楽章~第三楽章の全編に対しての分類で、楽章別にみて最も技術的な難易度が高い第一楽章に対して与えられた評価といわれます。

技術的な難易度の高い第一楽章と比べると、第二楽章は「楽譜に書かれた音を正しく演奏する」という意味での難易度はそれほど高くなく、ツェルニーの30番に取り組んでいる方であれば十分に弾ける曲です。

実際に私が中学生の時にこの曲に挑戦した際にも、ミスタッチせずに一通り弾けるようになるまでの所要期間は1カ月程度(週5時間くらいの練習量)でした。

技術的には難しくないですが、本格的なピアノ芸術の美しさに出会うことのできる名曲ですので、是非、上手に弾くためのコツを何度も繰り返し練習して自分のものにしていきましょう!

上手に弾くためのコツ(1)-実際に歌ってみてcantabileのテンポを身につけよう


悲愴ソナタの第二楽章を上手に弾くコツのひとつめがテンポです。この曲はテンポがちょっと変わるだけでも生き活きとした演奏になるか、退屈な演奏になるかが大きく変わってしまうので、適切なテンポを見つけることがとても大切です。

悲愴ソナタの第二楽章の冒頭には”Adagio cantabile”という指示が与えられています。

Adagioは「ゆるやかに」という速度記号、cantabileは「歌うように」という発想記号ですので「ゆるやかに、歌うように」という指示がベートーヴェンから出されているということですね!

悲愴ソナタの第二楽章のように泣かせる曲でありがちなのは、情緒たっぷりにゆっくりと演奏してテンポが遅くなりすぎることです。具体的には30bpm以下ぐらいまでテンポを落としてしまうと、正直「感情込めすぎ!」って感じでちょっと眠くなってしまうような演奏になってしまうので注意が必要です。

この曲のテンポを決める際のコツは「実際に歌ってみる(=cantabileしてみる)こと」です。

そして、歌ってみたときにぜひ確認してほしいのが、息継ぎがどこに入るかということ!息継ぎが入る場所をチェックしてメロディーの切れ目(フレージング)が不自然ではないかを確認してみてください。不自然な場合には自然なフレージングができるテンポはどの程度なのかを何回も歌いながら試してみてください。

きっと、あなたが一番気持ちよくピアノを歌わせることができるテンポを見つけることができますよ!

上手に弾くためのコツ(2)-すべての声部を分けて練習しよう


きれいなメロディーが心をうつ悲愴ソナタの第二楽章ですが、楽譜からもわかる通り沢山のメロディーが多層的に積み重なって一つの音楽を作り出しています。

たとえば、冒頭主題の繰り返しである以下の部分(動画0:29~0:58あたりの部分)については、四声を奏でる必要があります。


先ほどこの曲の難易度について、「楽譜に書かれた音を正しく演奏する」という意味では難易度はあまり高くないと紹介しましたが、実はこの三声、四声の一つひとつのメロディーを聴き分けながら、全てを歌うように演奏するというのはとても難しい技術が要求されます。

私自身、バッハのインヴェンション(二声)をうまく弾きこなすだけでもとても苦労しましたので、四声全てを歌う難しさを身にしみて感じます。

ですので、練習の際には一つひとつの声部を声に出して歌ってみて、ピアノで演奏する時も各声部を分けて練習しましょう。そして、それぞれの声部について声にだすのと同じようにピアノでも歌えるようになってから、それを組み合わせてみることをおススメします。

きっと、四声それぞれがきれいなメロディーを奏でて弦楽四重奏のような深みのある演奏ができるようになりますよ!

悲愴ソナタ(第二楽章)の難易度と上手に弾くコツのまとめ


  1. ベートーヴェンの悲愴ソナタの難易度は「D(中級上)」ですが、第二楽章に関しては一通り弾けるようになるのは比較的容易です。
  2. 声に出して歌ってみることで「cantabile(歌うように)」のテンポを見つけましょう。
  3. 四声をきれいに歌えるようになるために、各声部を分けて練習することから始めましょう。

以上のコツを使って、悲愴(第二楽章)を是非自分のものにしてくださいね!


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  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1862年にブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版された楽譜(全楽章)です。
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