どんな曲?


「ポロネーズト短調Ahn.123」は、J.S.バッハの2番目の妻アンナ・マグダレーナために編集した「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」の中に入っている曲です。

J.S.バッハが作曲した曲だけでなく、他の作曲家が作曲した曲も入っています。「ポロネーズト短調BWV Ahn.123」は、 J.S.バッハと最初の妻マリア・バルバラの間に生まれた次男のカール・フィリップ・エマヌエル・バッハ (Carl Philipp Emanuel Bach)が作曲しました。

(これを知った時、私はJ.S.バッハじゃないんかい!とつっこんでました。)

この音楽帳は1722年のものと1725年のものと2つあるのですが、「ポロネーズト短調Ahn.123」は1725年のものに入っています。

ちなみに2018年度グレンツェンピアノコンクールの地区大会、大学・一般の部の課題曲に選ばれました。


私は全音の楽譜で演奏しました。値段もお手頃で、有名な「ト長調のメヌエット」も収録されています。



改訂版も出ているようです。今ならこちらのほうが良いかもしれません。



■ 目次

難易度は?

上記の楽譜全体的には、ブルグミュラー25番を練習中の方でも弾けると思いますが、私はこの曲だけはブルグミュラー25番を終えた方が良いと感じています。

演奏時間が約1分と、とても短い曲ですが、3度の重音と6度の重音をきれいに鳴らす技術と、手首を柔らかく使う技術が必要になります。

ブルグミュラー25番やツェルニー30番ではなかなか3度や6度の和音は出てこないので、良い練習になると思います。

また、曲の分析がやりやすい曲だと思いますので、分析の導入にも良いでしょう。

練習のポイント

YouTubeでいろいろな方の演奏を聴いていると結構しっとり弾いている方が多いですが、この曲は「ポロネーズ」という3拍子の踊りの曲ですので、躍動感があると良いと私は思います。

この曲はA-B-Aの3部形式になっているので、それぞれの部分に分けて解説します。

Aの部分(1~8小節目、動画0:00~0:22)

バッハ(C.P.E)「アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳「ポロネーズト短調BWV Ahn.123」」ピアノ楽譜1
青いの部分の問いに対し赤いの部分が答えているように右手と左手でお話ししているような感じで弾きましょう。

バッハ(C.P.E)「アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳「ポロネーズト短調BWV Ahn.123」」ピアノ楽譜2
手の大きい方や指の間が広がる方はこの楽譜の指使いの方がミスが少なく安定して弾けます。ただ手の小さい方や、私のようにこの指使いでは届かない方は緑の字で書いたように1の指で弾きましょう。

この時1の指は鍵盤の上を滑らせて弾きます。

バッハ(C.P.E)「アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳「ポロネーズト短調BWV Ahn.123」」ピアノ楽譜3
3小節目の高いシ♭の時に手首と肘を外側に回して広げるように動かすと弾きやすくなります。

押さえつけて弾くのではなく、外側に肘を回しきったときに力が抜けると右手「シ♭ーラソ」の「ラソ」の部分が余計な力が入らずに弾けるようになります。

またメロディーが一番よく聴こえないといけないので、Aの部分は右手の小指の筋力を鍛えないと他の低い音に負けてしまいます。

左手のベースは少し音量を押さえて弾きましょう。低い音は大きな音が出やすく、メロディーが負けてしまうので、バランスよく音量を調節しましょう。

Bの部分(9~18小節目、動画0:23~0:47)

ト短調から変ロ長調に転調し、明るい雰囲気になります。

バッハ(C.P.E)「アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳「ポロネーズト短調BWV Ahn.123」」ピアノ楽譜4
青いの部分に対して赤いの部分が「なーに?」と答えているような、お話ししているようなイメージで弾くといいでしょう。

青いの部分の3度の重音は、青いの部分のみ繰り返して練習したり、ハノンの50番をゆっくり練習して音がずれずに弾けるように練習したりして、きれいに音が鳴らせるようにしましょう。

1日3分、毎日やるだけでも効果がありました。あまり長い時間やると疲れてきたときに変な癖がついてしまうこともあるので、疲れたなと思ったら他の小節や曲を練習して気分転換しましょう♪

バッハ(C.P.E)「アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳「ポロネーズト短調BWV Ahn.123」」ピアノ楽譜5
12小節目~16小節目はこの16分音符の動き(緑のの音型)が全体を占めています。

pなので大きな音を出す必要はありませんが、この16分音符の動きのうねりを感じながら弾くと少し動きを感じられる音楽を演奏できると思います。

バッハ(C.P.E)「アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳「ポロネーズト短調BWV Ahn.123」」ピアノ楽譜6
13小節目の赤い線の部分で、私はほんの一瞬ペダルを踏みました。1拍目のメロディーのファミ♭ソファと2拍目のファの間がどうしても変な間が空いてしまい、legatoにならなかったのでペダルを踏んでいました。

基本的に12~14小節目はペダルを踏まない方が音が濁るリスクが無いので、ペダル無しでもlegatoに弾ける方は踏まないことをお勧めします。

また12~14小節目の左手は大きな音が出やすいので、音量はかなり小さくても充分です。あまり手首を動かさず、指先だけごにょごにょ動かしているような感じで弾きます。でも音までごにょごにょ聴こえないように、音ははっきりと聴こえるように練習しましょう。

Aの部分(1~8小節目、動画0:47~1:09)

D.C(ダ・カーポ)で楽譜の最初に戻るので、楽譜上は1~8小節目になります。

バッハ(C.P.E)「アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳「ポロネーズト短調BWV Ahn.123」」ピアノ楽譜7
最後は特に書いていないのですが、少しrit.をかけて遅く演奏すると曲が終わる感じがします。

まとめ

・手首の柔軟性と腕の脱力を意識して弾きましょう。
・3度と6度の重音は疲れない程度の日々の積み重ねが大事!


私がこの曲を練習していた時は、右手の小指の付け根が痛くなりました。普段使っていない筋肉をよく使ったな~という感じでした。

電子ピアノで普段練習しているのですが、電子ピアノではずれずに重音が弾けてもグランドピアノになるとずれるということがありました。

鍵盤の感覚が違うので、電子ピアノで練習している方は、たまにはスタジオのグランドピアノを借りて練習するのをお勧めします。



「アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。アウゲナー社から出版されたパブリックドメインの楽譜です。「アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳」から20曲が収録されており、C.P.E.バッハ「ポロネーズト短調BWV Ahn.123」は12ページからです。

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