energy flowってどんな曲?

energy flow(エナジー・フロー)は坂本龍一によって作曲された曲です。1999年にマキシシングル「ウラBTTB」の中の1曲として発表されました。


※ウラBTTBにはenergy flowのほかにも、「Put your hands up」「鉄道員」という2つの曲が入っています。Put your hands upは1997年からTBSの報道番組「筑紫哲也NEWS23」のテーマソングとして使われていました。ウラBTTBにはそれをピアノ独奏曲にアレンジした曲が入っています。もう1曲は、映画「鉄道員(ぽっぽや)」の主題歌のピアノ独奏版です。

坂本龍一は他にも「戦場のメリークリスマス」や「ラストエンペラー」など一度は聞いたことがあるような有名な曲を作曲しています。


さてenergy flowですが、1999年に三共株式会社(現第一三共ヘルスケア株式会社)の「リゲインEB錠」のCM曲として使われていました。

CMの中では癒しという言葉が出ていましたが、私はこの曲を聴いてセンチメンタルな感じがしました。上手く言えないのですが、ぼーっと「無」になって夕焼けとか霧に包まれている景色を見ている感じです。

そして2018年、20年の時を経てenergy flowのMVが制作されました。
その動画がこちら

曲は動画0:20~流れますがMVを見て雰囲気を感じてみましょう。

弾いている手を見たい方はこちらをどうぞ。

楽譜はこちらから購入できます。

こちらはオリジナルバージョンだけでなく、初心者向けに弾きやすくアレンジされているバージョンも載っています。また連弾バージョンもありますので興味のある方は是非ご覧ください。



「王様のピアノ BGM 1」にも同じ楽譜(オリジナルバージョン)が載っています。



■ 目次

energy flowの難易度は?

譜面を追って弾くだけなら、ブルグミュラー25番を学習中の方でも弾けると思います。

ただ、右手の重音をきれいに弾くには5本の指に均等に力を入れる必要があるのと、左手の和音と右手のメロディーのバランスが取れるように弾く技術が必要になります。そのためツェルニー30番程度の技術が必要になるでしょう。

後にも解説しますが、ハノンのピアノ教本に載っている重音の練習も取り入れると弾きやすくなります。

練習のポイント

①右手の重音が鍵

楽譜の9~11小節目(MVの動画0:44~0:52)から右手のメロディーが重音になります。重音を弾きこなすためには、5本の指に均等に力を入れる必要があります。小指と薬指が普通力が弱いので、補うためにハノンのピアノ教本を使います。

例えばハノン48番

この動画のように非常にゆっくりなテンポでもOKです。重音を弾くことに慣れましょう。ゆっくりでも良い指の運動になりますよ。

気を付けるポイントはどの音も同じ音量で出すことです。特に小指や薬指で弾いた音が小さい事が多いので、この2本を強化するようなイメージで練習すると5本の指の力がそろってきます。

ハノンで重音の感覚をつかんだ後で9~11小節目を練習しましょう。

②和音を味わおう

坂本龍一の曲はクラシックにあまりない和音が多く使われています。

例えば30~47小節目(MVの動画1:43~2:43)の和音進行はクラシックを学んでいる方はなかなか聴きなれないと思います。譜読みをする前に、2拍ずつの固まりごとに和音を確認してみましょう。

30小節目でしたら、1・2拍目は左手ラ・ミ右手シ・ド・ミでジャーンと一度に弾いてみましょう。ラ・ド・ミの3和音なら聴きなれていても、そこにシの音が入っただけで「え!」と驚く方もいるかもしれません。

3・4拍目は左手シ♭・レ・ラ右手ド・ラで弾いてみましょう。こちらも不思議な音に聴こえる方がいらっしゃるかもしれませんね。

30小節目以降の和音を一度にそれぞれ弾いてみると、ほとんどの和音がクラシックにない和音になります。この和音たちがこの曲独特のセンチメンタルな雰囲気を醸し出しているのかもしれません。

坂本龍一のような現代の作曲家を初めて弾く方は是非この独特な和音を楽しんで演奏してほしいと思います。

③pを恐れない

王様のピアノシリーズの方には強弱記号が書いてないのですが、曲を練習していると自然と小さい音で弾きたい部分が出てくると思います。

私の場合、48~53小節目(MVの動画2:43~3:02)で一番小さい音を出したいなと思っています。この部分がこの曲の中で一番気を遣うところかもしれません。

小さい音を出すときは、弱い力で弾くというイメージの方が多いと思います。ただ、弱い力で弾こうとすると、この部分の緊張感が聴いている方に伝わりません。

緊張感のある小さい音を出すにはお腹に力を入れることが重要です。

「え、力を入れると音が大きくなっちゃうじゃん!」
それも一理あります。ですが、大きい音を出すときの力の入れ方とは違います。

想像してみてください。
あなたは物を運んでほしいと頼まれました。少しでもぶつかると壊れてしまう大切なものです。
さて、あなたはどのように運びますか?実際に何か物を持って運んでみましょう。


この時、どこに力が入りましたか?
腕や肩にも力が入ったかと思いますが、お腹にも力が入ったと思います。いくら腕に力があってもお腹の支えがないと運べませんよね。

このお腹の力の入れ方が、緊張感のある小さな音を出す時の力の入れ方です。ピアノを弾くときは腕と肩の力を抜かないと良い音が出ず無駄に疲れてしまうので、力を入れるのはお腹だけです。

音を出すときはお腹の支えを意識して、「少しでも気が緩んだら変な音になってしまう」と緊張感をもって弾きましょう。

まとめ

①ハノンのピアノ教本も参考にして重音をきれいに響かせよう
②クラシックにない和音を味わって弾こう
③お腹の支えを意識して緊張感を持って弾こう


この曲に興味を持った方、ぜひ坂本龍一の他の曲も聴いてほしいなと思います。
ちなみに私のオススメは「戦場のメリークリスマス」と「Bibo no Aozora(美貌の青空)」です。
曲を聴いた方は感想をコメントにお願いします♪



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