ピアノを習っているときれいな曲やかっこいい曲はよく聴きますが、怠い感じのピアノ曲はなかなか出会えないと思います。今回は、ただ怠いだけでなく「怠い+かっこいい」曲の「ミシシッピー・マッド」をご紹介します。

「ミシシッピー・マッド」ってどんな曲?

この曲はアメリカ生まれの音楽教育家&ピアノ指導者のギロックによって作曲されました。「ジャズスタイル・ピアノ曲集」に載っています。

(動画 6:26~)

こちらは執筆者が演奏しているものです。手の動きや曲の雰囲気など少しでも参考になれば幸いです。32小節、見開き2ページ、1分ぐらいと短い曲です。

私はこの曲を聴いてハーモニカでブルースを吹いているような感じがしました。アメリカのドラマやアニメで場面転換の時にちょっと流れている感じの曲です。

音源はこちら。ブルースの独特なリズムも是非感じてください。
(動画 2:16~)

楽譜はこちらで購入できます。



難易度は?

難易度はピアノの教本でいうとツェルニー30番程度だと思います。

左手も右手も移動が少ないのと、同じようなフレーズが繰り返されるため、譜読みも時間がかからないと判断しました。オクターブが届かなくても弾けるので、手が小さい方にもオススメです。

また音を伸ばすところでペダルを踏むよう指示が書かれているので、ペダルの学習にも良いと思います。

弾き方のポイント

①譜読みのコツ

この曲は、A-B-Aの3部形式です。つまりAの最初-10小節(6:26~6:56)と21-30小節(7:21~7:49)が同じです。全体で32小節なので、最初の10小節譜読みが終われば半分以上弾けることになります。

左手は音の数が少ないので、左手から練習してみましょう。おそらく1週間もあれば余裕で弾けてしまうと思います。

右手はタイでつながっている音が多いため、リズムを間違えないように気をつけましょう。

②しっかり弾きすぎない

曲の最初に「With a lazy beat」と書かれています。これは「けだるいビートで」という意味になります。

おそらく付点のリズムと聞くと「楽しそうに」とか「跳ねるように」という感じで弾いてきた方が多いと思います。ですが、この曲の場合は「ダラ~」と弾く方が似合っています。

ただし拍まで「ダラ~」としてしまうと、ただダサくなってしまうので、拍はしっかり感じて弾きましょう。

③ペダルは鍵盤を押してから

これはこの曲に限らず、全てのピアノ曲に共通します。

鍵盤を押すと同時にペダルを踏んでしまうと、余計な音が混ざって濁ってしまったり、本来のびてほしい音がのびなかったりしてしまい、きれいに聴こえません。

なぜ、同時ではいけないかというと、ピアノの構造に理由があります。

ピアノの弦の響きを止めているダンパーという部分があるのですが、ペダルを踏むとこのダンパーが上がり音がのびます。ただ、ペダルを踏むとすべての弦についているダンパーが上がってしまうため、打鍵した弦の響きが打鍵していない弦にも伝わります。この伝わりを、「ハーモニクス」「倍音」「共鳴」などといいます。

同時に踏んでしまうと、打鍵した瞬間の音が他の弦に伝わってしまい、結果として意図していない不要な音が入ってしまうのです。このハーモニクスをうまく使うことも大事なのですが、ペダル初心者の方はまずは「鍵盤を押した後ペダルを踏む」練習をしましょう。

「ミシシッピー・マッド」の最初の小節、左手はファド・右手はソミ♭なのですが、この4つの音を押さえたらペダルを踏みましょう。1つ1つ確かめるようにゆっくり練習します。できるようになってきたらインテンポで弾いてみたり、通して練習したりしてみましょう。

始めはこのちょっとずらす感覚にとまどうのですが、慣れるとどんな曲でもすんなりとペダルが踏めるようになりますよ♪

まとめ

①最初の10小節の譜読みができれば簡単!
②しっかり弾きすぎず、ダラ~と弾いてみよう
③ペダルは鍵盤を押してから踏もう


タイトルに怠い感じと書きましたが、私はハーモニカの独特な音とブルースのリズム感がクラシックと比べると怠い感じに聴こえるのかなと感じました。それでもかっこいいのがブルースの良さだと思っています。

ノリノリのジャズとはまた違う雰囲気のブルースに皆さんも是非チャレンジしてみてください♪

編集者による補足解説

曲の情報

  • 曲名:ミシシッピー・マッド(英語:Mississippi Mud)
  • 作曲者:ウィリアム・ギロック(William L. Gillock/アメリカ人)
    1917年7月1日-1993年9月7日(76歳没)
    音楽教育家・ピアノ曲の作曲家
    ※美しいメロディーの教育用の曲を数多く作曲したことから「教育音楽作曲界のシューベルト(英語:the Schubert of children’s composers)」とも呼ばれています。ギロックがどのような人物だったかについてはこちらの記事もご覧ください。
    https://shirokuroneko.com/archives/5185.html#i

  • 曲の種類:ピアノ独奏曲/ジャズ
  • 拍子:4分の4拍子
  • 発表年:1977年(作曲者は60歳)
  • 演奏時間:約1分50秒
  • アメリカの出版社、ウィリス音楽社(英語:Willis Music Company)が1977年に出版した5曲からなる曲集「続々・ニューオリンズ・ジャズ・スタイル(英語:Still More New Orleans Jazz Styles)」の第1曲
    同社からこれ以前に出版された2つの曲集とあわせて、全音楽譜出版社(英語:Zen-On Music Company Limited)が日本語に訳して販売している曲集が、15曲からなる「ジャズスタイル・ピアノ曲集」です。
  • 同名の曲として、アメリカのシンガーソングライター、ハリー・バリス(Harry Barris/1905-1962)が1927年に作詞作曲した曲があります。


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