ブルグミュラーの18の練習曲より『真珠』。この曲は曲集の最初から二番目に収録されております。この曲の音源を聴いてみるとおわかりになるかと思いますが、タイトルにもある通り本当に真珠のような音の転がり具合が印象的な作品です。

実のところ、私はこの曲を練習し始めた当時、今考えてみると「曲集の二番目だし、まあきっとそれほど難しくはないだろう」などと軽く見ていたように思います。しかしいざ練習に入ってみたら、思いのほか細かな部分で手こずったような記憶があります。

この曲を弾いてみて、私はようやく「ああ、これが18の練習曲の難しさか……」と実感したものです。それと同時に、25の練習曲からさらに発展したブルグミュラーワールドの序章を垣間見たように思いました。

「25の練習曲をマスターできたから、次は18の練習曲に挑戦してみたい」、「優雅な曲を弾いてみたい」という方は必見です。




こんにちは!
ご無沙汰しておりました、ピアノ弾きのもぐらです。最近ちょっと畑から飛び出して、小さな旅に出ておりました。

と言っても地中からは飛び出してはおりません。ひたすら地中を掘り進めて旅をしていました。季節はすっかり秋ですね。

秋といえば、旅の途中でたくさん栗を食べました。栗の名産地にも出向きました。モンブランに栗ごはん等、普段は食べられないようなものをたくさん食べることができてとてもうれしかったです。

皆様の秋はどんな秋ですか?
今年もめいっぱい秋を満喫していきましょう!

音階が弾ければ難易度はそれほど高くない!


では本題に入りますね。

この曲は冒頭でも触れた通り、細かい部分で手こずりやすいという特徴がありますが、全体の難易度的にはそれほど難しくはありません。

ですが、難しくないからといって私のように軽く見ていると、後々壁にぶつかってしまうというような曲でもありますので、気をしっかり引き締めて練習に臨みましょう。

ちなみに具体的な難易度の指標としましては、ツェルニー30番程度から40番の最初くらいです。ピアノ中級者の方ならば充分弾けるかと思います。

また、譜面をご覧になるとおわかりになるかと思いますが、この曲はとにかく音階をきれいに鳴らすことが重要になってきます。そのため、もし音階を弾くのが苦手という方はツェルニーの練習曲集等を併用することで、練習がより効果的になるかと思います。


所々に小さな変化のある構成!

では、こちらの動画を聴いてみてください。



この記事では説明をわかりやすくするために、一曲を下記のようにいくつかのセクションに細切れにしてあります。

セクションA1(最初~0:35)
セクションB(0:36~0:54)
セクションA2(0:55~1:11)
セクションC(1:12~終わり)

※カッコ内の時間は動画に沿ったものです。上の動画をよく視聴して全体像を把握しておくことで、練習もより効率よく進められるかと思います。


この曲は全体的に、曲調の起伏という面ではそれほど大きな変化は見られません。音階が上昇型になったり下降型になったりと、場面ごとに規則的で小さな変化が所々見られるくらいです。

そして先ほども触れましたが、音階がきれいに鳴らせるとこの曲はとても美しく聴こえます。また音階と一概に言っても、例えば「上がる音階は得意でも下がる音階は苦手」というように、指の動きの変化一つで得意分野と不得意分野が分かれるという方もおられるかと思います。

この曲をマスターするというのは、様々な音階の技術を高めるということでもあると私は思いますので、音階が苦手という方にこそぜひともトライして頂きたい一曲なのです。

それでは、さっそく練習に入っていきましょう!

もぐら式!弾き方のコツ

セクションA1 ~指の切り替えに注意しよう~


セクションA1から、さっそく音階で構成された特徴的なフレーズが始まります。

強弱の表記は『pp(ピアニッシモ:きわめて弱く)』ですので、とにかく音量を抑えつつ音階をきれいに鳴らしていきましょう。

※ 『Moderato』の意味は『中くらいの速さで』
※ 『leggierissimo』の意味は『きわめて軽く』

この部分だけに限ったお話ではありませんが、この曲の音階はオクターブ移動したところで指をすばやく切り替える(例:小指→親指)という、ちょっと高度な技術が求められます。また、同じ音の上で切り替えなければならないところがさらに大変です。

「音階は得意だけれど、この指の切り替えがどうも上手くいかない」とお悩みの方もおられるかと思います。かく言う私もかなりこの部分で手こずりました。

ここはとにかく最初はゆっくり、片手練習を重ねていきましょう。練習の初期段階でのテンポは「ちょっと遅すぎる?」と思うくらいで丁度良いです。

また、両手練習に入っても油断はせずに地道にスローテンポからコツコツ練習していきましょう。


※ 『dimin.』は『diminuendo』の略称で意味は『だんだん音量を下げる』

ここは右手がこれまで通り高音へと移動していく形になっておりますが、音量は表記の通りだんだん小さくしていくことを忘れないようにしましょう。(0:11~)

コツとしては高音へ向かうほどだんだんと指の力を抜いていき、音階の最後の音は鍵盤を押すというよりもただ触れるだけというイメージで弾くときれいに聴こえます。

セクションB ~焦らず地道に練習しよう~

セクションBでは、セクションA1の音階が今度は高音から低音へと向かう形に変化します。(0:36~)

また音量も少し盛り上がりますが、だからといってあまりにも聴いていて不自然なほどの変化になってしまわないように気をつけましょう。


左手に関しては、最初の一拍目に重きを置くイメージで鳴らすとメリハリが出ます。二拍目、三拍目は三和音になっていますが、ガツガツと弾くと全体的に重い雰囲気が出てしまいますので、一拍目よりもなるべく小さな音量に留めておきましょう。

この部分の右手は高音から低音へと向かう形ですので、特に薬指の使い方が重要になってきます。薬指の使い方というのは知らず知らずのうちに見落としがちな部分かもしれませんが、薬指でしっかり良い音を鳴らせないと後に続く指の動きにも影響が出てきます。

小指は最初の音ですのである程度注意も向くかと思います。ですが、その次の薬指を適当に考えてしまうと、不思議なことにその後の音もつられてダラダラとなだれるような響きになってしまうのです。

ですので、薬指も小指と同じくらい注意が必要なのです。具体的には薬指で鍵盤を押す際に、なるべく指の腹ではなく指の先端が鍵盤に当たっているかどうかをスローテンポで意識的に確認しましょう。私もそうですが、これは注意してみると意外とできていない場合が多いのです。


※ 『dimin. e poco riten.』の意味は『音量を下げながら、少しずつ遅く』

この右手は音階のつなぎ目がオクターブ離れて表現されるという変則的な箇所で、苦手な方も多いかと思います。(0:42~)
特に手が小さいという方はちょっと大変な部分かもしれません。

ちなみにこの部分には速度表記もありますが、基本的に練習の初期段階では速度表記は考えずに、まずはしっかりと一定のテンポで弾けるようにすることが大事です。

特にこの箇所では『少しずつ遅く』という意味の表記も混じっています。このような箇所で最初から速度表記を取り入れた練習をしてしまうと、ただ単に「弾きづらいからテンポを落とす」という速度表記に甘えた練習になり、それは後々悪い癖につながってしまうこともあるからです。


※ 『a tempo』の意味は『元の速さに戻す』

「ここは左右の手がオクターブ離れているだけだ」と甘く見てはならないところです。(0:52~)そんなことを言っている私自身、当時はこの箇所を完全になめきっておりました。

ここはこの曲では一番の難所のように私は思います。とにかく両手の音がばらけないように、メトロノームを使いながらゆっくりと練習しましょう。

また、テンポを速くできるようになっても少しでも音がばらけるようであれば、テンポを遅くした練習に再度戻ることをおすすめします。

セクションA2 ~リズムを変えた練習方法とは~

セクションA2はセクションA1の繰り返しですが、強弱の表記が変化します。(0:55~)

ただ、これはセクションBでも触れましたが、極端に音を大きくしすぎると不自然に聴こえてしまいますので、曲の全体像をしっかり把握した上で相応しい音量はどのくらいかを自分なりに考えることも大切です。

また、この曲では様々な形の音階が出てきますが、音階の練習の一つにリズムを変えた練習方法というのもあります。文字通り、音階を弾いていく際にリズムをいろいろな形に変えて弾いていくというやり方です。

この曲に限らず音階の練習をする際に困ったときは、リズムを変える方法がとても効果的だと私は思っております。リズムはどのような形でも良いです。練習の上でどんなリズムにしようか悩んでしまうのであれば、ハノンの教則本を併用するのもおすすめです。

【全訳ハノンピアノ教本:全音楽譜出版社】
全訳ハノンピアノ教本 全音ピアノライブラリー

この全音楽譜出版社のハノンの教則本には、巻頭にいろいろなリズムの形の一覧が載っています。これは練習をする上ではとても便利ですので、ぜひ普段の音階練習にも活用してみてくださいね。

セクションC ~響きが濁らないように~

セクションCは曲を締めくくる大事な箇所です。(1:12~)

ここから音量をさらに小さくしていきますが、それに気を取られて一つ一つの音が抜けてしまわないように気をつけましょう。

※ 『vivo e molto cresc.』の意味は『より音量を上げながら、いきいきと』

この箇所が上手く弾けると、とても美しく曲を締めくくることができます。(1:19~)

ですが、ここもなかなかに難しい部分です。セクションBでも似たようなフレーズが出てきましたが、ここは両手がオクターブではなく10度離れており、少しでも音がばらけるとすぐに響きが濁ってしまうため細心の注意が必要です。

また、セクションBのオクターブ離れたフレーズでも同じことが言えますが、このような箇所ではペダルはなるべく入れないほうが音も濁らずきれいに聴こえるかと思います。

ですが、しっかりと両手がばらけないで弾けるようになった上で、もしペダルを入れたほうがしっくりくるという場合は、それはそれでまた個性のある演奏になりますので、自分なりに研究してみるのも楽しいかと思います。

おさらいしよう!全体的な弾き方のまとめ


ここまでブルグミュラーの18の練習曲より『真珠』についてお話ししてまいりましたが、いかがでしたでしょうか?

ここで、以下に全体的な弾き方のコツをまとめました。

  1. 右手の音階の途中にある指の切り替え部分に気をつける(全体的に)
  2. 右手は薬指の弾き方によって後に続く他の指にも影響が出るので、薬指の動きには特に気をつける(特にセクションB
  3. 音量は基本的に控えめに、盛り上がる部分もあくまで聴いていて不自然にならない程度に留める(特にセクションA1セクションBセクションA2
  4. 音階はリズムを変えた練習を取り入れてみる(全体的に)
  5. オクターブ(8度)や10度離れている両手の箇所は、音がばらけないように気をつける(特にセクションBセクションC

以上の5つのコツを念頭に、練習をしてみてくださいね。


何度も申しますが、この曲には右手の音階という課題が始終ついてまわります。音階の練習というのは退屈に思えることも多いかもしれませんが、音階が弾ければ練習する曲の幅もグッと広がりますし、何より全体的な指の力も格段についてきます。

どのような曲においても人それぞれ得意不得意があるかと思いますが、すぐに上手く弾けないからといって「やっぱり向いていないのかも……」と思わずに、地道に練習を続けてみてください。

ちなみにこれは私の体験談ではありますが、練習をしていると「上手く弾けないなぁ」と思う時期を延々と過ごす中で、「あれ?何だか上手く弾けてきた!」と突然思えるときがあるように感じます。これは本当に不思議なのですが、地道に練習しているときほど本当に突然ステップアップを実感できるような気がします。

それでは、練習頑張ってくださいね!畑の地中から毎日応援しております。

byピアノ弾きのもぐら


「真珠」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1900年にシャーマー社から出版された楽譜です。「18の練習曲」全曲が収録されており、第2曲「真珠」は3ページからになります。


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