モーツァルトのトルコ行進曲はピアノを弾いたことがない人でも一度は聴いたことがある、とっても有名な曲ですよね。思わず鼻歌を歌ってしまうような、楽しく明るいモーツァルトらしいメロディーが魅力です。

「トルコ行進曲」という愛称で親しまれるこの曲ですが、モーツァルトのピアノソナタ第11番(K.331)の第三楽章であり、実はモーツァルト自身が曲名を命名しているわけではありません。

この曲が作曲された1780年ぐらいは、その1世紀前に勃発したオスマントルコのウィーン侵攻からだいぶ月日が経ち、トルコ趣味が流行していた時期にあたります。

モーツァルトはこの流行にのって、オスマントルコ軍楽(メフテル)の行進曲を意識して作曲したピアノソナタ第11番の第三楽章に「Alla Turca(トルコ風に)」という楽想を指示しました。これがこの曲が「トルコ行進曲」と呼ばれるようになった所以と言われています。

ポップなメロディーでみんなに愛される珠玉の名曲「トルコ行進曲」、是非マスターしてレパートリーに加えましょう!


モーツァルト「トルコ行進曲」の難易度


トルコ行進曲の難易度は全音ピアノピースの難易度評価で「B(初級上)」。一つひとつのパーツを正確に演奏していくという点では特段高い演奏技術が要求されるわけではありません。

小さいころからピアノを習ってバイエルやブルグミュラー、ソナチネなどに取り組んできた子どもたちが、初めて演奏する有名なピアノ曲の一つでもあります。私も小学校3年生ぐらいの時に弾けるようになったので、ピアノ歴としては4年くらいで弾けるようになりました!

演奏技術としてはやさしい部類に属する曲ですが、音階やオクターブ、装飾音、ペダリングなど一つひとつを丁寧に練習することが必要な曲ですので、ピアノの上達を目指す方であればしっかりと取り組みたい曲の一つでもあります。

また、単なるピアノ学習者の練習に適した曲というだけではなく、偉大なピアニストたちの演奏がたくさん残されていることから、モーツァルト独特の芸術性を合わせもった名曲であるとも言えるでしょう。

超絶な技術がなくても名ピアニストたちの演奏を参考にしながら色々な弾き方を試しながら、曲作りをしていくことができるのもトルコ行進曲の魅力の一つです。これから、私なりの弾き方のコツを披露しますが、みなさんも是非、たくさんのアイデアや演奏解釈を加えていって、自分だけのトルコ行進曲を築き上げてください!

弾き方のコツはモーツァルトが作曲した時代のピアノを知ること!


トルコ行進曲の作曲年は諸説ありますが大体1780年前後といわれています。1780年ごろは現代のモダンピアノとは異なる「フォルテピアノ」というピアノが用いられていました。ですので、モーツァルトがトルコ行進曲を作曲した際にも、フォルテピアノを用いていたと考えられています。

フォルテピアノが現代のモダンピアノとどのように異なるのかを理解するには、実際にその楽器で演奏されている曲を聴いてみるのが一番ですが、文章で書くとすると以下のような特徴があります。

①音の強弱のレンジが狭い
②音の減衰が早い
③コロコロとした軽快な音色

トルコ行進曲を演奏する際には、フォルテピアノのこのような特徴を意識しながら演奏すると、よりモーツァルトらしい演奏になるでしょう。ただ、フォルテピアノの特徴を意識しろと言われても、具体的にどうすればよいかわかりづらいですよね。

ということで、モーツァルトらしい演奏をするためにおススメの弾き方を2点ほど挙げていきたいと思います!

サビの部分は音を響かせすぎない!

モーツァルト「ピアノソナタ第11番イ長調K.331第3楽章「トルコ行進曲」」ピアノ楽譜1
みなさんが大好きなトルコ行進曲のサビの部分(動画 0:25~0:33)ですが、強弱記号も「f(フォルテ)」になっていますので、思わず気持ちよく大きな音量で弾いてしまいがちです。

ですが、フォルテピアノは現代のピアノに比べると響きのよい大きな音がでなかったので、あまり大きな音で弾くとモーツァルトらしさが失われてしまいます!

音の強さはあくまで「ピアノ」「メゾフォルテ」の部分と比較して音量が大きいという程度で弾くことが大切です。

また、フォルテピアノの特徴として音の減衰が早いという点を挙げましたが、ペダルを踏むことによって音を響かせすぎてしまうと、これも特徴から外れた演奏になってしまいます。

たとえば、上の楽譜ですと装飾音~1拍目にかけてペダルを踏むこと自体はかまいませんが、全開で踏んでしまうと唸るような響きになってしまいモーツァルトらしくない響きになってしまう原因になります。

ですから、ペダルを踏むときにはハーフペダルやクォーターペダルになるようにするなど、音の響きすぎに注意するようにしましょう。

スラーでつながれた音階はコロコロッと軽い音色で弾く!

モーツァルト「ピアノソナタ第11番イ長調K.331第3楽章「トルコ行進曲」」ピアノ楽譜2モーツァルト「ピアノソナタ第11番イ長調K.331第3楽章「トルコ行進曲」」ピアノ楽譜3
楽譜にもよると思いますが、中間部の音階(動画 0:33~0:55)はスラーでつながれて記載されていることが多いと思います。スラーは「音を結びつける」というような意味ですので、隣の音と切れ目なく音が続くように弾くことが一般的です。

ただ、モーツァルトの場合は隣の音とベタッとひっつけて弾くのではなく、音と音の間の空気感を大切にすると、より美しい演奏になります。

空気感という言葉でイメージしづらければ、真珠の連なりのように粒がそろっていて「コロコロ」っとした音色というと、よりイメージがしやすいかもしれません。スタッカートではないのだけどレガートでもない、それぞれの音がつかず離れずの感覚で音が流れていく感じです!

と、簡単なように書きましたが、正直これを上手に弾くことはとても難しいので、おススメの練習方法も合わせてお教えします。

「コロコロ」っとした音色をうまく出せるようになるためには、速いパッセージでも力まずに鍵盤にかかる腕の重力をうまく逃がしながら弾く必要があります。そのためには、このフレーズを全部スタッカートで弾き切れるように練習するとよいでしょう。

このくらいのスピードのフレーズをスタッカートで弾き切れるようになると、腕の力みがとれて、とても軽快に指を動かせるようになります。スタッカート練習で軽くなった腕の重力を少しだけ強くかけるようにすれば、きっと「コロコロした」音色で中間部を弾けるようになりますよ!

トルコ行進曲の弾き方と難易度まとめ


1.トルコ行進曲はモーツァルトのピアノソナタ第11番の第三楽章で、当時流行していたトルコ趣味を取り入れ、オスマントルコの軍楽を意識して作られた曲です。

2.トルコ行進曲の難易度は「B(初級上)」。演奏技術としてはやさしい部類にはいりますが、偉大なピアニストが多数録音を残している名曲です。

3.トルコ行進曲はモーツァルトが当時使用していたフォルテピアノの音色を意識して弾きましょう。具体的には「音を響かせすぎないこと」「コロコロとした音色で弾くこと」でモーツァルトらしい弾き方を心がけましょう。

以上、トルコ行進曲の難易度と弾き方をご紹介しました。

みなさんも是非、このコツを意識しながら練習して、モーツァルトらしい音色でこの曲を演奏できるよう頑張りましょう!



「トルコ行進曲(K.331第3楽章)」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    1893年にシャーマー社から出版されたパブリックドメインの楽譜です。K.331全楽章が収録されており、「トルコ行進曲」は13ページからになります。
  • Mutopia Project(楽譜リンク
    最近整形されたきれいなパブリックドメインの楽譜です。「トルコ行進曲」のみ収録されています。

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