チャイコフスキーというと交響曲やバレエ組曲など、オーケストラ曲のイメージが強いかと思います。
でも実は、ピアノ曲もたくさん作曲しているんですよ!
今回はチャイコフスキーのピアノ曲の中でもよく演奏されている「トロイカ(Troika)」をご紹介します。
この曲は「四季(The Seasons)」という小品集の中の一曲です。
チャイコフスキーの祖国であるロシアの1年間を各月ごとにピアノで描写した、とっても素敵なピアノ曲集ですよ。
「トロイカ」とは?
トロイカとは3頭立ての馬(馬車)のことで、元々は「3つ組の」という意味だそうです。
この曲は「四季」の曲集の中の11番目、11月の曲ですが…
ロシアでは11月といったらもう真冬で、雪景色のイメージになります。
雪原を軽やかに駆ける馬を思い浮かべて演奏してみましょう♪
ちなみにトロイカという題名のロシア民謡もあるのですが、ご存知でしょうか?
ファミコンゲームの「テトリス」のBGMに使われていたそうですよ。
このトロイカはなんだか悲しい感じのメロディーですが…
チャイコフスキーのトロイカはとても明るくて爽やかな曲なので、ご安心ください(笑)
トロイカの楽譜はこちら♪
1曲だけが良い方はこちらのピアノピースがおすすめです。
もし「四季」の他の曲も気になった方は、曲集もチェックしてみてくださいね。
「四季」の曲集はこちら♪
難易度は?
↑こちらのコンクールの動画では中学生の子が演奏しています。
全体的なテンポはそんなに速くないので簡単そうにも聞こえますが…
強弱やテンポが細かく変化しますし、弾いてみると結構難しいと感じる曲で、一般的には中級~上級レベルに入ると思います。
小学生の子が演奏している動画もたくさんありますが…
オクターブの和音もたくさん出てくるので、オクターブがしっかり届く手の大きさでないと少ししんどいかもしれません。
チャイコフスキーはロマン派後期の作曲家で、テクニックというより情景や感情を音で表す「表現力」が重視される曲が多いです。
なのでただ弾けるだけではなく、どれだけ細かい表現ができるかで曲の完成度が高くなるでしょう。
バッハやモーツアルトのようなかっちりした曲ではなく、ドビュッシーのような繊細で自由な表現の曲がお好きな方は、この曲も弾きやすいと思います。
ドビュッシーの曲で同じレベルとして、アラベスク1番やベルガマスク組曲を参考にされると良いですよ♪
弾き方のポイントは?
(動画冒頭~)この曲はテンポを揺らして弾いた方が雰囲気が出るのですが、適当に弾いていいわけでもありません。
4分の4拍子だということは頭において、細かいアーティキュレーション(演奏記号)も見逃さないようにじっくり譜読みしましょう!
1小節目からスタッカートやアクセント、スラーも出てきます。
曲だけ聴くとアウフタクトで始まっているようにも感じますが、ちゃんと1拍目から始まっているんですね。
(動画0:20~)
9小節目からメロディーが変化して、16分音符の伴奏が出てきます。
この伴奏はハープの音をイメージして、左手と右手が滑らかに繋がるように演奏しましょう。
(動画0:42~)
18小節目から右手が和音になり少し大変になります。
(というのも私は手が小さいので、オクターブ和音が苦手なのです…)
大変ですが右手に合わせてペダルをうまく使い、メロディーがぶちぶち切れないように注意しましょう。
ここはフォルテで、オーケストラが全員で演奏しているようにたっぷりと表現してくださいね。
(動画1:07~)
28小節目のgrazioso(優雅に)の部分から雰囲気がガラッと変わります。
私は、馬車の馬がちょっと寄り道をして駆け出してしまうようなイメージが浮かびましたが、皆さんはどんな感じがしますか!?
ここは演奏者によってはテンポを速くしたり、あまり変えずに弾いたり様々な弾き方があります。
かなり自由で即興的な部分なので、自分の好きなイメージをもって演奏して良いと思います。
スタッカートの部分は重くならないように、馬が走っている様子をイメージしましょう。
強弱の差をしっかりつけると面白いですよ♪
(動画1:47~)
49、50小節目の右手はdimin.(だんだん小さく)をして、弱くしたまま51小節目に自然と繋がるようにしましょう。
51小節目からは、初めのメロディーが左手に出てきます。
poco marcata la mano sinistra.とありますが、これは「左手を少しはっきりと」という意味なので、全体的にp(ピアノ)ですがメロディーは際立たせるように演奏しましょう。
(動画2:07~)
59~67小節目の部分は右手にメロディーが移ります。
ハープのような16分音符の伴奏がまた出てきましたね。
9小節目~の部分より音が増えて変化しているので、注意して譜読みしましょう。
(動画2:48~)
最後はピアニッシモで終わりますが、これは馬(トロイカ)がだんだん遠くへ行ってしまうようなイメージで、ふっと消えるように演奏しましょう。
だんだんテンポを落としたくもなりますが、リタルダンドなどの指示は特にないので、遅くせずにそのまま走り去っていくように弾くと良いと思います。
まとめ
・テンポを揺らしても良いけれど、4拍子は忘れないようにしよう!
・アーティキュレーションをしっかりつけて、トロイカの馬を表現しよう!
・最後は遅くせず、馬が走り去っていくように演奏しよう!
以上がポイントになります♪
弾いているとピアノの曲というより、オーケストラ曲のように聞こえてくる素敵な曲です。
チャイコフスキーにオーケストラ曲のイメージがあるからなのか、チャイコフスキーの作曲技法が素晴らしいからなのか…
うーん、きっと両方ですね!
「四季」は全部で12曲ありますが、まずは有名なこの「トロイカ」から挑戦してみてはいかがでしょうか♪
「トロイカ」の無料楽譜
- IMSLP(楽譜リンク)
本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1909年にシューマー社から出版されたパブリックドメインの楽譜です。チャイコフスキーの「四季」全12曲が収録されており、第11曲「トロイカ」は49ページ目からになります。
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大変 参考になりました。特に最後の「消えゆく様に 速度を落とさずに弾く」が、私の感ずる所と同じでしたので これからも頑張って
練習に励みたいと思います!ありがとうございました
コメントありがとうございます!
運営者のshirokuroと申します。
記事が参考になったようでよかったです^^
「消えゆく様に 速度を落とさずに弾く」
たしかに!と動画を視ながら思いました。
練習応援しています!
他の記事もよかったら見ていってくださいね^^
shirokuro