新しい曲に挑戦するときに、まず初めにやらなければならないことと言えば、譜読みですよね。
皆さん譜読みは好きですか?
私は実は譜読みが好きではありません。初見が得意な人や譜読みが苦にならない人は羨ましいです。
専門的に音楽を学ぶ人達は初見が得意な人が割と多いのですが、私は苦手なので譜読みに時間がかかってしまいます。
譜読みは遅いですが、その代わり暗譜が速いので、曲の仕上げは譜読みが得意な人と同じくらいのスピードに追い上げることができました。
人によって譜読みのスピードはかなり差があると思います。
譜読みが苦手な人は何をどうしたらいいのかわからないのではないですか?気合いで何とか乗り切ろうとしていませんか?
とりあえず通して最後まで弾く、途中までを確実に弾く、片手ずつ弾くなど…譜読みの仕方は人それぞれあると思います。
今回は譜読みが好きではない私が譜読みを少しでも楽にするコツについて書いていきたいと思います。
■ 目次
鍵盤楽器は譜読みが大変
ピアノは両手で弾くので大譜表(2段の5線譜)で書いてありますよね。これはピアノに限らず、鍵盤楽器は全てそうです。オルガンやエレクトーンは足鍵盤もあるのでピアノよりもさらに難しいかもしれませんね。
他の楽器の楽譜はというと、音部記号は楽器の音域によって、ト音記号だったり、ヘ音記号だったり、ハ音記号だったりと違いはありますが、通常1段で書かれます。(ハープは大譜表)
私達が弾いているピアノという楽器は音域がとても広いので、ト音記号もヘ音記号も読む必要があり、他の楽器の人達よりも譜読みをする量が単純に多いのです。
ピアノは楽器の王様と呼ばれていて、オーケストラで使われている楽器の全ての音域をカバーできます。
楽器の王様とまで呼ばれている楽器なので、他の楽器よりも苦労するのは仕方のないことなのでしょうかね?
他のどの楽器よりも鍵盤楽器の楽譜に書かれている情報量が多いのです。その情報量の多い楽譜を見て、瞬時に両手を動かし、ペダルを踏むために足まで動かしているなんて…
何となくやってきたことですが、改めて考えてみると大変な作業をしているんだなと思います。
ピアノを習うと良いというのは、目から入って来た情報を理解し、そして右手、左手、足、どれも全く違う動きをさせているというところにあるのかもしれません。
きっと脳はフル回転してるはずですね!
音符の下にカタカナをふらない
音符の下に全てカタカナがふってあることがあります。これは大人向けの楽譜に非常に多いのですが、これは良くないと思います。
これでは音符を読むのではなくカタカナを読んでいることになります。音符は音だけでなく、リズムとセットになって書かれています。カタカナはただの文字です。
弾いていく場合、音とリズムはセットで理解していかないといけないのですが、カタカナはリズムを表してはくれません。
音符の下に書いてあるのだから、リズムもちゃんと見えているから大丈夫と思われるかもしれませんが、同時に見れていないというのが問題です。
やはり、どうしても普段見慣れている文字の方が先に目に飛び込んで来てしまうと思います。これを繰り返していると、カタカナが書かれていないと弾けなくなってしまいます。
譜読みが嫌いになる原因の1つは音が読めないことです。
音読みが苦手ならこんな方法で慣れていくというのはどうでしょうか?これは私の音楽教室で子供の生徒さんに実際にやっている方法です。
その方法はまず、ドからシまでの音に色を決めます。色は何色でもOKですが、同じ色や見分けがつかない色は使わないようにしましょう。1度色を決めたら混乱してしまうので、変更しないようにしましょうね。
色が決まったら、読めない音や読みにくい音をその色で囲んでいきましょう。カタカナと同じような方法ですが、この方法だといつも同じ位置に同じ色があることになるのでカタカナでドレミが書いてあるよりは音読みができるようになると思いますし、リズムも同時に読むことができます。
ピアノを習い始めてから当分はハ長調の曲が多いと思いますが、だんだん調号がついた曲も弾くようになると思います。調号が多くなれば♯や♭をつけ忘れるということもありますよね。
調性感がついてくるとそのようなことはなくなりますが、それまではつけ忘れないように調号のつく音符を色で囲んでおくと間違えなくなると思います。
リズムがわからないところは抜き出して、たたいてみる
譜読みは音を読むだけでなく、リズムも読まなくてはいけません。
リズムを読むのが苦手なら、たたく練習をするというのがいいかもしれません。手でたたきながら口でリズムを言うようにするとたたき方がよりわかるようになると思います。
主なリズムと言葉を書いておきますね。
リズムを自分で作って、たたく練習をしてみましょう。
こんな感じでリズムの並びを変えて練習していけば、リズムを正しく読むことができます。
これが出来れば楽譜の中で出てきてもわかるようになると思います。もしわからなくなったとしても、リズムを抜き出してたたいてみたら絶対にわかります。
この他のリズムで難しいのは3連符ではないでしょうか?
3連符は均等にたたくのが難しいので、「りんご」のように3文字の言葉を当てはめると上手くいきます。言葉は3文字なら何でもいいですよ。
3連符が続くときは「りんご、いちご、みかん…」のように羅列していってもいいですし、「りんご、狩りに、行くよ」のように文章にしてもいいです。
試してみて下さい!
まずは全体を把握する
譜読みをするときはまずは曲全体を確認しましょう。
全然弾けなくてもいいので、全体を把握するために最後まで通して曲の雰囲気を感じてみましょう。両手が難しいのであれば、右手だけでもいいです。
曲には形式というものがあります。2部形式、3部形式、ロンド形式、ソナタ形式などなど、形式にも色々あります。
自分の弾く曲がどの形式なのか分析するというのも勉強になりますが、知識がないとなかなか難しいので、もっと単純に、同じ部分や似ている部分というのを探してみましょう。
同じ部分ばかりでは飽きてしまうので、雰囲気が違う部分というのも曲の中には必ず出てきます。
それを譜読みの最初の段階で見つけておきます。
そうすると同じ部分は譜読みを省くことができますし、似ているけど少し変化している部分は、変化部分だけを譜読みすれば済みます。雰囲気の違う部分は譜読みをちゃんとしないといけない部分ということですね。
いつも最初から譜読みをしなくていいですし、効率を考えて練習をしていいんですよ。
全体だけでなく、細かくも見る
譜読みのときはとりあえず、音とリズムだけ読んでいくのではなく、指づかいとアーティキュレーションも譜読みの段階でちゃんと守っておきましょう。
指づかいを疎かにする人がとても多いのですが、指づかいは大切なんですよ!
指づかいは何のために書いてあると思いますか?それは弾きやすくするためだったり、音色を変えるためだったりと色々と意味があるんです。
確かに弾きにくい指づかいもあるので、変更することもたまにはありますが、楽譜に書かれている指づかいをきちんと守るというのが基本です。
適当に弾いていて、毎回指づかいが違うと、ミスの原因になります。1度慣れてしまった間違った指づかいを直すのは時間がかかりますので、最初からきちんと守りましょう。
強弱については弾きこんでいかないとつけにくいと思いますので、譜読みが済んだ段階からでもいいです。
しかし、スタッカートやスラーなど、どこまでをどのようにつないで(または切って)弾くのかというのは譜読みの段階で、きちんと読み込むようにしなくてはいけません。
これも指づかいと同じで、慣れてしまってから直すのは大変ですし、アーティキュレーションの違いで曲の雰囲気は変わってしまうので、楽譜をきちんと読み込むようにしましょう!
すぐに弾けるところとじっくり音を読まなければならないところを見極める
譜読みをするときに、初見でも弾ける部分というのもあると思います。そこは2回目、3回目も弾けると思うので、じっくり音を読む必要はありません。
弾けてしまうところがある一方で、初見では読みにくいところというのも多くあると思います。
それは動きが複雑だったり、自分が予想していた音に進んでいなかったりと様々なことがあって譜読みししづらいのだと思います。
読みにくいのをそのまま放置しておくと、次にまたその部分を弾くときに、また同じ壁にぶち当たります。それでは時間がもったいない!!
わからないところをそのままにしておかないようにしましょう。どうやって解決すればいいと思いますか?覚えるまで弾きますか?
それではかなり時間がかかってしまいますね。
これは私なりの方法ですが、音の動きを線で表していきます。同じ音なら横に線をひく、音が上がっていくのなら右斜め上に矢印を書いておくなど、自分がわかるような記号を書き込んでいます。
こんな感じで書き込んでいます。
楽譜はト音記号とヘ音記号というように縦に見ていくことも大切ですが、右手部分(あるいは左手部分)の音について、前の音と今弾いている音、そして次の音がどうなっているのかというように横に見ていくというのも大切だと思います。
この他にも半音階が続くときは半音階と書き込みますし、自分が予想していなかったところで明るい和音や暗い和音になっていた場合、なかなか頭に入ってこないので、明るいとか暗いとかを書き込んでいます。
楽譜に落書きはしてはいけませんが、読みやすくするために書き込むのはいいと思います。
ヒントとなる記号がたくさん書いてあると頭に入りやすくなり、次に弾くときには少し弾きやすくなっていると思います。
これが譜読みが得意ではない私なりのやり方です。譜読みで苦労されている方は参考になさって下さい!
まとめ
◆ピアノは楽器の王様と呼ばれている◆オーケストラで使われている楽器の全ての音域をカバーできる
◆音の下にカタカナを書かない
◆どうしても読めない場合は、決めた色で囲む
◆リズムがわからなくなったら抜き出してたたいてみる
◆指づかいとアーティキュレーションにも気をつける
◆読みにくいところは自分なりの記号を決めて書き込んでしまおう