ブルグミュラーは、日本で長い間ピアノのレッスンの教材として使われてきた「25の練習曲」を作曲したことで有名です。その中でも2番の「アラベスク」は、ひと際知られた存在で、発表会でも演奏されるブルグミュラーの代表曲と言えるでしょう。


「アラベスク」というのは「アラビア風の」という意味です。
しかし、曲調そのものがアラビア風なのではなく、アラビアのイスラム美術にある装飾の幾何学模様を音楽で表現したものです。同じパターンが繰り返されているのが分かりますね。

音楽においては、具体的には細かい音符で同じ動きを装飾的に繰り返したり、なだらかなメロディーのラインが繰り返されたり、といった形式のことです。19世紀のロマン派では、割と好まれた作曲方法と言えるでしょう。

ブルグミュラーの「アラベスク」でも、シューマンやドビュッシーの「アラベスク」とくらべてシンプルですが、16分音符と8分音符の組み合わせで何回も繰り返されるリズムが出てきます。

「アラベスク」の意味を知ってから楽譜を見ると、音符でアラビア模様を表現したのが良く分かるので、なるほど、と思いますよ♪

難易度は?



「25の練習曲」の中では弾きやすいです。

この曲集の中では、2番「アラベスク」、14番「シュタイヤー舞曲」、15番「バラード」、25番「貴婦人の乗馬」あたりが発表会のレパートリーとしてよく選曲されますが、日常の練習の中でも1番から順番に練習を進める場合が多いことからも分かるように、基本的には番号が小さな方が簡単です。

左手の和音も1オクターブの中におさまっているので、手が大きくなくても大丈夫!細かな16分音符のところも難しい指くぐりがなく、そのまま弾けます。

ピアノを習ってなかった高校生が、教育学科志望で大学受験対策に習いに来ました!という時は、たいていこの曲を課題にしますね。個人差はありますが、大体3~4か月あれば両手暗譜で弾けるようになるレベルです。

大人になってピアノを始めた時、大きく立ちはだかる壁の一つが両手をバラバラに動かすことだと思うのですが、この曲はその壁を越えたい方にもおすすめします。

音の「アラビア模様」を軽やかに弾こう!


早速ですが、「アラベスク」の名前に相応しい同じリズムの羅列を見つけてみましょう!

一段目の右手、二段目の最後2小節から始まる左手。ここがその「アラベスク」な部分です。
16分音符が4つ、その後に8分音符と8分休符。この組み合わせで繰り返されていますね。

3小節目に書いてある‘legg.’とは‘leggiero(レッジェーロ)’の事で「軽やかに」という意味があります。例えば3小節目の16分音符は「ラシドシラ」ですが、一音ずつ、ラシドシラと弾くのではなく、ラとラの間のシドシは経過する音、つなぐ役割と捉え、シドシを軽やかに、具体的には音量もタッチも軽く弾くと、スラーで表しているフレーズ感がでます。

しかーし!

それを意識するあまり、むやみに速く弾きすぎて指のコントロールが出来ず、酔っ払いみたいな演奏になってしまうのは絶対NG!(笑)音が濁ってしまうのもあるあるの失敗です。

指先だけで弾かず、自分の出した音を聞きながら練習しましょう。


それともう一つ、せっかくなので、もう少しレベルの高い話もしておきますね。

スタッカートがついている8分音符の音に注意してください!
スタッカートが書いてありますが、決して強く切りすぎないようにしましょう。

なぜかと言うと、アラビア模様は同じ模様がどんどん次の模様に繋がっていくのが特徴です。つまり、1小節だけではなく、右手の2~5小節目までの4小節を、なるべく4小節にまたがってスラーがかかっているような一つの流れ、として意識して演奏する必要があるのです。

強いスタッカートを弾いてしまうと、そこで音楽が途切れてしまいます。あくまでも次に繋げるスタッカートにしましょう。

また、左手の和音も重くならないよう、指先で鍵盤を掴むように軽やかな和音を心がけましょう♪


他にも右手に2か所(4段目と5段目に)同じような箇所があるので、そこも同じように演奏すると良いですね。

左手の16分音符を弾きこもう!


「アラベスク」の難所ともいうべき、左手に16分音符が繰り返される場所です。右手から受け継いだアラビア模様、どうしても左手は右手と同じようには動きにくく、右利きの人は特に苦労するでしょう。

そこで、この場所を弾きこなす、一つの練習法をお教えします。

① リズムで音を読む(音程はなくてもOK)
② 歌いながら弾く
③ 理想のテンポで歌う
④ 歌いながら弾く

まずはリズムを守って、「ラシドシラ」と音符を口に出して言ってみてください。弾けない人はまず、音符を分かっていないことが多いです。言えないうちから弾こうなんて、頭がたかーい!(笑)しっかりと音符を把握しましょう。

あーめんどくさい!イライラする!気持ちは分かりますがそこは気を静めて。急がば回れ。言えるようになったら歌いながら、鍵盤を見て弾きましょう。

この4ステップをくぐると、いつのまにか暗譜は出来ています。
楽譜を見ながら弾くのではなく、手元の指先に集中しましょう。

自分では遅くなっているのが分かりにくかったりもしますから、メトロノームを使ったり、自分の演奏を録音して客観的に聞いてみるのもとても勉強になりますよ♪

左手が難しくなったからと言ってスピードダウンするのは不格好。大切なのは、曲全体を通して、音楽用語で指示があるところ以外は一定のテンポで演奏することです。

音楽用語に注意しよう!


「アラベスク」には様々な音楽用語が記してあります。意味を分かって弾くのと分からず弾くのとでは大きな差があります!でもいちいち調べるのは面倒…というあなたはぜひ、この機会に「アラベスク」の用語知ってくださいね。


●テンポ表示
Allegro scherzando(アレグロ スケルツァンド)です。「快速に、おどけるように」といった意味があります。

●音楽用語
・Leggiero レッジェーロ(軽やかに)
・cresc. クレッシェンド (だんだん強く)
・dim.e poco rall. ディミヌエンド エ ポーコ ラレンタンド(だんだん弱く、そして少しゆるやかに)★
・a tempo ア テンポ(元の速さで)★
・dolce ドルチェ(甘くやわらかに)
・risoluto リゾルート(決然と、意を決して)★


楽譜の中の場所と照らし合わせ、書き込みをしてみましょう♪
勿論、練習の量はありますが、気をつけること、先生の話したことをどんどんと書き込んでいる人は上達が早いですよ。

そして、中でも★マークをつけた用語が書かれている部分は、特に注意してください。この曲の特徴である大切な表現です。


まとめ

1. 16分音符のアラビア模様を、転げずに大切に弾く!
2.模様が左手に移っても、遅くならないように。一定のテンポで。
3.音楽用語をチェック♪


以上が、「アラベスク」の練習ポイントです。

この曲が弾けると、ピアノを弾けるようになったなという大きな実感が沸くと思います。

ぜひ挑戦してみてくださいね♪


「アラベスク」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1852年にショット・ミュージック社から出版され、その後シャーマー社により再販された楽譜です。「25の練習曲」全曲が収録されており、第2曲「アラベスク」は5ページ目からになります。
  • Mutopia Project(楽譜リンク
    最近整形されたきれいな楽譜です。「アラベスク」1曲が収録されています。

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