1838年に「トロイメライ」で有名なロベルト・シューマン(Robert Alexander Schumann, 1810-1856)によって作曲されました。
ノベレッテ(ノヴェレッテン)は「Novelletten」と書き、短編小説のことを指します。シューマンは読書が好きで、文学的な要素を音楽に反映させています。
8曲の中でも曲の壮大さはダントツで、とても聴きごたえがある曲です。
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■ 目次
難易度は?
最低でもツェルニー40番は修了した方が良いでしょう。両手とも和音が多いので、しっかり和音を掴むことと、スタッカートの音をムラなく響かせる技術が必要になります。
また12分という長い曲ということもあり、通して演奏するには体力と集中力がかなり必要です。
私も弾き通すとぐったりしてしまうので、練習の最後に通して弾いていました。
練習のポイント
今回は「この曲の練習を始める方」「長い曲に初めて挑戦する方」向けに練習のポイントを解説します。コンクールなどで専門的な技術等を知りたい方には物足りない内容になっておりますので、ご了承ください。
1〜48小節目(動画0:00~)
楽譜の上部に書いてある「Sehr lebhaft」はドイツ語で「とても賑やかに」という意味です。下に書いてある「Assai vivace」はイタリア語で「極めて速く」という意味になります。
左手は拍の頭にある音を大切にして弾きましょう。そのほかの音はそれほどしっかり弾かなくても大丈夫です。
綺麗に音が鳴っているなという程度で充分でしょう。
左手がメロディーになった時は、低音を響かせることを意識しましょう。
44~48小節目(1:09~1:20)に限らず、全体を通して言えることですが、スタッカートはお腹に力を入れると安定して弾きやすくなります。
弾くときに「フッ!フッ!」と力を入れる感じです。
これはpでもfでも同じです。
49~128小節目(動画1:20~)
「Noch lebhafter」はドイツ語で「もっと賑やかに」という意味で、「Ancora più vivo」はイタリア語で「今までよりももっと速く」という意味です。
スタッカートの軽快な音楽が流れます。
スタッカートが続くとよくあるのが、途中の音が消えてしまうことです。
一瞬だけ鍵盤を押すことになるので、うまく押せていないと音が鳴る前に指が離れてしまうことがあります。
それを防ぐためには、鍵盤を押すときにほんの少し押し付けて滑らせることがポイントです。
図で表すとこのようになります。
どのぐらい鍵盤の上を滑らせるかは各々調節してください。
110~115小節目(2:40~2:48)は、右手と左手がメロディーの追いかけっこになっています。
同じメロディーがどこにでてくるのか探しながら練習するのもこの曲の楽しみ方の一つです。
129~281小節目(動画3:09~)
「Hell und lustig」はドイツ語で「明るくて面白い」という意味で、「Chiaro e brillante」はイタリア語で「はっきりと明るく」という意味になります。
この和音の練習方法ですが、まず最初のレファ♯ラ、次のファ♯ラレだけで練習します。
二つの和音が綺麗にムラなく鳴らせるようになったら、次のファ♯ラレ、ラレファ♯を練習する…というように一つずつ丁寧に練習を進めていきます。
166~172小節目(3:47~3:55)にペダルの記号がついていますが、私はペダルを踏むと右手のメロディーのスタッカートがぼやけてしまうと感じているので、ほとんど踏んでいません。
皆さんがやりやすい方法でペダルを踏んでいただければよいと思います。
198小節目(4:37~)から、次の228小節目からのメロディーが現れます。
228小節目(5:25~)からは弾きやすい分、歌うことが求められます。
また3連符の伴奏ですが、ぼーっと弾いていると動きが停滞しているように聞こえてしまいます。速く弾くという意味ではないのですが、前に前に進むような気持ちで弾きましょう。
282~561小節目(動画6:59~)
この曲の、また8曲のノベレッテのグランドフィナーレという感じが私はしました。
弾く時の構え方も全てを受け入れるようなイメージで堂々と弾きましょう。
366~389小節目(8:40~9:16)の左手はこの楽譜の指使いにもあるように、4の指を使ってペダルを踏まなくてもスラーでつなげられるといいですね。
どうしても届かない場合は鍵盤の上を滑っていくように、なるべく鍵盤から指が離れないように意識して弾くようにしましょう。
(動画9:17~)
391小節目のアクセントが付いているラの音、393小節目のアクセントが付いているシの音は、しっかり目立たせましょう。
メトロノームで合わせてしまうと、音の距離が離れていることもあり、とても弾きにくい部分になります。
しっかり狙いを定めて打鍵しましょう。
398小節目(9:26~)からは「1,2,3」と1拍1拍を感じるというよりは、1小節単位でまとめて大きく拍をとらえるといいでしょう。
1拍ずつ重く感じてしまうと、重々しく感じるだけでなく、頑張って弾いている演奏に聴こえてしまいます。
228小節目(5:25~)から始まるメロディーが、446小節目(10:17~)からニ短調に転調されて出てきます。
ヘ音記号の譜面にある音は必要に応じて右手で弾いてもかまいません。この楽譜も各小節の3拍目は右手で弾くように指使いが書いてあります。
最後は「これで終わり!」と聴く人にも伝わるくらいに、速度を落としてたっぷり弾きましょう。
最初は嬰ヘ短調から始まり、いろいろな調の曲を経てニ長調でフィニッシュです!
以前解説したノヴェレッテン第5番と同様に展開が予想付かない曲でしたね。
まとめ
・スタッカートはお腹に力を入れて弾こう・根気よく1つ1つの音、フレーズを取り上げて練習しよう
「ノヴェレッテンOp.21」の無料楽譜
- IMSLP(楽譜リンク)
本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1879年にブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版されその後再版されたパブリックドメインの楽譜です。Op.21全8曲が収録されており、第8番Op.21-8は45ページからです。
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