ドビュッシーの中でもっとも有名な曲ではないでしょうか?

ピアノを弾いている人であれば、尚更のことですが、そうでない人でも、タイトルはわからなくてもテレビやCM等で聴いたことがあると思います。

「アラベスク」というのは、ざっくり言うと模様のことです。
ハートや星などのわかりやすい模様のことではなく、幾何学模様の一種のことだそうですが・・・。

感情や情景を音楽に例えるというのはよくありますが、模様を音楽に例えるというのはとても珍しいことですよね。

私の場合は、模様というだけあって、あえて無機質な感じで弾くようにしました。
そして、奏でる音の一つ一つが模様になっていって、最終的に一つの大きな幾何学模様が作り出されるイメージで弾いていました。

その模様は、弾き手の個性でそれぞれ違うものが作り出されていって、
それが最後には十人十色の大きな幾何学模様になる。
そう考えると面白いかなと思います!


■ 目次

難易度は?

全音ピアノピースでは難易度C(中級)となっています。
しかし、この曲をうまく弾きこなすにはなかなかの技術が必要です。

後ほども解説をするのですが、どの指でも一定の音の強さで弾くということに関して、私自身とても苦労しました。
また、いわゆる近代音楽というジャンルを弾くのがこの曲が初めてだったため、聞き慣れない音の響きや予測できない音の運びに四苦八苦しました。

私はこの後、同じくドビュッシーの「グラドスアドパルナッスム博士」をレッスンで弾いたのですが、この2曲を弾いて自分にドビュッシーは合わないと痛感。

もうドビュッシーは止めてくれ!と先生にお願いしました(笑)

ドビュッシーやラヴェルが弾きやすい~!という方も中にはいるのでしょうね。うらやましいです。

幾何学模様を創造する

ドビュッシー「2つのアラベスク第1番ホ長調L.66-1」ピアノ楽譜1
先ほども伝えました通り、模様を1つずつ作り出していくようなイメージで弾いてみましょう!

初めから和音を弾く時の手を形作り、指だけ動かして弾くようにします。

ここは音の強さを全て一定に保ちます。
特に親指は力が入りやすく、薬指は力が入りにくいため、細心の注意をしないと強弱がバラバラになってしまいかねません。

そのためにも、かなり集中して弾きましょう。

ドビュッシー「2つのアラベスク第1番ホ長調L.66-1」ピアノ楽譜2
6小節目からは右手が3連符、左手が8分音符になります。
慣れない方は片手ずつ練習し、両手で弾く時は拍の頭を合わせるように意識して弾いてみましょう。

ここはピアニッシモで、囁くように小さな音で弾きましょう。
先ほど同様、弾く指によって音が強くなったり弱くなったりしないようにしましょう。

ドビュッシー「2つのアラベスク第1番ホ長調L.66-1」ピアノ楽譜3
10小節目からはメロディのレガートに注意が必要です。
11小節目の1拍目で一度レガートが途切れますが、ここの4分音符は十分に伸ばします。

ドビュッシー「2つのアラベスク第1番ホ長調L.66-1」ピアノ楽譜4
17小節目はまた最初のメロディが始まりますが、今度は右手が2分音符も一緒に弾くことになります。
この2分音符は19小節目から始まるメロディに続いています。

また、ここも最初同様に一定の音の強さを保ちましょう。

ドビュッシー「2つのアラベスク第1番ホ長調L.66-1」ピアノ楽譜5
27小節目の全音符は親指で弾く方が多いと思います。
しかし、親指で弾くには力が入って音が強くなってしまうため、ここは全音符を人差し指で弾いて、親指に変え指をするのが良いと思います。

ドビュッシー「2つのアラベスク第1番ホ長調L.66-1」ピアノ楽譜6
34小節目から36小節目にかけて音階的に音が上がっていきます。
ここは最初の8分音符と4分音符を同時に打鍵して、音がずれないようにしましょう。

また、35小節目からの左手伴奏はレガートとスタッカートが同時についていますね。
短く弾けばいいのか繋げて弾けばいいのか迷ってしまいますが、ここは短くするというよりは強調するというイメージで弾きましょう。

ドビュッシー「2つのアラベスク第1番ホ長調L.66-1」ピアノ楽譜7
40小節目からは中間部ということで変わった雰囲気になりますね。

個人的には、ここからの部分がとても好きです。

クレッシェンド・デクレッシェンドがとても多いのですが、それを逆に楽しんで弾きましょう!

43小節目の2拍目にはスフォルツァンドがついていますね。
ここだけ際立つように強くしたら、直ぐにデクレッシェンドします。
テヌートは少しもったいぶるくらいに弾いて良いと思います。

ドビュッシー「2つのアラベスク第1番ホ長調L.66-1」ピアノ楽譜8
65から68小節目は、独特の響きを存分に堪能するように弾いてもらいたいと思います。

私はかなり抽象的なのですが、「かなりアジアっぽい音がする」と思っています(笑)

日本のお寺とか、アンコールワットとか、タージマハルとか・・・。
重厚感があるけど、西洋とは違う装飾ギラギラ感みたいなのをイメージして弾いていました。

とても魅力的な和音なので、1和音ずつゆっくり弾いてどんな響きなのか確かめてほしいと思います!

ドビュッシー「2つのアラベスク第1番ホ長調L.66-1」ピアノ楽譜9
97小節目は途中で左手と右手がバトンタッチをしてメロディを弾きますね。
ここの左手と右手の切り替えは、どこで手を切り替えたのかわからないように、自然に弾きましょう。

ドビュッシー「2つのアラベスク第1番ホ長調L.66-1」ピアノ楽譜10
105小節目からラストにかけては優しく優しく・・・。
角という角を削ぎ落とした音でふんわり弾きましょう。

まとめ

1、美しい幾何学模様を作り出すイメージで弾く!
2、指の形をしっかり準備して、音の強さがでこぼこにならないように弾く!
3、独特の響きを十分堪能する!

いかがでしたでしょうか?近代音楽の入り口としてもちょうどよい曲だと思います。有名な曲ですし、ぜひレパートリーに加えてみてください!



「2つのアラベスク第1番」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1891年にデュラン社から出版されたパブリックドメインの楽譜です。
  • Mutopia Project(楽譜リンク
    最近整形されたきれいなパブリックドメインの楽譜です。

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