ツェルニー30番も10曲目!一見よくわからない音符のこの曲の弾き方をピアノ歴23年の筆者が解説していきます。実は意味が分かるとどんどん速く弾ける楽しい曲だった!?

■ 目次

ツェルニー30番の10番


さて、そもそもツェルニーとは、1791年にオーストリアで生まれた有名な作曲家で、生涯でなんと861曲も曲を作りました。「30番練習曲」のほかに、「40番練習曲」や「50番練習曲」などがあり、これらも30番が終わったらきっと練習することになると思います。

これらのツェルニーの練習曲には、機械的に指の訓練をするだけではなくて、音楽的にもより良い表現をしていく練習もしてほしいというツェルニーの思いもこめられているんですよ。

なので、練習曲として、求められていることをしっかり弾けるようになると、「あ、この曲ってきれいな曲だったんだ!」なんて気付くってことも、ツェルニーをやっていてやりがいを感じられるポイントだと思います。

この曲はアルペジオ(分散和音)を両手で協力しながらなめらかに弾く練習をひたすらやる曲といえるでしょう。でも大丈夫、案外簡単な上きれいなので弾くのは結構楽しかったりします!いわゆる「速弾き」にも向いているかも…(笑)

難易度は?



楽譜を最初見た時の難しさ・抵抗感は結構あると思います。しかし、弾き方を知ってしまえば結構簡単です。その上きれいで楽しめるので、そんなに難易度は高くないと考えて良いでしょう。

ちなみに筆者も、最初ツェルニー30番の楽譜を手にした時点で、ぺらぺらとめくって10番を見つけてしまい、「なんだこの変な音符は!こんな形になっている楽譜は見たことないぞ!」「なんとなく難しそうだからやりたくないなー」と思っていました。しかし弾き方を聞いたら拍子抜けです(笑)

弾き方のコツ

ツェルニー(チェルニー)「30番練習曲第10番ヘ長調Op.849-10」ピアノ楽譜1
まず、この意味不明に見える楽譜の弾き方ですが、実はとても簡単。下向きになっている音符は、左手で。上向きになっている音符は、右手で弾きます。

今までは、「上の段でト音記号になっているところを右手で弾く」「下の段でヘ音記号になっているところを左手で弾く」というふうに思っていた人も多いかもしれませんが、実はそれは初心者のうちだけなんです。ピアノの楽譜は、どんな楽譜でもそういうルールになっているというわけでは決してないんです。

あくまで、ト音記号やヘ音記号、そして上の段と下の段は、音の高さを表すために用いているだけで、それをどちらの手で弾くのかは、別物なんですね。

この曲ではヘ音記号を使っている低い音から、ト音記号を使っている高い音の上の方まで、両手を使って、それぞれの手が協力し合いながら弾いていきます。

この時に左手と右手の境目が分からないくらいまで、なめらかに弾けるようになると良いですね!あくまで、「協力」です。左手と右手どちらが目立ってもいけません。左手から右手への音の受け渡しの時には、リレーのバトンの受け渡しを想像すると良いでしょう。流れが止まらないように、すんなりとバトンの受け渡しができると良いですね。

この曲はこの練習以外に全く他の要素のある音が出てきません。なので、他のことを考える必要がなく、集中して練習できると思います。

はじめはゆっくりから、徐々に速く弾けるように練習してほしいですが、速く弾けるようになっても時々ゆっくりでも弾いてみると良いと思います。そうすると、案外指が転んで適当に流していたところがあったりすることに気付くかもしれません(笑)

また、この曲の「ファラドファ」はひとつの和音というふうに考えられます。もともと和音だったものが、分けて弾かれる(分散和音)ようになったと考えると良いかもしれません。分散和音は、アルペジオとも言い、ピアノやギターなどで必須の弾き方になっています。
ひとつの和音としてハーモニーがきまっているので、練習として、一拍ずつ和音で弾いていって耳でしっかり音の動きを確認するというのも良い方法です!

ツェルニー(チェルニー)「30番練習曲第10番ヘ長調Op.849-10」ピアノ楽譜2
ちなみに、終わりのほう(動画1:34〜)ではこのような形に見るからに音が開いてきます。弾きにくくはなってきますが、今までと変わらないようななめらかさで音をつないでいけるように繰り返し練習していきましょう!

この曲と似ている名曲

この曲の音の形と似ているのが、バッハ作曲「平均律クラヴィーア曲集第一巻」より第一曲「プレリュード」です。左手から右手への分散和音の受け渡しのみで曲が出来ているというのがそっくりです!この曲は「アヴェマリア」などと歌がついているものもあったりするので、聴いたことがある人も多いと思います。


こんな超名曲にも使われている「両手での分散和音の受け渡し」。ぜひこの機会にマスターしてみたいですね!

まとめ

ツェルニー30番も10曲目となり、よく分からない見た目の音符にとまどっている人もいるかもしれませんが、意味が分かると意外と簡単で弾きやすい曲になっています!速く弾くのも楽しかったりします。なめらかにアルペジオを弾けるように練習していきましょう!



「ツェルニー30番練習曲Op.849」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1901年にウニヴェルザール出版社から出版されたパブリックドメインの楽譜です。30番練習曲全曲が収録されており、第10番は16ページからになります。

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