「ENCORE」について

2002年に出版された久石譲のピアノソロアルバムです。ジブリ映画に使われた曲だけでなく、他の映画やアルバムの曲も収録されています。どの曲もピアノの良さを引き立たせているアレンジになっています。

個人的にSummerやBalladeは他の出版社で違うアレンジをされている楽譜を見たことがありますが、「ENCORE」の楽譜が一番聴きごたえがあるような気がします。

楽譜はこちらから購入できます。



■ 目次

各曲の難易度は?

今回は4段階に分けて難易度を解説します。「譜読みを始めてから、とりあえず最後まで弾けるようになるまでに、どれくらい練習が必要か」という目線で分けました。初心者向けの目線になっていることと、私個人の感覚で分けてありますことをご了承願います。参考に曲の動画も載せておきます。

★☆☆☆…ブルグミュラー25番を終えたばかりの方でも弾けるかも

Silencio de Parc Güell
アルバム「I am」より

日本語に訳すと「グエル公園の静寂」です。「シレンシオ・デ・パルク・グエル」と読みます。
この曲集の中で一番音数が少ない曲です。テンポも遅いので技術的に難しい部分は無いと思います。その分ノーミスで弾けるか、いかに表現豊かに弾くことができるかが求められます。

★★☆☆…ツェルニー30番前半を学習中の方にオススメ

Summer
映画「菊次郎の夏」の曲です。テレビ番組でも流れることが多いので、聴いたことがある方が多いと思います。

CとDの部分(24~35小節・1:03~1:34)の16分音符の音の粒がそろうように練習するとよりきれいに聴こえます。

弾き方についてはこちらでも解説されていますので、よろしかったらご覧ください。(この記事とは別の執筆者の方です。)
https://shirokuroneko.com/archives/2786.html

Hatsukoi
(動画2:33~)
映画「はつ恋」より

指がよくまわる方でしたらそれほど苦労しないと思います。Cの部分(38~56小節・4:06~4:50)の右手がミスを少なくできるといいですね。必要に応じてリズム練習をしてみましょう。

リズム練習の例

The Sixth Station
ジブリ映画「千と千尋の神隠し」に使われていた曲です。千尋とカオナシが電車に乗って銭婆に会いに行くシーンで流れています。

オクターブのトレモロをきれいに聴こえるように弾くには腕の脱力の研究も必要になります。ですが、とりあえず通して弾く程度ならそれほど難しくありません。

Labyrinth of Eden
(動画6:13~)
アルバム「地上の楽園」より

記譜上ではオクターブより広い和音が書かれていますが、左手の和音の一番上の音を右手で弾くことができるので、問題ないと思います。

おそらくSilencio de Parc Güellの次に簡単な曲だと思うのですが、全体的にブルグミュラー25番修了程度ではまだ難しい気がしたのでこの難易度にしました。

★★★☆…ツェルニー30番後半を学習中の方にオススメ

One Summer’s Day
ジブリ映画「千と千尋の神隠し」の冒頭で使われていた曲です。私は最初の和音で「あ~千と千尋を弾いている~♪」と感動しながら楽しく弾いていました。

GとH部分(67~88小節・3:54~4:40)の3連符の音の粒がそろうように練習しましょう。ほとんどの音にスタッカートがついているので、こちらも必要に応じてリズム練習をしましょう。

リズム練習の例

HANA-BI
映画「HANA-BI」より
かっこいい曲を弾きたい方にオススメです!

Bの部分(27~36小節・1:17~1:41)は左手がメロディーを担当するところです。他の音に邪魔されず、メロディーが目立つように音を聴きながら練習しましょう。

DとEの部分(46~57小節・2:10~2:54)の左手の連続オクターブが決まるとかっこいいです!腕の見せ所です!

Ashitaka and San
ジブリ映画「もののけ姫」で最後にでいだらぼっちが消えて山に緑が戻ったシーンで使われています。

右手の大半がオクターブになっているので、オクターブの練習をしたい方にもオススメです。
左手は分散和音になっており、同じような音型が続くので、とりあえず弾く分には時間はあまりかからないかと思います。

Friends
(動画9:40~)
アルバム「Piano Stories II」より

右手はオクターブが続くので、力が入りすぎないように気をつけましょう。鍵盤を押した後に、鍵盤を押さえたまま力を抜く練習をすると腕が疲れにくくなります。

左手は動画を見ていただくとわかるように、移動の幅が広いです。後半の16分音符を流れるように弾くのがポイントになります。

★★★★…ツェルニー30番修了以上

Ballade
映画「BROTHER」より

私の第1印象ですが、譜読みが大変だなと思いました。私が中学生の時に演奏したのですが、「音合っているかな?リズム合っているかな?」と首をかしげながら練習していました。

後半になると右手でメロディーと伴奏や装飾音を一度に担うところがあるので、どの音がメロディーでどの音が和音なのか整理しながら練習しましょう。

左手は全体的に臨時記号に気をつければ難しくありません。

La Pioggia
映画「時雨の記」より

強弱記号の数が多いです。fからいきなりpになるところもあります。譜読みをする前に、pは青、mpとmfは緑、fとffは赤色の〇で囲んでみましょう。そうすると強弱の変化がわかりやすくなるのでオススメです。

音楽の様子もコロコロ変わるのでそれぞれの場面のイメージをかためておくと表現がしやすくなります。

最後に

私がこの曲集を手にしたのは中学生の時でした。久石譲の曲が大好きで、ピアノの発表会で弾きたいと当時の先生に伝えたところ、この曲集をオススメされました。

知らない曲も多かったのですが、どの曲も久石譲らしい和音進行や素朴なメロディーが素敵だと思いました。

この記事の冒頭でピアノの良さを引き立たせるアレンジと書きましたが、ピアノの音だからこそ美しく映える、音数が少なくシンプルながらもダイナミックな演奏ができる曲ばかりだと感じました。

みなさんも久石譲の音楽の素晴らしさだけでなく、もう一度ピアノの音の美しさを味わいながら弾いてただきたいなと思います♪




 ピアノ曲の記事一覧