ブルグミュラーと言えば25の練習曲で知られる作曲家ですね。
お友達の発表会へ行けば誰かが必ず貴婦人の乗馬を弾いている。と言うくらい、リトルピアニストご用達の、発表会にぴったりな曲が多い印象です。

ピアノを弾くからには25の練習曲は鉄板だよね~。みたいな話を昔ピアノ友達にされたのですが、私の通っていた教室では25の練習曲は習わせられませんでした。
それを言ったらかなり驚かれたのですが、実際そうなんですかね?
みなさんはいかがだったでしょうか?

さて、25の練習曲は習いませんでしたが、この「風の精」曲は当時私にピアノを指導してくれていた先生が大好きだった曲で、先生が好きな曲なのよ。と言って楽譜を渡してくれたのをいまだに覚えています。

私もこの曲が大好きです。決して有名な曲ではありませんが、ずっと弾き続けていきたい曲の一つになっています。

どうせ子供が弾く曲でしょ?とあなどるなかれ。
一度聞けば眩惑的なメロディのとりこになること間違いなしの名曲です。

また、「空気の精」とも呼ばれるそうですね。個人的には「風の精」という呼びの方が好きです(笑)


難易度は?

全音ピアノピースの難易度に私の感覚で当てはめてみると、B(初級上)になると思います。
オクターブ奏法もありますし、この曲の雰囲気をうまく表現するには、A(初級)とは言い難いと思いますので、Bが妥当だと思います。



風の妖精達のダンスをイメージ

私の中ではこの曲を弾くときに、秋の枯れ葉を散らしたり巻き上げたりする小さな風の妖精達をイメージしています。
3拍子のリズムだけに、木枯らしの中を風の精達が踊っているのかな。なんて想像も広がりますね。

ブルグミュラー「18の練習曲第15番「風の精」ト短調Op.109-15」ピアノ楽譜1
冒頭からレジェリッシモがついています。これはとても軽快に。という意味です。
ピアニッシモで小さく小さく・・・でも軽やかに。
小さな風の妖精達が軽やかに踊っているイメージを持つとよいかと思います。

この曲に共通して言えることなのですが、駆けるような16分音符が3つ続くパターンが多いですよね。
これをとても軽快に弾くコツとしては、弾く前からこの3つの音を弾く手の形を構えておくということです。
こうすることで、後は指を動かすだけなので、素早く軽やかに弾くことができますよ!

ブルグミュラー「18の練習曲第15番「風の精」ト短調Op.109-15」ピアノ楽譜2
この楽譜には特に指示がありませんが私が弾いていた楽譜にはここにフォルツァンドがついていました。この記号は特に強く弾く。という意味です。
そこに至るまではピアニッシモでがまんがまん。
6小節目に入ったら短く息を飲むように弾きましょう。

なのでここはアルペジオをたらららら~ん♪と弾くのではなく、なるべく短めにジャランッ!と弾いた方がよいと思います。

9小節目からはこの曲のメインパートですね。
16分音符が続いていますが、1拍目と3拍目はオクターブが違うだけで同じ音です!
13小節目と17小節目も同様です。

先ほども伝えた通り、弾く前から3つの音を弾く手の形を構えておくと、きれいに弾くことができますよ。

左手の伴奏は、付点4分音符で、小節の最後まで伸ばし続けなければなりません。
途中で離さないように注意しましょう。

ブルグミュラー「18の練習曲第15番「風の精」ト短調Op.109-15」ピアノ楽譜3
14・15小節目にはメロディについているレガートが小節をまたいでいます。
レガートを守り、のびやかにメロディを奏でましょう。

ブルグミュラー「18の練習曲第15番「風の精」ト短調Op.109-15」ピアノ楽譜4
33小節目には左手の伴奏がオクターブのものに変わり、アニマートという記号がついています。
この記号は元気に弾く。という意味です。
元気に弾きますが、強弱記号はピアニッシモなのでお忘れなく!
特に1拍目の頭にはアクセントがついていますので、はっきりした打鍵で表現しましょう。

ブルグミュラー「18の練習曲第15番「風の精」ト短調Op.109-15」ピアノ楽譜5
また、35小節目から2小節かけてクレッシェンドし、37小節目にはフォルテになります。
そしてまた2小節をかけて39小節目にはフォルティッシモになります。

クレッシェンドをかけていく時、安易にだんだん大きくすればいいと思うのではなく、頂上に到達した時どれくらいの強さになるのか?それを考えるとどれくらいのクレッシェンドしていけばいいかがわかりますよね。
そういったことを頭に入れてクレッシェンドをしてみましょう。

ブルグミュラー「18の練習曲第15番「風の精」ト短調Op.109-15」ピアノ楽譜6
44小節目からはまた新たなメロディの始まりです。
この4小節はメロディがレガートで繋げられている楽譜が多いです。レガートをしっかり守りましょう。
また、和音部分は伴奏なので、メロディを邪魔しないように弾きましょう。

また、カンタービレの記号がありますね。
カンタービレとは歌うように弾く。という意味です。
先ほどの軽やかなメロディとは違って、ここはのびやかなメロディが魅力の場面です。
高らかに歌い上げるようなイメージで弾いてみましょう。

ブルグミュラー「18の練習曲第15番「風の精」ト短調Op.109-15」ピアノ楽譜7
59小節目は左手にアクセントがついていますね。
ここは、右手が伴奏となり、左手がメロディになります。

61小節目からは右手にメロディがバトンタッチし、右手が伴奏とメロディを一緒に弾く形に変わります。
メロディを弾き続けたまま伴奏を弾くのは少々難しいかもしれませんが、伴奏はスタッカートですので、軽やかさも忘れずに表現しましょう。


そしてダルセーニョマークに戻り、メインパートを40小節目のフィーネまでもう一度弾いて終了です。

まとめ

1、妖精達のダンスをイメージして軽やかに!
2、16分音符は弾く前に手の形を構えておくと素早くきれいに弾けます!
3、中間部のカンタービレは高らかに歌うように!

いかがでしたでしょうか?頭に曲のイメージを持って弾くのとなんとなく弾くのでは表現に大きな差が出てくるものです。みなさんもそれぞれの「風の精」のイメージを持って、美しく軽やかに弾いてみてくださいね。



「風の精(空気の精)」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    1900年にシャーマー社から出版されたパブリックドメインの楽譜です。「18の練習曲」全18曲が収録されており、「風の精(空気の精)」は27ページ目からになります。


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