2011年3月11日の東日本大震災の復興を応援するチャリティーソング「花は咲く」。2012年5月23日にflying dog(ビクターエンタテイメント)から発売されました。多くのテレビ番組や紅白歌合戦などでも流れ、誰もが知っている曲になったのではないでしょうか。この曲のピアノソロもとても人気があり、多くの人が演奏しています。

有名どころのピアニストでは辻井伸行が弾いていますね。この曲をピアノで弾いてみたい!という人のために、ピアノ歴23年の筆者がこの曲の魅力を紹介していきたいと思います!

■ 目次

菅野よう子作曲「花は咲く」


こちらの動画はピアノソロとして非常にきれいにできあがっているものになっていますね!この曲にはとてもいろいろなバージョンがあるので、今回は具体的な弾き方(技術面)ではなく、心の込め方を中心にご紹介していければと思います!

「花は咲く」は、2011年3月11日に日本を襲った東日本大震災の復興を応援するチャリティーソングになっています。作詞は東北出身の岩井俊二、作曲はこちらも東北出身の菅野よう子です。

歌詞も曲調も、おだやかで優しい雰囲気で、力強く前を向いて進んでいけるようにそっと背中を押してくれるような一曲ですよね!震災に限らず、何か挫折してしまうような出来事があっても、少しずつ前を向いて生きていこうと思わせてくれます。


難易度は?

この曲はとてもいろいろな編曲がなされていますね。もともとは歌が入っていますが、ピアノソロなどのインストゥルメンタル(楽器のみ)の編曲も多く出されています。ピアノの他、有名どころではギター(クラシックギター)のソロ編曲も有名で、人気ギタリストの村治香織がカバーしています。

ピアノ編曲も非常に多くされています。楽器店に行くとたくさんありすぎてどれを選べば良いのか分からないという話も聞きます。その中でもこの動画の「花は咲く」ピアノソロは、上級者向けで、結構な難易度になってきます。

しかし、いわゆるクラシックの名曲を弾くのに比べたら、譜読みは簡単かもしれません。単純なコードの進行でできていて、和音や音の組み合わせも決して難解なところはありません。ツェルニー40番程度に取り組んでいる人であれば、取り組むのにちょうど良いアレンジとなっていると思いますよ!弾きごたえは抜群だと思います!

弾き方

この曲の弾き方として、今回は3つのポイントから説明したいと思います。今回はちょっと辛口ですがお許しください(笑)

1.まずは正しく、落ち着いて弾く
まずはとにかく正しく譜読みをして、正しい音とリズムで弾くことが大事です。とはいえ、単純なコード進行で分かりやすい和音でできているので、ある程度ピアノをやってきた人なら、想像していたよりは楽に譜読みできるかもしれません。

そこで問題になるのが、逆に、簡単に弾けてしまう人のパラドックスです。簡単に弾けると、どうしても人は次の音、次の音、とはしょって弾いてしまうものです。どんなに簡単な音でも、単音ひとつでも、しっかりのばすべき拍数を十分にのばして弾きましょう。

ノリの良い曲ならまだしも、このような深い意味を持っている曲では、十分にのばさずに走ってしまうのは致命的なかっこわるさです(笑)特に、全音符(4拍のばす)がはしょりやすいので注意しましょう!

2.曲想のつけ方
この曲は、どんな曲よりもメッセージ性の強い曲になっています。誰でもこの曲を聴くと、震災のことを思い出すと思います。そのため、ただドラマティックに弾けば良いということではありません。抑えるべきところは抑えて、淡々と弾くこと。強弱記号を良く見て、p(ピアノ)のところではむやみに盛り上げず弾きましょう。

この曲は終始長調で、悲しいことがあったにもかかわらず、直接的に悲しい「短調」を用いていません。だからといって、ただ「美しく弾こう」では、震災というエピソードを伝えるにはあまりにも短絡的すぎます…。

おどかしてしまいましたが、このへんの曲想のつけ方は、各楽譜に必ず多かれ少なかれ表記があります。強弱記号は少なくともしっかり守って弾けるようにすると、編曲者の意図が自然と伝わりやすくなりますよ!

また、どんな曲でもそうですが、この曲では特に、この曲が作られた背景を知っておくのも一つの方法です。東北とは離れた場所で生活してきた人も、ネットなどを使ってちょっとでも東北の状況を調べて、画像や映像で様子を目にすることで、自然と演奏も変わってくるかもしれません。

3.弾く譜面と場所の選び方
この曲は多くの編曲譜が出ているので、まずは自分のピアノのレベルに合うものをチョイスすることが大事です。自分の普段弾いているクラシックの曲よりも少し簡単な譜面だと、余裕を持ってしっかり聴かせることができると思います。

ただ、この動画のピアノソロのように、「アレンジが超かっこいい!」と思える譜面をあえて買ってきて、難しくても「この曲を弾けたらかっこいいだろうな」という憧れで必死に練習するというのも一つの方法としてはありです。

迷ったら、ピアノを習っている人はピアノの先生に、そうでない人は楽器店の店員さんなどに聞いてみるとアドバイスをもらえると思います。

この曲はとても魅力的な曲ですが、弾く場所を間違えるとやけにしんみりしてしまうこともあるかもしれません。発表会などでも映えますが、どちらかというと、アンコールなどでちょっとさらっとみんなの知っている曲を弾いてみた、なんていうほうが向いているかもしれませんね!

弾けるといろんなところで演奏できる!

この曲は誰もが知っている曲ということで、ちょっとしたコンサートはもちろんのこと、老人ホームなどの福祉施設での慰問演奏などにもぴったりではないでしょうか。また、レパートリーとして持っておくと、「何か弾いて」と言われたときにさらっと弾ける一曲ですね。

もちろん発表会で披露するのもありです!クラシックの名曲のように、ものすごい技巧を見せるとか、難解なパッセージを弾くというのではなく、シンプルにピアノの音を聴かせるようなイメージの曲になっているので、アンコールっぽいイメージもありますね!講師演奏にもぴったりだと思います。


このように、演奏できる場がとっても多いのがこの曲のいいところです!ぜひばっちり弾けるようにして、自分のレパートリーに加えてみてくださいね!


まとめ

2011年3月11日に起こった東日本大震災からの復興を支援するチャリティーソング「花は咲く」は、非常に多くの編曲が出ています。ピアノで弾いてみたいという人のためにも、今回は例としてピアノ上級のソロアレンジを参考に、どんな編曲でも絶対に必要になってくる3つのポイントを紹介してみました。

この曲は誰もが知っている名曲なので、一度弾けるようになっておくと、発表会から「ちょっと何か弾いて」まで、どんな時でも使える便利な一曲になること間違いなしですよ!自分のレベルに合ったものをうまくチョイスして、ぜひ自分のレパートリーに加えてみてくださいね!





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