この曲はシューベルトの作曲した4つの即興曲の中で唯一の明るいイメージの曲です。
右手のメロディが絶え間なく続いていき、それをシンプルな左手の伴奏が引き立てています。

くるくると変わっていく情景が楽しくも美しい曲ですね。
「即興曲」というだけに、まるで今思いついてピアノを弾いていく。というイメージが必要だと思います。



難易度は?

難易度は全音ピアノピースでは難易度D(中級上)となっています。
ツェルニー40番を弾いている人であれば充分弾くことができると思いますよ。

演奏動画を見て聴いてみると、技巧的な右手メロディにたじろいでしまいそうになりますが、そんなに身構える必要は全くありません!

ゆっくり自分の弾けるスピードから弾き始めれば、だんだん速く弾くことが自然とできるようになりますし、長い曲ではありますが同じパッセージが繰り返して出てきているだけなので、その辺においてはあまり苦戦しないのではないかと思います。

しいて言うなれば、私も一番苦労したところ・・・それは、右腕の持久力です!!

この曲は右手が絶え間なくメロディを奏で続けます。
300小節近くにわたり、ほとんど休符も無く、休む間もありません。
なので、半分も弾いたころには右腕がだんだんバテてきてしまうのです。

もちろん腕がバテてしまうと、よい演奏ができるわけもありませんよね。
なので、この曲は日頃からよく練習を積み、ツェルニーやハノンなどで基礎と集中力をしっかりと身に着けた人でないと、うまく弾きこなすことができないと思います!

そういう意味では、難易度が中級上というのはうなずくことができますね。

常に即興性を意識して


1小節目からは流れるような美しいメロディが始まります。
左手の伴奏はそれを引き立てるように優しく。ペダルも、私の場合は1拍目のみ踏んで、メロディの邪魔をしないようにしていました。

このメロディに身を任せて、まるで今思いついたかのように、そして流れるように、即興性を意識して弾いていただきたいと思います。


25小節目からは雰囲気がガラリと変わりますね。
右手・左手ともにお腹の底から、低く響かせるようなイメージで弾いてみましょう。
ここは少々指の動きが複雑になりますので、焦らずゆっくりと練習をしてみてくださいね。


37小節目の2拍目にはフォルテピアノの指示があります。フォルテピアノとは、強く、そしてすぐ弱く弾くという意味です。
なのでここでは2拍目の頭のド♭は強く弾きますが、後の8分音符は弱く弾きましょう。

テンポの速い曲なので、瞬発的に強弱を変えるということはとても難しいことですが、慣れないうちはゆっくり練習をしていきましょう。

そして最初と同じメロディに戻るわけですが、全く同じというわけではなく、後半は少々変化をしています。


64小節目から半音ずつ、徐々に徐々に音階を昇っていき、さらにクレッシェンドをして気持ちも膨らんでいきます。
ここでは重心を左手のベース部分に持っていくイメージで重みを持たせるとよいと思います。


77小節目のフォルテピアノの部分はペダルを踏まない方がよいかと思います。
鋭い打鍵でアクセントを表現しましょう。


80小節目の両手の音階は一つ一つの音をよく聴いて、81小節目の頭を目がけて昇っていきましょう。

81小節目と82小節目の3拍目は4分休符になっています。
しっかり休み、休符をよく聴きましょう。

男性的印象のメロディ


83小節目からは男性的な印象のメロディが始まりますね。
マルカートつまり、一音一音はっきりと。という指示がなされています。

ここでは右手がメロディパートと、伴奏パートを同時に奏でます。
あくまで伴奏はメロディを引き立てるもの。フォルティッシモだからといって伴奏まで強くならないように注意が必要です。

1拍目の左手はスタッカートになっておりますので、ここを活かすためにペダルは2拍目から踏むことをお勧めします。
また、85小節目は1拍ずつペダルを浅く踏んだ方がよいでしょう。


91小節目からは強弱指定がピアノになっておりますが、1拍目にはアクセントがついていますね。
音は小さくですが、でも鮮明に、主張するように打鍵して弾いていただきたいと思います。


103小節目はフォルツァティッシモ。しかし次の小節ではピアノと、強弱の指定がまたもや目まぐるしく変化します。
103小節目は鉄のように重いイメージで、104小節目は綿のように軽いイメージを持って弾いてみたら頭の切り替えがいくらかできやすいかと思います。


123小節目と124小節目はスラーで繋がっていますね。
ここを上手に繋げ、さらに伴奏部分を弾きやすくするためにも、123小節目頭は小指で弾き、124小節目は薬指で弾く。そして薬指を素早く小指に変え指をして弾くとよいと思います。


154小節目からは再びパッセージの終わりに向かって進んでいきます。
154小節目からのメロディが159小節目には転調して同じように繰り返しますね。
ここは転調前と転調後を同じ気持ちでは弾かずに、転調後は少々ダークなイメージで。気持ちを切り替えて弾きましょう。

169小節目からは再び最初のメロディラインに戻ります。
しばらくは最初と同じですが、ここまでくると最初に述べた通り、腕がバテてへとへとになってきているかもしれませんね(笑)

先にも述べましたが、こうならないためにも、基礎を固めることが重要です!

最後の最後まで即興性を意識!!

そしていよいよラストスパートです!251小節目からは中間部のパッセージが少々形を変えて再び現れます。


255小節目からは次々転調をしていきますので、今までと「イメージの色」を変えて弾くとよいと思います。

ここまでくると腕が完全にバテてしまっている人も多く出ていると思いますが、もう少し力を振り絞って頑張っていただきたいと思います(笑)


276小節目からラストにかけてのスケールは3拍目にフォルツァンドがついています。
だからといってスケールの最後が尻餅をついたような弾き方をするのではなく、鋭く主張するように弾きましょう。


最後の最後まで即興性を意識し、280小節目の和音の連続は慌てず1音1音丁寧に。

まとめ

1、基礎をよく身に着けて右腕に持久力を!
2、即興性を意識して、思いついたように流れるような演奏を!
3、コロコロ変わる強弱記号に注意!

いかがでしたでしょうか?腕の持久力、そして目まぐるしく強弱記号に対応する瞬発力までも鍛えられる一曲です(笑)
また、皆さんのレパートリーの中にぜひ加えていただきたい曲ですので、挑戦してみてくださいね。


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  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1888年にブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版された楽譜です。「即興曲Op.90」全4曲が収録されており、第2番は7ページ目からになります。
  • Mutopia Project(楽譜リンク
    最近整形されたきれいな楽譜です。「第2番Op.90-2」1曲が収録されています。


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