拝啓

親愛なるP.I.チャイコフスキー様

貴殿のご友人であるニコライ・ルビンシテイン様より、あなたに1曲作っていただくよう仰せつかりましたのでお知らせします。

いずれ開催される我が国の博覧会のための曲で、内容的には次の3つのどれかでお願いしたいとのこと。


① もう少しで完成するモスクワの大聖堂(救世主ハリストス大聖堂)の為の、カンタータっぽい「派手」なヤツ

② 博覧会向けの「ド派手」なヤツ

③ ツァーリ(皇帝陛下)即位25周年記念を祝う「超ド派手」なヤツ


楽譜出版社担当ユルゲンソーンより

P.S.この話、予算タップリ出ますんで、儲かりまっせ!

チャイコフスキー「…これはつまり騒々しい曲を書けって事だな?弟よ」

弟モデスト「そうだねアニキ!」

「いくら貰えるのか?期限は?それにカンタータっぽい合唱が必要なら、そのテーマとかストーリーも必要だろ。この手紙からは何もハッキリせん。派手な曲の作曲はやる気が出ないぞ。こっちの弦楽器のセレナーデの方が良いに決まっているぞ弟よ。」

「そうだねアニキ!でも結局今回も派手な曲書くんだよね?」


ニコライ・ルビンシテイン(1835〜1881)チャイコフスキーの友人でありピアニスト。「ピアノ協奏曲」を誕生させるきっかけとなった。



1880年、「白鳥の湖」とオペラ「エフゲニーオネーギン」が完成してからというもの、とくにこれといった大曲に取り掛かっていなかった中、こんな手紙がチャイコフスキー本人の元に送られてきました。

現在どうもチャイコフスキー本人としてはこのような派手な、演出過多な曲は嫌いなようで、同時期に作曲が進行していた名作「弦楽セレナーデ」のような古典派寄りの曲を好んでいたようです。


しかしその本人の意思とは裏腹に、出来上がった曲はHARDでDEATHでDEEPなヘヴィメタ野郎共も耳栓をしやがるほどの、とてつもない作品だったのです。

編成は合唱をつけてもよし、ブラスバンド隊を付け加えてもよし。任意に増やすことが出来るようになっています。

この点はベルリオーズの「葬送と勝利の大交響曲」と同様でありますが、この曲の極め付けにブッ飛んでいる所は本物の大砲を使用している所です。

*武器を楽器として使用するのは大変危険ですのでやめましょう。

ぶっ放せ!大砲!

大砲!大砲はカッコいい武器です。砲兵達のキビキビした動き、音、弾煙、いずれもカッコいいものです。もちろん戦争は反対ですが、砲身を作る技術も人類の歴史を支えた重要なものです。その鉄から鍛造する技術の歴史は・・・・・以下マニアックなため省略

そして大砲は祝砲としても使うことができます。時には敵兵に恐怖を与え、時には勇気を奮い立たせる。平和を象徴する事もできる武器であるようにも思うのです。

作曲者の想い(やる気ナシ)とは裏腹に、結果的にはチャイコフスキーの代表作の一つとなる祝典序曲「1812年」。今回はオーケストラ舞台の上にあるパイプオルガンの前、バンダと呼ばれるブラスバンド隊から「ドカン!」とご紹介しましょう。


祝典序曲「1812年」変ホ長調 作品49


アヴロトロス(オランダ運河フェスティバルでの野外ライブ)


ロシア帝国にとって栄誉ある「1812年戦争」をテーマに、チャイコフスキーは手紙に書かれた3つの要求に沿った曲を作ります。

ところがチャイコフスキー本人は、超がつくほどやる気がなく、後援者であるフォンメック夫人に手紙でも愚痴をこぼしていたようです。

楽譜を見てみると既存の曲を使用するなど「色々詰め込んだ」感のある作りになっています。大砲や鐘の演出もさることながら、曲自体複雑な音形等はあまりなく、わかりやすい構成、オーケストレーションとなっています。だからこそ人気のある曲となったのでしょう。


曲の内容は簡単に言うと、1812年、ナポレオン率いるフランス軍がロシアに侵攻し、順調に勝ち進みモスクワへ到達するも最後は撃退、ロシア帝国大勝利!勝利の賛歌となります。

最初は本物のロシア聖歌

実際にあるロシア正教会の賛美歌「神よ、あなたの民を救ってください」の旋律から静かに始まります(0:06~)


この箇所はヴィオラとチェロ、各パート一人ずつの六重奏ですが、本物の聖歌隊を使うこともあります。

この賛美歌が盛り上がったところで目の前に広大な平野が広がるような情景が浮かんでくるようです(2:13)

ボロジノの闘い(2:19~)

ナポレオン軍その数史上最大の約60万!対するロシア帝国軍はわずか23万



モスクワから西へ約120キロ。広大な平野の中にある小さな村ボロジノ。ここの周辺でヨーロッパ史上最大の大軍勢率いるフランスナポレオン軍とそれを迎え撃つロシア帝国軍が陣形を展開しにらみ合っています。


開戦準備の緊張感が、弦楽器の刻み伴奏と民謡風なオーボエソロで現されます(2:19~)。荒涼とした大地の匂いがしてくるような旋律。これから始まる戦闘の緊張感…

オーボエソロ


弦の刻み



対するロシア帝国側の総司令は、数々の歴戦を生き抜いてきた独眼のベテラン老将軍「ミハイル・クトゥーゾフ」。

ミハイル・クトゥーゾフ(1745~1813)若かりし日の戦闘で右目を失う。冷静沈着の独眼竜



両軍兵士に広がる、底弦楽器による恐怖感のうねり(3:47~)。そしてスネアドラムの行進曲のリズムを先導にロシアコサック兵団を表すファンファーレ風な旋律が現れます(4:07~)


グラン・ダルメ(大陸軍)とラ・マルセイエーズ

ついに戦闘開始!(5:01~)慌ただしい弦楽器が両軍の進軍を表しているようです。

そしてホルンの断片的なファンファーレから、有名なフランスの国歌「ラ・マルセイエーズ」がコルネットによって高らかに奏されます(5:49~)

これは優勢なフランスナポレオン軍を表す



結果はナポレオン軍の圧倒的勝利!ロシア軍は撤退しますがクトゥーゾフ将軍には何か狙いがあるようです。フランス軍は敵の殲滅をはかるためさらに追跡していきます。

コサック兵達の憩い(7:02~)

ここで一旦休戦。曲調もガラッと変わり、チャイコフスキーらしい美しい旋律が歌われます。故郷に残してきた家族や美しい恋人を想う兵士たち・・・・


これはチャイコフスキーが初期に作曲しようとして破棄されたオペラ「地方長官」で歌われるアリアの引用です。

ロシア民族舞踏(8:33~)

さらに曲はロシアの広大な雪原を思わせる神秘的な民謡風旋律へと移ります。

児童合唱で歌われる盤もありますがとても神秘的です。


この旋律は実際にロシアにある民族舞踊の曲で、本来はかなり速いテンポとアクロバティックなダンスが特徴的です。いつ終わるともしれない戦争。陽気なリズムでは踊れない兵士たち・・・・

遠くへ消え入るようにデクレシェンドしてゆくと…

再び開戦(9:16~)

再び闘いが!!ここでもフランス軍の圧勝「ラ・マルセイエーズ」響き渡ります(10:27~)。向かうところ敵なしのフランス軍ですが…

なにか秘策があるのかのように余裕のロシア帝国軍。再び美しい旋律(10:54~)。民族舞踏の旋律(11:38~)

大砲登場!!フランスナポレオン軍の衝撃!

しかし再びフランス軍が遠くから攻めてきます(11:59~)。しかし今度は簡単には行かせない。おお、コサック兵の登場だッ!いよいよ見せ場!!ついにモスクワにフランスナポレオン軍がなだれ込み高らかに「ラ・マルセイエーズ」を歌おうとしますが・・・。

その時!それをかき消すように、ついにロシア軍の大砲がフランス軍を攻撃します(12:30~)

このナポレオン軍のラ・マルセイエーズに大砲5発ぶっ放します!


フランス軍の激しい衝撃がシンバルとともに上昇音形で表されます(12:38)

フランス軍大敗北と敗走(12:43~)

モスクワで大打撃を受けるナポレオン




ここから弦楽器と木管楽器の全合奏で下降音形が繰り返されます。どんどん下降して行きます(12:43~)。フランスナポレオン軍の撤退を表現していますが、これでもかというくらいに下降音形が繰り返されます。ついに決着がついたのです!

なだれるように大撤退!


大賛歌「神よ、あなたの民を救って下さい」(13:25~)

この下降音形がこれ以上下がれず、音量も最大に膨れ上がった時、ついに冒頭の聖歌が歌われます!ロシアの大勝利です!!


そしてバンダも含めて「派手」に、盛大に冒頭の賛歌がほぼ全合奏で歌われます。合間に弦楽器と木管楽器が重厚できらびやかな音階で華やかに彩ります。

バンダの楽譜。上はトランペット、下はトロンボーン。


とにかく盛大です!強弱記号はf(フォルテ)3つ!fff、「フオルテッシッシモ」です!特にトランペットは高音が続くので結構キツです!勝利の鐘もしきりに鳴り響きます!演奏によってはここで合唱隊が加わり、演奏効果はバツグンです。

コサック兵団の凱旋!ロシア帝国万歳!(14:43~)

そしてそして、曲のテンポは急速に上がり、コサック兵団の凱旋ファンファーレでさらに大白熱して行きます。バンダ隊の「ド派手」でスピーディーなコサックダンス風ファンファーレ!!

「f」がいっぱい!2番トランペットのハモりが楽しい!


強弱記号はさらに割増のf f f f!!!!フォルテが4つ!!!!フォルテッシッシッシッ…もうッ!とりあえず大爆音でッ!ここまでくるとオーケストラ全体が超音量なので、自分の吹いている音も聞こえないくらいの大合奏となります。

極めつけに今度は、これでもかと言わんばかりに「超ド派手」に「ロシア帝国国歌」がトロンボーン、チューバ隊で!(14:53~)ウラー!ロッッシースカヤインペリヤ!(ロシア帝国万歳)

皇帝を称える内容のロシア帝国国歌。「スラヴ行進曲」でも使用される。



そして、同時に大砲の音(動画ではマスケット銃)、祝砲です。鐘もガンガンと、全てが「超ド派手」に鳴り響く感動の嵐です!史上最強の英雄を撃退したロシア帝国の大団円で曲は終わります。

素直な心で

この祝典序曲「1812年」が完成した次の年、博覧会が中止となります。さらに依頼主でありチャイコフスキー親友であったニコライ・ルビンシテインは死去してしまいます。チャイコフスキーは悲しみに暮れながらも、この曲を同時期に仕上がった「弦楽セレナーデ」と共に初演できないものかと当時の名指揮者エドゥアルド・ナープラヴニークに依頼します。しかしこの「1812年」の演奏は断られてしまいます。

エドゥアルド・ナープラヴニーク(1839~1916)
チャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」の初演や交響曲6番「悲愴」の改訂をした。



もともとこの曲には愛着がなかったチャイコフスキー、その後別に開催された博覧会で初演されるも、評価はイマイチ。「まあ、こんなもんだろうな、弟よ」とボヤいていたものの、何度か演奏されるうちに次第に人気曲に。完成後約6年目にチャイコフスキー自身の指揮で演奏され「あれ、これ案外いい感じじゃね?弟よ」と本人も満足のいく結果となりました。

同時に作曲された「弦楽セレナーデ」と、それとは対照的なこの曲は、チャイコフスキーの「静」の面と「激」の面を表した2曲といえると思います。素になって作られたからこそこの2曲はチャイコフスキーらしい名作となったのではないでしょうか。

動画の演奏も本当に素晴らしい演奏ですね!聴いている人達、若い人もお年寄りも皆いい表情をしています。まさに素の感動!いい音楽を聴いている時の人は皆いい顔をします。

そうだ、私も心を素にして言おう!

「これ大砲がねェよ?これマスケット銃だョ?」

そんな大砲フェチでDEEPでHARDなヤツらはこちらの動画を


陸上自衛隊 M101 105mm榴弾砲使用(9:46~)

大砲に注意が行ってしまいますが、陸上自衛隊音楽隊の演奏が素晴らしい!

バンダブラスバンド隊

今回この曲で私は「バンダ」と呼ばれるファンファーレ隊として参加。バンダとは、オーケストラ舞台とは別の場所で演奏される、主に金管アンサンブル等の事をいいます。

バンダの場所は客席の後ろだったり舞台横、または2階席など様々ですが、この曲ではオーケストラ舞台の上、パイプオルガンの前です。

普通コンサートホールでのバンダは、下の動画のようにパイプオルガンの前に整列して演奏します。


典型的なオーケストラバンダの演奏

バンダ部隊は、通常はスタッフとオルガン奏者しか入れない楽屋口から階段を登って、舞台の下手側から並んで入って行きます。おお、パイプオルガンの裏ってこうなっているんだ…実はこの場所は思ったより高さがあり、舞台がずっと下にあるように感じます。ちょっと怖いですね…

バンダはとくに大編成の祝典的な曲で用いられる事が多いです。たとえばレスピーギの「ローマの祭り」やショスタコーヴィッチの「祝典序曲」などなど、オペラなどでもよく使われますね。

大太鼓でドカン!

この曲を演奏する場合、現実的に大砲を用意するのは難しいので、バスドラムで代用することが多いです。学校の音楽室にある大太鼓でそれっぽい音が出せます。

太鼓の叩く方の表側を、フチの周りにあるネジを均等にキツめに締めて、太鼓のヘッド(打面の皮)を固めに貼ります。そして裏側はゆるめに張ります。ネジを表とは逆に不均等に締めるのがコツです。それを2~3台用意し、少し硬めのマレット(フェルトが巻いてある太鼓バチ)で2~3台同時に思いっきり叩くと大砲っぽい音になります。

名盤紹介

演奏者によって合唱隊が入ったり編成を増やしたり出来る曲なので、様々な盤があります。大砲も本物を使った盤、バスドラムで代用した盤色々ありますがその中でも熱い演奏者をドカン!とご紹介!

ネーメ・ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団

チャイコフスキー:大序曲《1812年》、他

冒頭の聖歌を合唱隊が歌います。教会の聖歌隊の様に清楚な響きが素晴らしい!

最後のコサック兵のクライマックスから非常にスピード感ある演奏で、聴いていて熱くなれる演奏です。大砲の音もバッチリです。

エリック・カンゼル/シンシナティ交響楽団

1812 Overture / Capriccio Italien

シンシナティオーケストラはクラシックだけでなく、ポップスやジャズ、映画音楽など様々な演奏をしている素晴らしいオーケストラです。

この盤が昔レコードで発売された際、「スピーカーが大砲の音で壊れるかもしれないのでご注意下さい」という注意書きが書かれていました。実際壊れることはありませんが…CDにも書かれています。

もちろん本物の大砲が使われています。博物館から借用したものらしいです。

途中の民族舞踏(動画8:33~)の部分を児童合唱で歌っているところがロシアの雪原を思わせる神秘的な雰囲気をかもし出しています。最後の盛り上がりのブラスバンド隊がいい感じです。

アンタル・ドラティ/ミネアポリス交響楽団, ロンドン交響楽団, ミネソタ大学ブラス・バンド

チャイコフスキー:大序曲「1812年」他

おそらく初の本物の大砲での盤と思われます。

大砲の音がリアルなのはこの盤が1番ではないでしょうか。爆音の衝撃が四方に広がるような音がします。

ロリン・マゼール/ウィーンフィル

チャイコフスキー:1812年

ウィーンフィルらしいメリハリのある音が聴けます。ちなみにウィーンフィルでのこの曲の初演はグスタフ・マーラーが指揮を振りました。

ヴラジーミル・アシュケナージ/サンクトペテルブルク室内合唱団、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団 、レニングラード軍楽隊

Tchaikovsky: 1812 Overture; Serenade for Strings; Romeo & Juliet Overture etc.

合唱パートがある演奏です。もともとこの曲には合唱パートは無く、合唱隊を使用する際、どうしても後付感のある感じになりがちですが、この盤は違和感のない自然でいい感じの合唱が入っています。

演奏も素晴らしく、合唱入りの演奏としては一番バランスの良い演奏だと思います。「ロシア帝国国家」も合唱付きです(動画14:53~)

同時期に作曲された「弦楽セレナーデ」や少し関係のある「交響的バラード地方長官」(「1812年」の旋律はありませんが)もカップリングされているのも魅力的です。

ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィル

チャイコフスキー:1812年

最初の聖歌隊が音程などおかまいなしに全力で歌っています。これがまた古いロシアの雰囲気を出していていい感じです。

ナポレオンが撤退する下降音形のところ(動画12:43~)がものすごく分厚く、その他もカラヤン/ベルリンフィルの魅力満載の演奏です。

エフゲニー・スヴェトラーノフ/ロシア国立交響楽団

チャイコフスキー名曲集
オーソドックスな演奏

『アート・オブ・スヴェトラーノフ』 スヴェトラーノフ&ソ連国立交響楽団
こちらはソヴィエト時代の演奏。「ロシア帝国国歌」は禁止されていた。


「爆演」指揮者として知られるスヴェトラーノフ。合唱はなく、おそらく大砲も大太鼓等で代用しているようです。一見オーソドックスな演奏に聞こえますが、全体的な音の緊張感やリズム感など飽きのこない演奏です。一番最後の伸ばしの音をさらにクレシエンドさせるところが熱いです!

下の盤はソヴィエト時代の演奏。ちなみソヴィエト時代にこの曲を演奏するとき、最後のクライマックスでは反体制的である!として「ロシア帝国国歌」(動画14:53~)は禁止され、グリンカの「皇帝に捧げし命」にすり替えられて演奏されました。この盤にある「スラブ行進曲」ですらその部分がグリンカの旋律になっています。

シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団

チャイコフスキー:1812年

あのデュトワ・モントリオール響にしてはかなりの「奇演」です。ナポレオンが撤退した後の聖歌から(動画13:25~)大砲の音もバンダもシンセサイザーで演奏しています。なぜ…?

おそらく、純粋にオーケストラの音で聴かせたいという意図があるのかもしれません。演奏そのものはさすがモントリオール交響楽団、大変素晴らしいものです。

5分で解る!かも知れない!!1812年ロシア戦役

ところでなぜナポレオンは1812年、ロシアに戦争を仕掛けたのでしょうか?しかもヨーロッパ史上最大の大軍勢で。簡単に説明すると、

① フランス革命に乗じて勢いを増すナポレオン。そこでロシア、イギリス、オーストリア、プロイセン(今のドイツの一部)がそれを抑えようと戦うも、ナポレオン軍に敗れてしまう。

② 結果としてロシアは工業国イギリスとの貿易を禁止される(大陸封鎖令といわれる)

③ でもロシア、領地外にこっそり港を作って、内緒でイギリスと貿易。

④ ナポレオンにバレちゃった(・ω<)テヘペロ←ナポレオン「殺す!」

圧倒的なナポレオン軍に対し、劣勢のロシア。クトゥーゾフ将軍は正面から戦うことを極力避けて、撤退を繰り返します。そして大胆な賭けに打って出ます。

モスクワの全市民を一旦疎開させ、この都市をもぬけの殻とします。そしてナポレオン軍をモスクワにおびき寄せます。

モスクワには食料も物資も無く、さらには交渉するべきロシア側の外交官も誰もいません。途方に暮れるフランスナポレオン軍。

憧れのモスクワに着いたものの、な~んにも無い


そしてロシア軍による街への放火、火攻め、つまり焦土作戦が展開されます。補給物資も断たれ、疲弊してゆくフランスナポレオン軍。そしてこれからやってくる「冬将軍」。

ロシアの冬の寒さは生半可では無いことはナポレオンも知っています。彼はロシアを落せなかった悔しさに耐えつつ、遂にフランスへ撤退することを決意します。

凍てつく寒さの中、ロシアの広大な平原での退却は悲惨なものでした。側面から突如襲いかかるコサック兵。背後からはロシア正規軍の攻撃にあい、さらに所々で農民達にも攻撃を仕掛けられます。60万を超した兵力も今や数万までに。ナポレオン本人は数名の部下と敵の目をかいくぐり、ほうほうの体でパリに着くことができました。

(コサック兵とは、普段は農民で戦のときは兵隊となる、日本でいう戦国時代の足軽等と似たような兵隊です)

「あと2週間早く撤退していればクトゥーゾフを倒せたのに・・・」とナポレオンは後に語っています。

この大敗北を期に最強の英雄ナポレオンは没落してゆくのでした。


兵士たちの物語

いつの時代でも戦争となれば、従軍する兵士たちは死と隣り合わせの戦場へと乗り込むことになります。手柄を立て英雄になるか、手足と心を失い、苦しい余生を過ごすことを余儀なくされるのか、あるいは何も残らない栄誉ある死か・・・

この1812年戦争で戦ったどちら側の兵士たちにも、家族や愛する恋人が祖国で待っていたはずです。彼ら、彼女らはどんな心境だったのでしょうか。

有名なトルストイの著作「戦争と平和」にこの時の戦場、または兵士を待つ街の人々の様子、思いが詳しく表されています。

戦争と平和〈1〉 (岩波文庫)

読んだことがない人でも「トルストイ」と「戦争と平和」という名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。


なんか文字がいっぱいでヤダー!という人はこちら
戦争と平和 (まんがで読破)

かなり短くまとめていますが、概要を知るには充分。文字だけでは伝わり切れない雰囲気等は漫画だとわかりやすいですね。

ぜひこの名曲「1812年」に感動した人はこの機会に名著「戦争と平和」も読破してみてはいかがでしょうか。高らかに歌われる「ロシア帝国国歌」や「大砲」の意味もより深く理解できるでしょう。


Third picture By RANDAL-T [GFDL or GFDL], via Wikimedia Commons.
The picture of Borodino battle map By Gregory Fremont-Barnes (main editor) [Attribution], via Wikimedia Commons.

 オーケストラ曲の記事一覧