ショパンエチュード『エオリアン・ハープ』 変イ長調Op.25-1ピアノ楽譜1
皆さんよくご存じのショパンのエオリアンハープ。
「牧童の笛」または「牧童」、「羊飼いの少年」などとも呼ばれていますね。

両手で分散和音を弾きながら、その上にメロディーが生まれていくのですが、このエチュードは分散和音のための練習曲という奏法のテクニックを習得するためだけではなく、崇高な音楽性も要求される高度な曲です。

【エオリアンハープとは?】

風をうけて、ひとりでに鳴るというギリシャ神話に登場する不思議な竪琴。

エオリアン・ハープ
このエオリアンハープという愛称は、この曲に感動したシューマンが名付けたと言われています。

またこの曲(Op.25-1)は、この曲のほかに11曲をふくむ曲集「エチュード(Op.25)」として、リストの知人のマリー・ダグー伯爵夫人に献呈されました。作曲されたのは1832~1836年ごろです。

【この曲の難易度はどのレベル?】

エオリアンハープの難易度ですが、まず、ショパンのエチュードはこれまでのチェルニーの練習曲のように、初めの曲から順を追って弾いてしまうと、冒頭の作品10の1番・2番が極端な難曲のため必ず行き詰ります。

そういうわけで、このエオリアンハープから入るのをお勧めします。

☆後々、この曲で身に着けたテクニック音楽性が肥やしになって、ほかの練習曲を弾く際にも大いに役立ちますよ!

私の場合は、アシュケナージがショパンコンクールで弾いていたレコードをお手本にして、超難曲の作品10の1番から弾きはじめ大変苦労したことを思い出します。
当時音大の先生から「F君、もうやめときなさい、体を壊しますよ!」とまで言われたことがあったほど。

一口に難易度といっても、人それぞれのテクニックには個人差が当然あり、癖もあるので絶対的な基準というものはないにしても、個人的な実際の練習体験から、代表的な作品をピックアップして分類すると次のようになります。

A) 入門レベル Op.10-6, Op.25-2
B) 比較的優しい Op.25-1【エオリアンハープ】, Op.10-3【別れの曲】,
C) 標準レベル Op.10- 5【黒鍵】、Op10-12【革命
D) ハイレベル Op.10-4【入試やコンクールでよく課題曲になる曲】
F) 難曲レベル Op.10-1【エチュードで最初の難曲】 、Op.25-11 

☆まず名曲に絞り、例えば「別れの曲」や「エオリアンハープ」から入り「黒鍵」へ進み、さらに「革命」へ進んで、そこで一度振り返り、残りの曲の選定は、自分の成長レベルと実力を見極めながら、上の分類を参考にして、各自が自由に選べば、無理なくスムースに進めますよ!

【ピアノの発表会にはどうなの?】

小学生から高校生まで、発表会の選曲にもこの曲がいいかも!

年配の方が弾くのとは違うのは当然なことなので、小学生は小学生らしく、また高校生は高校生らしさを出して、それぞれの個性と持ち味をだして弾けばいいでしょう。

例えば、このように。

【弾きにくいところの練習方法】

全体の練習法は横山先生のレッスンをお聞きください。
http://www.uenogakuen.ac.jp/12etudes/lesson13.html

エオリアンハープを弾いていると、実際にはどのように弾いていいのか分からない箇所があります。
楽譜には書かれていないところでよくポイントを押さえて練習しましょう!

以下よくある質問です。

質問①
【33小節~35小節のクライマックスで音を外さないようにするには?】

ショパンエチュード『エオリアン・ハープ』 変イ長調Op.25-1ピアノ楽譜2 (演奏動画1:37~1:42)

<回答>
音が外れる原因が必ずありますよ。
チラッとでもいいので、音が飛んで入る先の鍵盤をしっかり予想して見つめておきましょう!
☆跳躍先の鍵盤が目に入って確かめてから弾くことがポイント!

質問②
【エオリアンハープの左手のポリリズムはどう弾くの?】
22小節目にある、6:4(右手6 、左手4 )、6:5(右手6 、左手5)のポリリズムについて。
「6:4や6:5部分は、どの音と、どの音をずらして弾けばいいのか
ずらし方がわからない」。この質問は結構多いようですね。

ショパンエチュード『エオリアン・ハープ』 変イ長調Op.25-1ピアノ楽譜3 (演奏動画1:03~1:08)

<回答>
きちんと左右をあわそうとすると、かえって弾き難いので
親指にのみ(左手のドと右手のソ)注目して楽譜のとおり、他の音符は気にせず、
抒情的な適切さをもって自然な流れに乗るようにしましょう!
そうすればおのずと楽譜の通りに弾けてきますよ!(#^^#)

質問③
【クライマックスで、曲の盛り上がりの後の演奏表現がわかりません?】

<回答>
36小節~37小節のところ。下の楽譜には書かれてありませんが、通常
36小節には、リタルダンドの指示がありますので、この指示通り36小節の最高音Fの盛り上りのあとのテンポを思い切っておとせば、メロディーがゆったりと歌えるようになりますよ!

ショパンエチュード『エオリアン・ハープ』 変イ長調Op.25-1ピアノ楽譜4 (演奏動画1:37~1:47)

そして、35小節の最高音Ges音の前後も、自然にテンポを、ややオーバー気味にゆるめると、余裕を持って弾けます。(^^♪

ピアノ演奏もその本質は「歌うこと」にある!
という大前提を忘れないようにしましょうね!

質問④
【16~17小節目のテヌートがついた音符はどこまでのばせばいいか?】

ショパンエチュード『エオリアン・ハープ』 変イ長調Op.25-1ピアノ楽譜5 (演奏動画0:46~0:52)

<回答>
☆テヌートの音からなる副旋律を感じながら弾きましょう!
ここは理屈でどうこうではなく「良い音楽」になるように弾く、あとは練習回数です。

☆ 「聞く感じる考える」の3Kが大事です。
ペダルを踏むので長さは適当で構いませんよ!(#^^#)

【エオリアンハープへの導入曲は何がいい?】


☆ツェルニー50番の第45番と24番がお薦めです。
この2曲はショパンから影響を受けた雰囲気がいっぱい!

◎調性は同じ変イ長調、リズムは3連符、結尾のパッセージなどはそっくりですね!
なので、エオリアンハープへの準備段階や導入としておすすめ!

【エオリアンハープが完成すると】

さあ、それでは、愈々完成です!
私の演奏です。

フレデリック・ショパン

<弾き方の注意点とまとめ>

◎エオリアンハープはエチュードの導入曲として相応しい。
◎伴奏部を弱くし、メロディーを浮かび上がらせて、しっかり歌うこと
◎手首の柔軟な回転を意識しながら、聞く・感じる・考えることが大切。
◎自然な曲の流れに乗ることがポイント。
◎頭で考えすぎず、集中して練習回数をこなしましょう。
◎発表会にも最適! 年齢に応じた各自でふさわしい演奏をすればよい。




「エオリアンハープOp.25-1」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1879年にブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版されたパブリックドメインの楽譜です。Op.25全12曲が収録されています。
  • Mutopia Project(楽譜リンク
    最近整形されたきれいなパブリックドメインの楽譜です。Op.25-1のみ収録されています。


 ショパンのピアノ曲の記事一覧

 ピアノ曲の記事一覧