甘くて切ない、美しいメロディーが好きな人必見!

今回はブラームスの隠れ名曲と称されている「6つの小品」より、第2曲目の間奏曲をご紹介します。

この曲はピアニストやブラームスが好きな人、趣味でピアノを弾いている人にも人気の曲で、ブラームス好きの私も大好きな曲です。

ブラームス晩年の作品で、人生を振り返っているような叙情的なメロディーと、オーケストラのような重厚感もあるのが特徴です。

まさにブラームスの集大成と言える、ロマンチックな雰囲気とピアノのテクニックが融合された曲だと思います。

■ 目次

難易度は?


この曲はオーケストラ曲をピアノに編曲したように声部が分かれているので、音数が多い中でメロディーを歌って弾くのが難しいですね。

バッハの3声のシンフォニア、チェルニーなら40番程度が弾けるレベルです。

また演奏者によってテンポは様々ですが、楽譜4ページで6分前後の長さになります。

楽譜の速度表記にはAndante teneramenteとありますが、
Andanteは「歩くような速さ」、teneramenteは「優しく、愛情をもって」という意味です。

速くなりすぎず、自分が感情をこめて弾ける速さで演奏しましょう。


曲の構成は大きく分けて
・A→1~48小節
・B→49~76小節
・A→77~116小節
と3つに分かれています。

少し細かく分けると、Bの中でさらに
・a→49~56小節
・b→57~64小節
・c→65~76小節
と3つに分けることができます。

いっぺんに弾こうとすると覚えにくいので、少しずつ分けて練習してみましょう♪

ちなみに私はこちらの楽譜を使っています。



解説や運指が丁寧に書かれていて、「6つの小品」の他にもブラームスの傑作が多数収録されていますよ。

弾き方のコツは?

ブラームス「ピアノのための6つの小品第2曲「間奏曲」イ長調Op.118-2」ピアノ楽譜1 (動画冒頭~)

まず1~8小節目までが最初のテーマになります。

4小節目まで大きなフレーズと考えて、あまり3拍子に捉われず横に流れていくイメージで演奏しましょう。

内声の右手から左手への受け渡しも、スムーズに!
まずは内声を抜きにして、メロディーとバスだけ練習すると良いです。

和音で手が届かないところは、アルペジオで音をばらして弾きましょう。

ブラームス「ピアノのための6つの小品第2曲「間奏曲」イ長調Op.118-2」ピアノ楽譜2 (動画0:49~)

16小節目から、左手が8分音符で動きが出てきます。

この左手の動きに沿って、楽譜のクレッシェンドとデクレッシェンドを付けていきましょう。

ブラームス「ピアノのための6つの小品第2曲「間奏曲」イ長調Op.118-2」ピアノ楽譜3 (動画1:12~)

25~30小節目にかけて大きくクレッシェンドをします。

この部分は、内声の右手から左手へのスムーズな受け渡しが大事です!
しかしあくまでもソプラノがメロディーなので、上のソプラノをしっかり出しましょう。


ブラームス「ピアノのための6つの小品第2曲「間奏曲」イ長調Op.118-2」ピアノ楽譜4 (動画1:36~)

34小節目の3拍目から入るdolceの部分は、いきなり音が飛ぶのでしっかり準備してから入りましょう。

Dolce「甘く、優しく」の意味の通り、とても綺麗なメロディーのところですね。

最初の和音は音が広がるので、アルペジオでバラして弾いて大丈夫です。

ここからまた左手の動きに沿って、流れるように演奏しましょう。


ブラームス「ピアノのための6つの小品第2曲「間奏曲」イ長調Op.118-2」ピアノ楽譜5 ブラームス「ピアノのための6つの小品第2曲「間奏曲」イ長調Op.118-2」ピアノ楽譜6 (動画2:20~)

49小節目からBの部分に入ります。

ここはイ長調から嬰へ短調になり、少し寂しい雰囲気に変わりますね。

左手は3連符の動きになるので、遅くなりすぎないように前へ前へ進む気持ちで演奏しましょう。

繰り返し記号があるので、1回目と2回目で雰囲気を変える方法があります。

・1回目の時は右手のメロディーを強調する。
・2回目の時は内声(左手の4分音符になっているメロディー)を強調する。

という演奏方法です。

あまり弾き方を変えない演奏家もいますが、2回繰り返すのはきっとブラームスにも何か意図があったと思うので、ぜひ一度試してみてください。

ブラームス「ピアノのための6つの小品第2曲「間奏曲」イ長調Op.118-2」ピアノ楽譜7 (動画3:00~)

57~64小節目は、コラール(讃美歌的)のような和声で進行します。

手が届きにくいところはアルペジオで演奏しましょう。
また、una cordaの指示があるのでソフトペダルを使って優しい雰囲気で演奏しましょう。


ブラームス「ピアノのための6つの小品第2曲「間奏曲」イ長調Op.118-2」ピアノ楽譜8 (動画3:32~)

65小節目からはソフトペダルを外します。

ここは内声がメロディーになり、左手も右手も動きがあるので少しテクニックが必要ですね。

まずは内声のメロディーを歌えるように覚えて、内声とソプラノ、内声とバス、という風に分けて練習していきましょう。

難しいですが、ソプラノ歌手とテノール歌手が一緒に歌っているような素敵な部分です!

ブラームス「ピアノのための6つの小品第2曲「間奏曲」イ長調Op.118-2」ピアノ楽譜9 (動画4:02~)

76小節目のアウフタクト(3拍目)からAのテーマに戻ります。

少しメロディーが変わっていて、最初よりも右手が広がっているので少し大げさに表現しましょう。

ここからは同じフレーズが出てくるので覚えやすいですね。

最後は十分リタルダンドをして、優しく終わりましょう。

まとめ


・難易度は上級向けだが、自分の歌って弾けるテンポで感情をこめて演奏しよう♪
・内声の動きにも注意して、どのメロディーを強調したいのか分かるように演奏しよう♪
・左手が動く部分はテンポと曲の流れが停滞しないように気を付けよう♪

以上がポイントになります。

私はこの曲は、秋や冬の枯れ葉が落ちるような季節になると聴きたくなります。

切なくて甘いブラームスの素敵なメロディーに、皆さんもぜひ酔いしれてみてくださいね♪



「間奏曲イ長調Op.118-2」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版されたパブリックドメインの楽譜です。「6つの小品」全曲が収録されており、第2曲Op.118-2は3ページからになります。

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