一緒に旅行に行って同じものを見て、同じものを食べたり、飲んだりしたとしても、人によって覚えているところが違っていたり、感じていることが少し違ったりということがあると思います。

それはどんなに仲の良い友達でもそのような違いが出ると思いますし、兄弟姉妹や親子でも同じように違いが出ると思います。

人それぞれ考え方が違うので、とても似ている、またはほとんど同じということはあっても、全く同じように感じているということはないのではないでしょうか。

でも、ちょっと違うくらいでいちいち「違う!そうじゃない!ここが違う!」とかいう事はありませんね。日々の生活を他人と上手くやっていく為には、意見を人と合わせていくということがたくさんあると思います。(言わなくてはいけないことはちゃんと言った方が良いですけどね。)

他人と何かを一緒にしないといけない場合は、どちらかに合わせたり、すり合わせられるものはすり合わせたり、または間を取ったりすると思いますが、個人でするものに関しては自分の思った通りにすることができますね!

音楽の演奏も同じで、自分1人のソロの時と誰か一緒に演奏する場合とでは全然気の遣い方が違います。ソロの場合は弾く曲のことにだけ集中して弾くことができます。ピアノの場合は誰かと一緒に演奏するとなると、たいていの場合伴奏になるので、メロディー楽器の奏者さんがどう演奏したいのか、どう弾けば演奏しやすくなるのかということに気を遣わなくてはいけません。

同じ曲であっても奏者が変わるとテンポ感が少し変わったり、揺れ方が変わったり、表現の仕方が微妙に変わったりするので、それぞれのメイン奏者に寄り添えるようにこちら側も微妙に変えながら演奏するようにしています。

ブライダルの仕事をしているといろんな楽器奏者さんや声楽の方とお仕事をご一緒するので、鍛えられますし、勉強になります。

お仕事を一緒にさせて頂く中で、待ち時間やお仕事を終えてからなどのちょっとした時間にお話をさせて頂くと、その人のお人柄というのが言葉の選び方、話し方から何となく感じ取れることがあります。

話し方と演奏の印象が一致している方もいらっしゃれば、話し方と演奏の印象が全然違う方もいらっしゃって面白いです。

今回は人によって演奏に違い出るのはなぜなのかを考えてみたいと思います♪

■ 目次

同じ曲を弾いても人によって全然違う


聴き比べてみるとよくわかると思いますので、聴き比べをしてみましょう。

同じ曲でYouTubeに上がっていた演奏を聴いてみましょう。今注目のピアニストである阪田知樹さんと反田恭平さんのお2人です。

ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ 月光 第3楽章」

・阪田知樹さん

ピアノ演奏をカメラで撮る時のカメラワークについての文句を記事に少し書いたのですが、この4分割カメラ良いですねぇ~!!見つけた時にコレコレ!!って思いました(笑)

固定でいいんですよ!!!見たいところは人それぞれ違うんですから、何パターンか違う視点で固定して撮って、それを同時で見せてくれれば自分で目線を動かして観るので!!!この撮り方が主流になればいいのに…。

話がそれました(笑)

阪田さんのピアノが私は大好きです♪音がきれいで正確で、力みが一切なく、過剰な感情?というか付け加え?をつけないという感じのように私は思います。音で勝負しているような潔さが感じられます。

・反田恭平さん

阪田さんとは全く違いますね!同じ曲でもここまで違うんですよね。

反田さんの演奏は迫力があり、そして重みがあって、切迫感が強いですね。反田さんの方は場面転換をややオーバーにしていて聴く人にも何が次に来るのか、感じさせようとしているように聴こえます。

一方、阪田さんの方は反田さんの演奏に比べるとあっさりしているように聴こるのではないかと思います。

リスト「ラ・カンパネラ」

・阪田知樹さん
(1:35から再生されます)

力強く弾く「ラ・カンパネラ」はよく聴きますが、こんなにきれいな音で軽々と本当にベルがなっているように弾く演奏は本当にすごいと思います!!指への重みのかけ方が絶妙でコントロールが素晴らしいのだと思います。コツを教えて欲しい…。

・反田恭平さん

自分の世界に人を引っ張っていく力がすごいですよね!!そんな風に表現するのか~と初めは思っていたとしても、いつの間にか引き込まれていて、納得させられているという感じが私にはします。演奏ももちろんすごいのですが、反田さん自身にもきっと魅力があるんでしょうね!

聴き比べてみて皆さんはどのように感じましたか?

本当はショパンの聴き比べもしてみたかったのですが、2人が同じ曲を弾いている動画を見つけることができなかったので、この2曲で比べてみることにしました。

お二人とも素晴らしいピアニストで、どちらも素晴らしい演奏です!もしどちらかが悪いように感じられたとしたら、私の書き方や表現の仕方が下手くそなのです…。申し訳ありません。

どのような演奏が好みかというのは人によって違いますし、いろんなご意見があると思います。人が違うと演奏は全く違うものになるということが分かって頂けると嬉しいです。

なぜそうなるのか?


なぜ違いが出るのか細かく考えていこうと思います。

環境の違い

日本とヨーロッパでは気候がかなり違いますし、住宅環境も全然違います。文化も違いますし、言語も違う。このような違いは確実に音楽にも影響してくると思います。

建物の材質や湿度などによって音の響き方は絶対に違うハズです。海外と日本もそうですし、日本の中でも北と南とではかなり気温や湿度が違いますよね。住んでいる環境、ピアノを弾く環境によって作られてくるものもきっとあるのではないでしょうか。

後はこれが1番大きいのかもしれませんが、これまでにどんな先生につき、どのような教えを受けたかによっても演奏に違いが出ると思います。

骨格、体格、体の使い方の違い

骨格というのは持って生まれたものなので、変えることができませんね。これは遺伝によるものが大きいと思います。

体格に関しては、筋力をつける、体重を増やすなどの肉体改造によって変化させることができると思います。反田さんも肉体改造をしてコンクールに臨んでいたようですよね!

体の使い方はその人のクセのようなものなのかもしれません。

解釈の違い

人によって性格や考え方が違うように、音楽を演奏する上での解釈の違いが出て来ると思います。そこが演奏の違いに繋がってくると思います。

体の使い方って具体的に何が違うのか


体の使い方は人によって違っていて、大きく分けて2つのタイプがあるそうです。私も詳しくはないのですが、なるほどと納得がいったので、書いてみたいと思います。

うちわをあおぐ時に皆さんはどうやっていますか?

これには「手首を固定してひじから動かす」タイプと「ひじを固定して手首だけを動かす」タイプの2つに分かれるそうです。

皆さんはどちらだったでしょうか?

私は「ひじを固定して手首だけを動かす」タイプです。このタイプはつり革をギュッと握らず指を引っかけて持つんだそうです。もう1つのタイプはつり革を持つ時にはギュッと握って持つんだそうです。この他にも色々あるようなのですが、体の使い方はみんな同じではないそうなのです。

私は手首をよく使う方のタイプなのですが、母はひじの方のタイプです。親子だから一緒というわけではないようです。

この違いはピアノを弾く上でも関係しているのではと私は思っています。手首の使い方、ひじの使い方の違いは重心の取り方や力の伝え方にも違いが生まれると思うのです。

私はこれまで「力」ではなく「重み」で弾くというのがよくわかりませんでした。それがひじに注目してみると少しずつ「重みをかける」という意味が分かって来ました。

手首を使って弾く人はスナップを効かせて瞬発的な弾き方をするのは得意だと思いますが、音を滑らかに持続させて弾くのは苦手な気がします。(私だけでしょうか?)一方ひじタイプの人は逆な気がするんですよ。(違うかなぁ?)

まだまだ勉強途中ですが、骨格以外にもこのような体の使い方や重みのかけ方によって音色の違いが生まれるのではないかと思います!!

性格も絶対関係あると思う!!


色々書いてきましたが、その人の性格というのも大きな要因の1つになっていると思います。

せっかちな人は日々の生活の中でもしゃべるのが速かったり、歩くのが速かったりとテンポ感が速い人が多いと思います。音楽を演奏する場合も割とテンポが速めの方がノリやすいのではないでしょうか。

逆におっとりしている人はゆったりとしゃべったり、歩いたりするのもゆっくりとした感じなのではないかと思います。そうすると音楽を演奏する場合も速いテンポの曲であっても許容範囲内のやや落ち着いたテンポをチョイスするのではないでしょうか。

喜怒哀楽が顔に現れやすい人とそうでない人がいるので見た目やその人の雰囲気だけで人を判断するのは非常に難しいですが、演奏ではその人の内面が現れているような気がします。

全然知らない方の演奏でも割とテンポが速く前のめりの感じで弾く人はせっかちな人なのかなぁ?と想像してしまいます(笑)見た目と内面は違うこともあるので必ず一致しているとは言えないかもしれませんが…。

演奏するということは自分自身と向き合うことでもあると思うので、知らないうちにその人が出てしまうのではないでしょうか。

几帳面で真面目な人は練習もきっちりしますし、細かい練習も部分練習もこまめに地道にするでしょう。それは聴いている人にも必ず伝わります。細かい部分にも目を向けて、音色など細部にこだわって練習しているので1つずつのパーツに説得力があります。しかし、時にこだわりをそれぞれに持ちすぎてバランスが悪くなることがあるかもしれません。

演奏の場合、几帳面さや真面目さが時に欠点となる場合がある気がします。ミスを必要以上に恐れたり、プレッシャーを感じやすかったりするので、このタイプの人はどうぞ気持ちを楽になさって下さいね!

おおらかでやや大雑把な人は細かい練習ももちろんある程度はすると思いますが、それよりも全体の構成に注目して全体で見た時にこの部分はどういうバランスにすべきなのかなど、バランスを取ることに注意するのではないかなぁと思います。

すごく細かいことは気にしないかもしれませんが、バランス感覚には長けていると思うので、全体の流れはとても自然でスムーズなものになっているのではないでしょうか。細かい部分を根気よく練習できれば、さらに良い演奏になるかもしれません!

自信たっぷりのナルシストっぽい人は派手な音やパフォーマンスをするような演奏を好むかもしれませんね。自分自身をしっかり持つことは非常に良いことですね。人を引き付ける力を元々持っている人だと思うので、独りよがりな演奏にならないように気をつければ、魅力のある演奏になると思います。

逆に自分自身を過小評価する傾向にある人はあまり派手には弾かない、もしくは弾けないのだと思います。過小評価する人は頑張っているのに自信を持てない人ですよね。きっと…。

決して努力していないわけではなく、むしろしっかり練習をしていて真面目な人ばかりだと思います。自信を持てと言われて持てるものではないですし、目標が高すぎるんじゃないかと言われることもあると思います。目標が高くて何が悪いんでしょう!!

このタイプの人はきっと自分の中の目標が高いなんて感覚はなくて、非常に向上心のある方達なのだと思います。人と比較したりするとかえって辛くなるのではないかと思うので、過去の自分と比較してどれだけ自分が努力して弾けるようになって来たのかを振り返る時間を設けていくと良いのではないかなぁと思います。

自信のある人やおおらかでやや大雑把な人は自分で気持ちをコントロールすることや切り替えが上手な人が割と多いように思います。(このタイプの方々は励ましの言葉はそれ程必要ないと思いますので、少なめに書いています。(笑))

自己評価の低い人や几帳面で真面目な人達は周りの反応が気になったり、頑張っているのに自分を正しく評価できていなかったりしてしまうことが多く、思い悩んでしまうのではないかなぁと思います。悩まなくていいですよ。聴く人には色々伝わっていますから!

この様に、人の性格は色々でその差によって、演奏にも差が出て来てしまうのではないかと私は思います。どの性格が良いという事ではなく、それぞれに良い点と悪い点がありますので、ピアノを弾くのに向いていないのかなぁなどと決して思わないで下さいね!

今回は同じ曲でも人によって演奏に違いが出るのはなぜかというのを私なりに考えて書いて来ました。いかがだったでしょうか??

日頃考えていないことを急に表現しろと言われてもなかなか出来るものではありませんし、感じていないことを音に表すことはできないのではないかと思います。

日々考えていること、思っていることが聴く人に透けて見えてしまうので、演奏は誤魔化せないですね。日々精進です♪お互い頑張りましょう!!

まとめ

同じ曲でも人によって演奏の違いが出るのは
◆学んで来た環境が違うから
◆骨格、体格、体の使い方が違いから
◆解釈が違うから
◆性格が違うから



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