幼い頃からピアノ教室に通っていた人はほとんどの場合がいわゆる「クラシックピアノ」を習っていたと思うんですよね。
私がピアノを習っていた小学生時代、バイエルからツェルニー、ブルグミュラー、ソナチネ等の練習曲。それと並行しながらハノン(指のトレーニングの教本)も練習して…。
と、その先のことはあまりよく知らないんですけど^^;、上級になればベートーヴェンやモーツァルトのソナタやショパンのエチュードなどに行くのかな?^^;
私はそんなレベルに行くまでに挫折?いやそれ以前にやる気がなかったようで、せいぜいソナチネ前半ぐらいのレベルで止まってしまいました(・・;
ほぼそのままのレベル?いやそれ以下になりながらも(+_+)、かれこれもう40年以上ピアノと付き合っていることになります。
大人になってから参加しだしたピアノ弾き合い会や音楽のサークルの中に自分より上手い人は当然何人もいましたし、常に「自分が一番下手と思って練習しなきゃ」というぐらいの気持ちでいました(まぁ実際一番下手でしたし(・・;)。
そういったサークルとは別に、私が出会った中で最も才能があったと思われる音大卒の友人がいました。彼に「○○(曲名)って弾ける?」という質問をすると決まって言うセリフがありました。
「楽譜があったら弾けるよ」
■ 目次
「楽譜があったら弾けるよ」の反対の意味は?
実際に私が持ってきた楽譜でその友人が弾くと、例えば映画音楽なんかだったら、普通の一般家庭のピアノの部屋がたちまち夜のおしゃれなバーにでもいるような雰囲気に変わることにびっくりしたものでした。もちろん初見です!
私は「自分が同じ曲を頑張って練習してやっと弾けるようになっても夜のバーにいるような雰囲気には全然ならないゾ(・・;)」とまぁ持てる才能の違いに唖然としましたが、そんなことは当然ですよね^^;
勿論クラシックを弾かせればショパンのバラード第一番や英雄ポロネーズ、別れの曲、幻想即興曲などのプロレベルの演奏をすぐそばで聴かせてもらえたのはいまでも良い思い出です(ほとんど私の趣味でリクエストしてました^^;)。
しかしながら今回書こうとしているのは、いまさらどうにもならない才能云々のことではなく、その友人がいつも言っていた
「楽譜があれば弾けるよ」
という言葉についてです。
この言葉は一見凄いように見えて(いや実際凄いんですが^^;)、逆にいえば「楽譜がなかったら弾けないの?」という意味にも取れるわけです。
彼は「楽譜を見て初見で素晴らしい演奏」はできますが本人曰く「楽譜がない状態で適当に弾く」ということがどうもできなかったらしいのです。
野球に例えると150kmのボールを投げられるピッチャーでも一塁にかる~く投げたつもりが暴投になってしまうケースをたまに見かけますよね。これと同じ?ちょっと違うかな?(笑)
それはともかく「適当に弾く」ことの価値観は別にしても、これ(楽譜がない状態で適当に弾く)が役に立つことって意外と(!)あるんですよね。
この場合の「楽譜がない状態」とはいわゆる「暗譜してないから弾けません」というのではなく、「知ってる曲なら(弾いたことはないから適当にはなるけど)楽譜がなくても弾けますよ」という意味のことを指しています。
なのでピアノレッスンでよく見かける光景…。たとえば一音たりとも見逃さず音符を読み込み、さらには「楽譜にあらわしきれていない作曲者の意図まで理解して弾きなさい」などという指導を受けてきたクラシックピアノ弾きさんにはちょっと想像できないことかも知れません。
でもそういう芸術的なピアノ演奏は専門家に進んだピアニストさんにお任せして、趣味で弾いているコチラ側の皆さんはもっと楽しくリラックスしてピアノに取り組んでみませんか?
コードを覚えればほとんどの曲がすぐ弾ける?
上に書いたようなクラシックピアノのレッスン風景とは相反してギターで弾き語りしているアマチュアミュージシャンたちの様子はどうでしょうか?
路上ライヴやもちろんライヴハウスでも見掛けたりすることがあるんですが、彼(彼女)らは実に楽しそうにギターをかき鳴らしていきいきと歌っています。
おそらく「楽譜に縛られていない」のもひとつの要因かと思われます。
ですのでピアノでもこのようなスタンスで弾けたらきっと今よりも楽しいことでしょう。
「だけど自分は楽譜がないと弾けません」というあなた…。
そこで「コード」を覚えてみましょう。
10秒でわかるコードの仕組みとは?
上記のミュージシャンたちはみんな「コード」を覚えて弾き語りを楽しんでいます。あえて強引にいえば彼らがまずやったことは「コードを覚える」それだけです。
コードというのは「和音」のことですが、和音といういい方をやめてここではコードと呼びます。
なぜか日本ではクラシックの場合、和音や和声と呼びますがそれ以外の音楽、フォークやロック、ジャズ、フュージョンなどではほぼ例外なく和音のことを「コード」と呼んでいます。
もちろん歌謡曲も同様です。
クラシックだけを弾いてきてこれまで「コード」に触れたことがないあなたの頭の中はおそらく「え~?いまからイチからおぼえるの?めんどくせ~」と思われたかな?(笑)
だけど「10秒でコードのカラクリがわかりますよ」といわれればやってみたくなりませんか?^_^
それではいますぐピアノの部屋に行きましょう!
さぁ始めます。
まず右手でドミソの音を鳴らしてみてください。一応書きますと指はドが親指、ミが中指、ソは小指。いたって普通の指使いです。
さぁここからです!準備はいいですか?
ドミソの上に置いた三本の指で音を鳴らしたら、そのまま指は1ミリも動かさずに右隣の鍵盤に手首の移動だけさせてください。
そしたらレ、ファ、ラに指を置いたことになりますね。
同じようにまた右隣りに移動させると今度はミ、ソ、シ。次はファ、ラ、ド…。
順ぐりに上がっていって1オクターブ高いドミソに到着したら終わりです。手首を移動させただけで指そのものは動かしてませんよね?
これであなたはCのキー(ハ長調)で使われるコード(和音)のほぼ全て(例外はもちろん除きます)を弾いたことになります。
どうですか?ピアノを弾いてるあなたなら10秒以内でできたでしょう?
「C(ハ長調)のキー(調)ではどんなコード(和音)が使われているのか?」が目と耳でとりあえずはわかっていただけたのではないかと思います。
「ひとつのキーの中で使われているコードはほぼ決まっている」ことがわかったなら「楽譜がなくてもほとんどの曲は弾ける」ということになります。
私がまだコードの仕組みを知らなかった頃は、曲のメロディーに合ったコードを探すのは何百というピースのジグソーパズルを完成させるような作業だと、とても自分にできるものではない作業だと思い込んでいました(いくらなんでも無知過ぎるかな^^;)。
でもこの理屈を理解できれば(極論ではありますが)たったの8~12ピースぐらい…。それこそ子供用のパズルと同じだな、ということがわかったんです。
これが理解できた上で、コードを勉強していけば、譜面をわざわざ用意しなくてもCやDなどコードネームだけで何の音が必要なのかわかりますし、さらにはなにも見なくても曲を聞いただけでコード進行のパターンがわかるようになってきます。
つまり(今の時点では)かなり大雑把ではありますが「楽譜がなくても弾ける」ことになります。
松田聖子「渚のバルコニー」(作曲:呉田軽穂)を使って検証します!
※ピアノアレンジと演奏は私です。
まずこの曲のキーはG(ト長調)です。なので♯はファにひとつ付きます。
さきほど上記に記したのと同じ要領でGのキーで使われるコードを探してみましょう。
この曲のアタマの部分のコードを書き取ってみます。ネットにある歌詞やコードのサイトはコピペできないのがほとんどのようですので、皆さん各自でいろんな曲をご覧頂ければよいかと思います。
※ちなみにAm7とはセブンス・コード、つまり属七の和音のことです。
※Am onDというのは左手で弾くベース音のみD(レ)の音にして右手のコードはAmで弾いてくださいね、という意味です。
これはほんの一例ですけども、このコードの法則を知ってるか知らないかでここから先に進む早さはおそらく違ってくると思うんですよね。
ギターと違ってピアノは今どの音が鳴っているかを瞬時に目で見ることができます。
その意味でもピアノは音の並びを早く理解できて他の楽器への融通もきく楽器です。
長くなりましたので今回はここまでにしますが、今後のピアノライフの充実のためにもぜひ、コードの使い方を覚えてみてください。
「私が知ってる曲なら楽譜がなくても弾けますよ」と言えるようになればたとえあなたが弾いてるのが「趣味のピアノ」であってもまわりの人たちからは「あなどれない(!)存在」( ゚д゚)になることでしょう(*^^*)
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
まとめ
1.「楽譜があったら弾ける」けど楽譜がなかったらなにもできない?2.ギター弾き語りミュージシャンがいきいきと歌っているのは「楽譜に縛られていないから」
3.コードの仕組みを理解すれば楽譜がなくても弾けるようになる?
4.松田聖子「渚のバルコニー」(作曲:呉田軽穂)で検証してみましょう!