ブルグミュラー25の練習曲の8曲目の「優しく美しく」は、楽譜を見るととっても細かい音符がならんでいて、面食らってしまう人も多いのではないでしょうか?曲名はこんなに優しそうなのに…。でもこの曲、弾けたときの綺麗なこと!!ピアノの素晴らしさが味わえる、とても素敵な曲なんですよ!

今回はこの曲の難しさ・ポイントから、素敵さまでをピアノ歴23年の筆者が余すところなくお伝えしていきたいと思っています!

ブルグミュラー25の練習曲より第8番「優しく美しく」


さて、曲の内容に入る前に、そもそもブルグミュラーとは…?みなさんよく聞いたことはあると思いますが、どんな人なのか知らない人も多いのでは?(ちなみに、人の名前だってことも知らなかったって人もいますのでご安心を笑)

ブルグミュラーは、ドイツ出身の有名な作曲家で、ピアノの練習者用の作品を多く残しているんですね。この「ブルグミュラー25の練習曲」はその中でもとても有名な練習曲集で、初心者にとって登竜門といっても過言ではないんです!

みなさんも、小学校の音楽室のピアノなどで誰かが弾いていたりと、この中に必ず一度は聴いたことのある曲があるはずです。

この「優しく美しく」は、そんな、子ども達にも有名なブルグミュラー25の練習曲の8曲目になります。楽譜を見た感じがとても細かく複雑そうなので、敬遠しがちなのもこの曲のあるあるかもしれません。

これを書いている筆者も、20年近くも前のことですが、正直、「なんだこの楽譜は!」「やりたくない!」と思いました(笑)しかし、レッスンでやることになってしぶしぶ譜読みをして、ある程度弾けるようになったときの「こんな綺麗な曲だったのか!」という感動は忘れません。

また、この曲集って意外とおもしろいのかも?と思ったりして、この曲の先にはどんな曲があるんだろうと、新品の楽譜をぺらぺらめくりながら想像したりしました。もちろん、当時はパッと見ただけでどんな曲か、どんなふうに弾く曲かなんて分からなかったですが(笑)

「優しく美しく」の難易度は?



この曲は、なんといっても装飾音のような速い部分がとっても難しそうに見えるというのが特徴です。特に初心者にとっては、はじめての32分音符で、かなり焦ると思います。が、ワンフレーズが弾けるようになれば案外そのあともいけます。

ただ、それを両手それぞれができるようにならないといけません。後半では左手にもその装飾音的な速い動きをさせなければいけないからです…。左手は伴奏というイメージが強いでしょうし、実際にまだあまり左手を動かす練習をしていない方は、思った通りに動いてくれないかもしれません。

「頭では分かっているのに!!!」と、少しイライラしてしまうかもしれませんね(笑)そういう意味では、後半は人によっては少し難しくなるかもしれません。

弾き方のコツ

ブルグミュラー「25の練習曲第8番『優しく美しく』ヘ長調Op.100-8」ピアノ楽譜1
まず冒頭の1小節を見ましょう。この曲は四分の三拍子ですね。一小節の中に四分音符が3つ入る拍子です。「ドーレドシド」で一拍、「ファーソファミファ」で一拍、「ラ、休」で一拍の構成になっていますね。

この曲は基本的にこのフレーズがずっと続いているので、まずリズム感(ノリ)を覚えるといいですね。

それから、肝心の装飾音的な32分音符です。まずここでは一小節目一拍目の右手のみに注目しましょう。

「ドーレドシド」とありますが、おそらくこの指番号を見ずに、好きに弾いてごらんと言われると、「3-4323」と弾きたくなる人が多いと思います。

しかし!ここでは、「3-4321」となっていますね。この指遣いが非常に重要です。これを習得するためだけにこの曲はあると言っても過言ではないかもしれません!(笑)

この指遣いである理由はいろいろありますが、⾳をつなげてなめらかに弾くためには、同じ指を連続して使わない⽅が良かったりするんですね。「3-4323」「3-4323」のように同じ指遣いで弾くと、フレーズ間で3の指が連続してしまいますよね。これは弾きにくいのです。

また、速く細かい指遣いをするに当たって、暇している指(1)があるので、それを使ったほうが効率的というのもあります。

そして⼀番の理由は、この⼀拍⽬の「ドーレドシド」の次に来るのがすこし離れた「ファ」から始まる「ファーソファミファ」であるということです。

3の指を「ド」から離して「ファ」にもっていくというのはとても時間がかかります。一方で、4の指で「ファ」を弾くと指遣いが「4-5434」に変わってしまい、ポジションが安定しません。

そのため、毎回「3-4321」とすることで、次のフレーズ、そしてまた次のフレーズに行く際もスムーズに、かつ同じ指遣いで弾き続けられるんです!

これってすごいしくみだと思いませんか…?


ブルグミュラー「25の練習曲第8番『優しく美しく』ヘ長調Op.100-8」ピアノ楽譜2
(0:39~)後半は今までやっていた右手の動きが左手にまわります。左手は伴奏として、あまり動かないような曲がポップスや合唱曲には多いですね。なので、左手を右手と同じように動かすことにはまだまだ慣れない人も多いかもしれません。右利きの人はなおさらきついです。


なのでこの部分では、右手は和音で軽く伴奏をするに過ぎないので、目をつぶっていても寝ながらでも(笑)弾けるようにしておいて、左手の細かな動きに最大限集中して弾けるようにしておくと、練習がしやすくなりますよ!

まとめ

ブルグミュラー25の練習曲の8曲目の「優しく美しく」は、楽譜を見るととっても細かい32分音符がならんでいて、面食らってしまう人もいると思いますが、弾けたときは綺麗で、ピアノの音色の美しさを存分に味わえる曲になっています。

難易度的にも、案外一つの指遣いを覚えてしまえば全部一緒なので最初に見た印象よりは難しくはないですよ!

冒頭「ドーレドシド」のところを、はじめはつい「3-4323」と弾きたくなる人が多いと思いますが、これを指遣いの記載通り、「3-4321」と弾かなければいけません!この指遣いを習得するためだけにこの曲はあると言っても過言ではないかもしれません!(笑)


この曲ははじめての本格的な装飾音的な動きの出てくる曲になりますね。装飾音はいろんな曲でこれからたくさん出てきます。一度この動きを覚えてしまうと、比較的簡単にとても美しくきらびやかな演奏、演出ができるようになって、ピアノがわからない人にも「なんか綺麗!」と思わせることができますよ!

きっとあなたの憧れのあの曲にも、いつか弾いてみたいその曲にも、装飾音は入っているはず…!ぜひ指遣いを頑張って習得しましょう!



「優しく美しく」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1903年にペータース社から出版されたパブリックドメインの楽譜です。「25の練習曲」全曲が収録されており、第8番「優しく美しく」は11ページになります。

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