ツェルニー30番に入り、2曲目のこの曲。どんなふうに弾いていけば良いのか悩んでいる人、難易度が気になる人などに、ピアノ歴23年の筆者が自分なりの解説をしていく記事です!

作曲者の意図なども少し頭の片隅においておくと面白いかもしれないので、少し書いてみました。もちろん解釈は人それぞれですし、先生に習っている人はその先生によっても教え方は変わってくると思います。

ピアノには絶対的な正解というものはないので、あくまでこの記事はいちピアノ愛好家のアドバイスとして、もしよかったら参考にしてみてくださいね!

ツェルニーとは

ツェルニーの30番練習曲は一般的な言い方で、これはもともとは「30のメカニスム練習曲」と言われていました。要は技術を練習するための曲集ということですね。

でも実はこの練習曲には、機械的に指の訓練をするだけではなくて、音楽的にも良い表現をしていってほしいというツェルニーの思いもこめられているんですよ。その証拠にどの曲も音楽的に素敵なものが多いです。

特に、今までハノンなどをやってきた人からすると、練習曲なのにこんなにきれいでいいの!?なんて思ったりすることもあるあるです(笑)

だからこそ、「こんなふうに弾けたらかっこいいだろうなー」「ここはもっとこうしたい」というのが初心者の人でも想像はつくんですが、それでも思った通りには指が動かない!というジレンマを経験するのもあるあるだったりします。

また、この曲集はだいたい、バイエルを終わったあたりでやるのが一般的なようです。日本ではピアノを習う人にとっては超メジャーな練習曲がこのツェルニー30番なんです。

小学生から大人まで、今この瞬間も世界中で多くの人がツェルニーを弾いています。そしてツェルニー30番練習曲ををひととおり終えると、40番練習曲に進むことが多いです。またこれもきれいなんですよー!

ちなみに、50番も60番もあって、これらは、入っている曲数が多くなるだけでなく、だんだんに難易度があがっていきます。余談ですがツェルニーは生涯でなんと861曲も曲を作っているので、もちろんこれらの練習曲はそのほんの一部ってことになりますね。

ツェルニーさんものすごいバイタリティ…。この練習曲をやっていると、「指が思い通りに動かなくていらいらする!」「どうしても指がこけてしまって音を外しちゃう!」「速く弾けない!」などいろいろな壁にぶち当たりがちです。

でもそれもがんばっている証拠!ツェルニーさんに負けないくらいのガッツでチャレンジしていけるといいですね!(笑)



難易度は?

この曲は、インテンポ(本来指定された速さ)で弾くのはかなりの難易度です。特に左手の動きが難しいですね。これをインテンポで弾けるとしたら、かなりいろいろな曲がすでに弾けるようになっていると言っても良いかもしれません。

左手がポイント!


冒頭は、右手の音はわりと譜読みが簡単ですね。

左手は…「ドミソ!?簡単じゃん!」と思う人もいるかもしれません。私がそうでした(笑)「ドミソ」といえば一番簡単な伴奏の形ですもんね。でもよく見てみてください。

この楽譜の左手の一音目の「ド」は、棒が上と下についていますね。どうして下にもあるんでしょうか。この小節全体もよーく観察してみてください。

どうやら三連符の一つ目の音のみに下の棒がついていますね。これは、声部が分かれていることを意味してます。

どういうことかというと、左手ですから、低い音なので、仮に合唱の「テノール」と「バス」としましょう。テノールの人たちが「ドミソドミソ…」と歌っています。それに合わせて、四分音符でバスが「ド、ド…」とベース音を歌っています。

このとき、バスの人たちは表記通りに「四分音符」の長さを保たないといけません。つまり、一拍分しっかりのばさないといけないんですね。これを、ピアノでも表現していくことになります。

つまり、左手の5の指、バスの「ド」の音は、「ドー」とのばし、テノールの「ドミソ」を弾き終わるまではのばしておきます。この繰り返しを延々と、そしていずれは素早くやることになります。

…少し頭が痛くなってきちゃったかもしれません(笑)

でもまず最初にこのしくみを理解しておけば、まああとは慣れの部分もありますし、手が一度動きを覚えてしまうと意外と忘れないものなので安心してください!

(動画0:56〜)

今度は左手の音形が変わりましたが、それでもポイントは同じです。「ソ」はしっかり楽譜に書いてある通りの長さでのばしながら、上の動きをのせましょう。

(動画1:15〜)

最後にまた三連符の形が戻ってきます。

また、これは全体的にいえることですが、左手の練習であると同時に、右手は単純なメロディで楽しく弾けるようになっているので、とにかく歌いましょう!

ちなみに、ピアノで「歌いましょう」とは、「まるで歌を歌っているかのように、表現しましょう」ということ。私も最初聞いたとき、ピアノを弾いているのに、歌うって、何を言っているんだと思いましたけどね…たとえです(笑)

ここでツェルニーさんの話ですが、彼は歌曲で有名なシューベルトのファンで、シューベルトが亡くなった時にはお葬式の列の先頭にいたとか…。この曲の右手のメロディは、シューベルトの有名な「野ばら」のメロディに似ているという話もあるようです。

弾けると?

これが弾けると、左手ひとつで2部を弾き分けることが結構得意になると思います。

ただ、これをインテンポで弾けるようになるのはなかなか難しいですし、それができるようになるまで頑張ると、他の曲に永遠にうつれないというようなこともあるかもしれません(笑)

私も実際、最初は小学生の時にやって、一度合格し、ツェルニー30番を全部終えたはずなのに、中学生になってもう一度1番から全てやることになりました(笑)

もう一周!?ひどい!と思ったものの、小学生のときは左手に苦戦していて全然右手を歌ったり、曲らしい曲にはなっていなかったのが、中学生になるともう少し曲らしく弾けるようになっていたので、「これってこんなきれいな曲だったんだ」と思いましたね(笑)

みなさんも一度ある程度弾けるようになってから、またいろいろ別の曲を弾いたあとに戻ってみると、新たな発見があるかもしれません!

そして、ツェルニー40番や50番を弾くようになってからも、ちょっと軽く指を動かしたいなーなんて時に、「とりあえずちょっと30番」なんてこともあります。そんな、日常で軽く楽しめる練習曲になる時がいつか来ます(笑)

まとめ

ツェルニー30番練習曲の2番は、主に左手の声部を分けて素早く動かす練習に特化した曲です。右手は楽しく歌うように弾くことができれば良いですね。

難易度としては、2曲目にして結構難しいかもしれません。特に本来のテンポで弾くのは上級者でも結構大変だったりします。しかし逆にそれができていればかなり弾ける曲の幅は広がりますね!

右手のメロディに関しては、ツェルニーが歌曲で有名なシューベルトのファンだったために、「野ばら」のメロディを彷彿とさせるようなものになっているという話もあったりします。

この2番に限らず、ツェルニー30番練習曲は、一度弾けるようになっても繰り返し役に立つ曲集になっています!


「ツェルニー30番練習曲Op.849」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1901年にウニヴェルザール出版社から出版された楽譜です。30番練習曲全曲が収録されており、第2番は4ページからになります。


 ピアノ曲の記事一覧