ツェルニー(チェルニー)「30番練習曲第1番ハ長調Op.849-1」ピアノ楽譜1
ピアノ練習者がみんなやっている「ツェルニー」の練習曲。

これからはじめてツェルニーをやる!30番って何?難しいのかな?と思っているみなさん!そして、「ツェルニーってそもそも何?」って今更聞けないみなさん!

ピアノ歴23年の筆者が、自分なりのアドバイスを書いていきたいと思います。ぜひ参考にしてみてくださいね!


ツェルニーとは

ついにツェルニー30番に挑戦ですね!

さて、まずツェルニー30番とはどんな曲集なんでしょうか。

そもそも、この曲集はツェルニーの「30番練習曲」と一般的には言われていますが、これはもともとは「30のメカニスム練習曲」といわれていました。つまり技術を練習するための曲集ですね。

でも実はこの練習曲には、決して機械的に指の訓練をするだけではなくて、音楽的にも良い表現をしていってほしいというツェルニーの思いもこめられています。その証拠にどの曲も音楽的にとっても素敵なものが多いです。

なので、あーこんなふうに弾いたらかっこいいだろうなーというのが初心者の人でも想像はつくんですが、思った通りには指が動かない!というジレンマを経験するかもしれません。

また、この曲集はだいたい、バイエルを終わったあたりで挑戦することが多いようですね。日本ではピアノを習う人にとっては超メジャーな練習曲がこのツェルニー30番なんです。

ツェルニー30番練習曲ををひととおり終えると、40番練習曲という曲集に進むことが多いですね!小学生から大人まで、多くの人がツェルニーの練習曲を日々練習しています。

ちなみに、50番も60番もあります。これらは、曲数が多くなるだけでなく、だんだんに難易度があがっていきます。そして40番はもうすでに、一曲の立派なピアノ曲で、(もちろん30番でもそうですが)発表会で弾きたいくらいに素敵なものが多いですよ!

余談ですがツェルニーは生涯でなんと861曲も曲を作っているので、もちろんこれらの練習曲はそのほんの一部ですね。しかしツェルニーさんものすごいバイタリティ…。

この練習曲をやっていると、「なかなか指が思い通りに動いてくれない!」「どうしても転んでしまう」「速く弾けない!」などいろいろな壁にぶち当たると思います。

しかしそれも修行だと思って、ツェルニーさんに負けないくらいのガッツでこれから曲集に挑戦していきましょう!(笑)

ツェルニー30番の1番



さて、ツェルニーとはどんなものか分かったところで、具体的にツェルニー30番の1番(1曲目)について解説していきましょう。

まずこの曲は全体的に、小川の流れるようなイメージを抱く曲になっています。右手の動きが3連符で、なめらかに動かす練習になっています。

また、左手はバス(ベース)の音をキープしながら上の音を動かすという技術の練習になっています。このように、片手で2声の動きを同時に弾くというのがポイントになってきます。一番難しいのはここですね…。

苦戦するところになると思いますが、それでも、この形はこれからもいろんな曲で出てくるので、一度マスターしておくととっても役に立つんですよ!

難易度は?

難易度は、個人的には、ツェルニー30番最初の曲といえども、結構難しい方ではないかと思っています。というのも、ただ音だけを見ればそんなに難しくなさそうですが、左手のベースをのばしながら上の音を動かすのが結構難関ですね。

そういう意味ではツェルニー30番では地味に難しいといえるかもしれません。まだ一曲目なのにこんなに難しい!!と絶望感を感じる人もいるかもしれません (笑)

でも大丈夫です、私も1曲目はものすごく苦労して、案外2曲目からはすんなりいったので…(笑)結構そんな人が多い曲だと思います。

弾き方のコツ

ツェルニー(チェルニー)「30番練習曲第1番ハ長調Op.849-1」ピアノ楽譜2
冒頭では、右手の5本の指がしっかりと独立するようにしていくのが目標です。独立というのは、指が一本一本別々に動くということです。

例えば、5の指(小指)で弾こうとする時に、4の指(薬指)が一緒についてきて邪魔するようなことがないように…!しかも、指を独立させるのって、特に5の指が難しいんです。そのため、この練習をたくさんさせるためのツェルニーの意図でしょうか、ここでは1拍目・3拍目に必ず5の指がでてきます。

まさに、使いにくい指を使う猛特訓!って感じですね!

ツェルニー(チェルニー)「30番練習曲第1番ハ長調Op.849-1」ピアノ楽譜3 (動画0:13〜)

ここからは、左手の動きは見るからに違うと分かると思いますが、それに対して、右手は一見今までと似ているようで、実は結構違うんです。

各小節、右手の上の音を2拍ずつのばす必要があるんですね。上の画像の右手の一音目はソになっていますが、二分音符のソと三連符(八分音符)のソの2つのソの音がありますね。

同じ音なので、実際には一つの「ソ」の音ですが、それぞれ別の役割があります。ここで「?」となっている人は、合唱を思い浮かべてください。

たとえば女の人の歌のパートには、「ソプラノ」と「アルト」がありましたよね!ここでも上で「ソ」をのばしているのがソプラノパートの人、「ソドレミレド」と動いているのがアルトパートの人だと思ってください。

その合唱を、ここでは右手のみで表現しないといけないってことなんです。「こことここは別のパートですよ!」と、聴いている人に分かるように、ソプラノとアルトを聴き分け、弾き分けるのがこの曲の最大のポイントになります!

ツェルニー(チェルニー)「30番練習曲第1番ハ長調Op.849-1」ピアノ楽譜4 (動画0:49~)

ここでは、右手の「ソ」を全音符で伸ばしているのがアルトパート、上の「ソレドシドレ」がソプラノパートです。

ちなみに、左手もバスとテノールを弾き分けるようになっています。ツェルニー30 番の第2 番にはこの動きがよりたくさん登場しますので、左手については第2番の記事で詳しく解説しますね。

ツェルニー(チェルニー)「30番練習曲第1番ハ長調Op.849-1」ピアノ楽譜5 (動画1:01〜)

ここからまた冒頭と同じ動きに戻ります。もう一度思い出して弾いていきましょう。

ツェルニー(チェルニー)「30番練習曲第1番ハ長調Op.849-1」ピアノ楽譜6 (動画1:07〜)

最後の3小節は、左手の動きが今までとは違って、タイでシンコペーションのように次の小節につながっています。要はノリの感じが少し今までとは違うという感じですね。

ここではまずはスラーとスタッカートを正しく楽譜通りに弾けるように繰り返し練習しましょう。左手だけで練習するのも良いですね。そして右手の動きがセットになっても、左右がバラバラにならずに弾けるようになるのが目標です。

弾けると?

この曲は、それぞれの手で上と下のパートに分かれている動きを同時に意識して弾くためのとても大事な練習曲です。

これを理解するには、みなさんも学校などで一度はやったことがある合唱を思い浮かべましょう!ソプラノ、アルト、テノール、バスのそれぞれのパートをしっかり聴き分けて弾けるようになるのがこの曲の最大のポイントになります。

これがばっちりできると、まず得意になるのが、バッハの曲だと思います。バッハのインベンションなどは、片手で下の音と上の音を弾き分けることが日常茶飯事になるんですよ!

これからバッハに取り組む人も多いと思うので、ぜひまずはこの一曲をマスターしてみてくださいね!

まとめ

ツェルニー30番練習曲は、ピアノの初心者が必ずといっていいほどやることになる超メジャーな練習曲集です。

技術をいっぱい練習できるようにできていますが、音楽的にも深く考えて作られているので、きれいな曲も多いです。

特に、片手で下の音と上の音の2部をしっかり分けて弾いていく練習になるのが、このツェルニー30番の1番です。

バッハなどに取り組むにも大事な技術になってくるので、地味に難しいですが頑張っていきましょう!



「ツェルニー30番練習曲Op.849」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1901年にウニヴェルザール出版社から出版されたパブリックドメインの楽譜です。

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