憧れのショパンエチュード。よろこび勇んで1曲目を開くと…なるほどハ長調です。ところがこれが弾きにくい!
それもそのはず、エチュードop.10の12曲の中でも、第1曲目はとくに難易度が高くて有名なのです。
今度この曲弾くのだけどいったいどうしたらいいの~?と途方に暮れそうになったら、ちょっとピアノから離れて、読んでみてください!
エチュード12曲の幕開けにふさわしい華麗なアルペジオ(分散和音)の弾き方について考えてみましょう!
■ 目次
最初はゆっくりと
右手のメロディを追いかけていくと、小指(ミ)にはアクセントがついていますね。まず、このミを小指で拾っていきます。ミ、ミ、ミ、ミ↑ ミ、ミ、ミ、ミ↓。最初のド・ソ・ドは、ミ↑が引き寄せている感じです。そう思うとド・ソ・ドは、そんなに意識しなくても、はずすことなく弾けるような気がしてきました。
これが上り坂だとしますね。
そして、下り坂2小節目は、ミから解散していく感じ。こう思うと、下り坂も軽い感触で弾けてくるから不思議です。
そう、ピアノは、意識づけしだいで弾きやすくなるんですよ!
次にメロディを付点つき(スキップ)のリズムなどで練習します。
わざと複雑なリズムにすることで、メロディが多角度から頭にインプットされ、元の形に戻した時に、楽に弾けるようになるんです。
「意識づけ」との合わせ技で、1小節目(上り坂)でスキップに勢いつけて、2小節目(下り坂)は慎重に、というふうに、頭の中でパターン化していくのもよいですよ。
さあ、アルペジオに乗ってきました。
でてきた難所、必殺…!
アルペジオを乗りこなすうちに、どうしても弾けない箇所に遭遇してしまいました!それは22小節目から。30小節目に至っては、どうやっても届く気がしません!
黒鍵の上をさまよいながら、まるで手がかりがありません。
こんなところは…
左手を使ってしまいましょう!
ドは左手で取っちゃいましょう!!
そんなことしちゃいけないんじゃないかって?
でもちょっと考えてみて。ショパンの時代はもうちょっと鍵盤幅が細いピアノを使っていたのです。手の小さい人は知恵を使って、ここを乗り切っちゃいましょう。
もちろん大事なのは…
この曲の課題は、右手がアルペジオに乗れているということ。なんとか頑張れるところは、右手だけでつないでいきたいです。
(頑張れるところは手抜きしないことが、みんなの理解を得られるコツ♪)
どうしようもない30小節目に比べたら…
24小節目はなんとかなるかな?右手で頑張れそう?
16分音符の1、4個目を意識、2、3個目は触る程度に。
26小節目はいいアイディアないかな?
音の響きを生かして、ちょっと粘った表現でカバーしようか。
泣く泣く使う、左手の飛び道具。
ここだけは!と必死に右手で食い下がるフレーズ。
体のクセと相談しながら進む難所には、思いがけなく生まれる表情、自分だけのニュアンスも発見するはず。
これを繰り返しながら、私が手に入れたことは…
曲の最初は、なんて弾きやすかったんだろう!!
49小節目の再現部分にたどり着いたときに感じる安堵感。
なんて心地よいのでしょう!
今はもう変わりゆく和音を楽しみながら、分散和音に乗ることができる!
実は、この曲で学びたかったことは…
サビ部分の分散和音を華麗に弾ける、ということなのです。エチュード12曲が華やかに幕開けする、最初のサビこそが、この曲の音楽上のかなめ。
たまに奥の手を使ったとしても、この再現部まで、沈没せずにたどり着けたなら、
この再現部を自在に美しく弾けたなら、
この曲は、おおむね成功なのです!
エンディングに向かって
そして、69小節目ではアヴェマリアのような和音に酔いながら、凪のように終わるもよし。輝かしく終わるもよし…。
どうですか。あんなに難しかった分散和音、ちょっとだけ、手のひらに捕まえた感じがしてきませんか。
そしたらまた、はじめから弾いてみましょうよ。
ほら、前よりずっと、アルペジオが堂々と鳴っているはず!
まとめ
・ピアノは意識づけしだいで弾きやすくなる。・全く不可能なところは、両手でカバー。
・あえて不可能なことに対面することで、それまでの不可能は可能になる。
・結果、本来一番うったえたいところが、自信を持って弾けるようになる。
ショパンエチュードop10-1は、曲を弾いている、まさにその間に、ピアノ弾きを成長させてくれる、逸曲なのです。
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こんにちは、 確かに中間部の一部は弾きにくいですが・・・
指ではなく、腕の動き、移動で弾いていますか?
奏法を間違えなければ、手が小さめでもなんとかなりますよ。
ショパンも手が大きい人ではなかったので。
コメントいただき大変ありがとうございます!
まったくその通りですね!(*^_^*)
すこしだけご意見に付け加えさせていただくと、この曲は、鍵盤に対する十分な空間認知力があって、手首や腕の動きのコツを掴むと、中間部も弾きやすくなりますね♪
空間認知は、ロシアものを弾いたり、黒鍵を沢山使う曲を弾く経験によっても柔軟に鍛えられると思います。しかし、困ったことにショパンのエチュードは、バックグラウンドの経験が十分ではない私のような状態でも取り組む方が多いと思います。
Op10-1そのものの経験だけでは、この曲全部を指示通り綺麗に弾くことがちょっと難しい場合があるので、自分の経験上から、曲に潰されない上手な経験の積み方について記事に書いてみました♪
熟読してくださり、大変ありがとうございます!また、どうぞよろしくお願いいたします。
わたしは、脳筋ピアノさんのこちらの記事が、とても参考になりました。コルトー版の楽譜を押さえながら一緒に読むと、op10-1にお悩みの方には、大変ヒントになるのではないかと思います。
https://shirokuroneko.com/archives/3919.html
わたくしの記事を読んでモヤモヤとした方は、
ぜひ脳筋ピアノさんの記事も読んでみてください!