どんな曲?
3つの演奏会用練習曲(Trois études de concert/S.144)はフランツ・リスト(Frantz Liszt 1811〜1886)によって作曲されました。
リストは超絶技巧の使い手として、またイケメンだったこともあり、大変人気のあるピアニストでした。
手が大きいことでも有名で、13度(ド〜ラ)も届いたようです。
ピアニストを引退した後は、ワイマールの宮廷楽長に就任しました。ワイマールに移住し、作曲活動に重点を置くようになったリストは1848年ごろに「3つの演奏会用練習曲」を作曲しました。
この曲集は叔父のエドゥアルドに献呈されています。
楽譜はこちらから購入できます。
■ 目次
各曲の難易度と特徴
まず、この曲集全体の難易度について説明します。リストは数々の技巧的な曲を作曲しています。この曲集を、リストの他の有名な曲や曲集と比べると私はこのように感じています。
愛の夢第3番<2つの演奏会用練習曲<3つの演奏会用練習曲≦葬送<パガニーニによる大練習曲<ハンガリー狂詩曲≦超絶技巧練習曲
あくまで私個人の感覚です。
それでは「3つの演奏会用練習曲」各曲について解説します。
第1曲 悲しみ(Il lamento)…★★★★☆ツェルニー40番修了程度
11分弱とこの曲集で一番長い曲ですが、オクターブが届けばツェルニー40番修了程度でも弾けると思います。
たっぷりとある前奏の後、甘美なテーマが現れます。(4~8小節目、動画0:50~1:03)
テーマは転調されたり(22〜29小節目、動画01:52〜02:13)
変奏されたりします。(91〜97小節目、動画05:42〜05:57)
上記に挙げたのはほんの一例で、この他にも転調や変奏されているところがあるので探しながら聞いてみてください。
またこのテーマだけでなく他のテーマも曲の様々なところで出てきます。
「このメロディーさっきも出てきたな」と思ったら楽譜に印をつけていくと自然と曲の分析にもつながります。
個人的に140小節目で最初の前奏が再び現れてくるところ(動画08:19〜)が好きです。
第2曲 軽やかさ(La leggierezza) …★★★★★ツェルニー50番前半
この曲集の中で一番難しい曲です。特に右手に様々な技術が練りこまれています。
6度の重音(27〜30小節目、動画01:06〜01:18)
指を素早く動かす所(40〜52小節目、動画01:44〜02:29)
3度の重音(60〜65小節目ossiaの方、動画02:52〜03:09)
この部分はアルペジオと選択できるので、3度が苦手な方はアルペジオでも良いです。私もアルペジオの方で弾きました。
どちらも演奏映えするステキな部分です。
80〜81小節目(動画03:45〜03:50)は臨時記号が多くて譜読みが大変に感じますが、実は右手はほとんど黒鍵です。81小節目の最後だけシの音です。
以降音が素早く駆け巡った後、最後はピカルディ終止(短調の曲が最後長調の和音で終わること)でホッとした気分になって終わります。
第3曲 ため息(Un Sospiro)…★★★★☆ ツェルニー40番修了程度
ツェルニー40番修了程度と書きましたが、私の友達でこの曲を弾いていた時はまだ修了していなかった方がいるので、指を素早く動かすことが得意な方はこの限りでは無いと思います。
この曲集の中で一番人気のある曲です。
美しいメロディーで演奏映えもするだけでなく、手を交差して演奏するので演奏する姿も派手です。
m.s.(mano sinistra)は左手で、m.d.(mano destra)は右手で演奏するという意味です。最初は混乱すると思いますが、慣れてくると手の動きを楽しめるようになってきます。
この曲はとにかく「綺麗な音を出す」ことを大切にして欲しいです。
メロディーはもちろん、伴奏の音も繊細な美しい音を究めてください。
最後に
リストの曲はどれも上級者向けです。ただ、自分のレベルに合う曲というよりは、弾きたい曲にまずチャレンジしてみて欲しいと思います。
曲全部通して弾けるように頑張るのもよし、好きな所だけやってみるのもよし。
上級者向けというだけで曲に触れないのは勿体無いなと私は思います。
もし先生に「まだ弾くのは早い」と言われてしまったら、こっそり楽譜を買って練習してみてください♪
(私はしょっちゅうやってました(笑))
「3つの演奏会用練習曲S.144」の無料楽譜
- IMSLP(楽譜リンク)
1911年にブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版されたパブリックドメインの楽譜です。
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