ブルグミュラー25の練習曲に入って7曲目、「清らかな流れ(小川)」は、文字通りきれいな小川の流れがそのまま目にうかぶような曲になっています。練習曲として大事な技術を盛り込んでありますが、まさに、「練習」だけではない「きれいな曲」として完成された一曲になっています。
さて、この曲をどうやって弾いたら良いのか分からない人、難しいのかな?自分に弾けるのかな?とお悩みの方、ぜひこの記事を最後まで読んでみてくださいね!ピアノ歴23年の筆者がこの曲を解説します!
ブルグミュラー「25の練習曲」より第7曲「清らかな流れ(小川)」
ブルグミュラーは、ドイツ出身の有名な作曲家で、ピアノの練習者用の作品を多く残しています。この「ブルグミュラー25の練習曲」はその中でもとても有名な練習曲集で、初心者にとって登竜門といっても過言ではありません。
みなさんも、一度は耳にしたことのある曲がこの曲集には何曲も入っていると思います。特に小学生なんかが学校の音楽室でクラスメイトに弾いて聴かせて、「おぉー!」ってなっている光景はあるあるではないでしょうか(笑)
この「清らかな流れ(小川)」は、そんな、子ども達にも有名なブルグミュラー25の練習曲の7曲目になります。
ブルグミュラーには、「ザ・練習曲」といった感じの曲から、かっこいい曲、きれいな曲がありますが、この曲は「きれいな曲」に分類される曲になると思います。さらさらと小川が流れて行く様子がありありと浮かんで来るような、そんな曲になっています。
私も小さい頃、はじめてこの曲が弾けるようになったとき、「ピアノってこんなにきれいな曲が弾けるんだ!」なんて思ったものです。
難易度は?
この曲は、ぱっと見では右手が細かく動きそうな感じがして、少し難しそうに感じるかもしれません。しかし、一度手が動きを覚えてしまえば、あとは同じことが続くので、そこまでは難しくはないと思います。
ただ、どんな曲でもそうですが、ただ音符を追うことはできるようになっても、曲想をつけてプロのように素晴らしくきれいに音楽的に弾くというのはまた違う難しさがあります。
個人的には、きれいな曲ほど、「きれいに弾く」というのは難しくなってくると思っています。ペダルをにごらないように美しい響きになるように使うというのも結構難しいことですしね。
弾き方のコツ
さて、この曲では、前半と後半でそれぞれ一種類の動きを覚えてしまえば、基本的には、曲自体は弾くことができます。
前半では、冒頭から、右手が三連符を弾き、左手が四分音符でベース音を弾きます。(ソ・レ・ソ・レ・・・と同じことの繰り返しになっています。)
ここでは、特に右手の動きをどう弾くかがポイントになってきます。具体的にどんなポイントがあるのか、4つあげてみました。
1.三連符の一つ目の音は四分音符なので一拍分しっかりのばす
三連符の一つ目の音(冒頭では「シ」)は、三連符のうちのひとつでもあるのですが、ここでは四分音符としても書かれているので、しっかり一拍分のばさないといけません。
つまり、「シソレ」の「レ」が弾き終わるときに、「シ」も離すというタイミング感ですね。まずはこの感じを、冒頭一つ目の「シソレ」だけを繰り返し練習しても良いので、とにかく手に覚えさせるようにしましょう!
2.三連符の一つ目の音は他の音よりも大きめに弾く
1で説明した「シ」をのばすということに加えて、その「シ」は他の「ソレ」に比べて大きめに、強めに強調して弾くようにしましょう。イメージとしては、「シ」だけを弾こう、というつもりで、「ソレ」はシを弾いたあとに力を抜くついでに、ささっと触れるように弾いちゃう、くらいのノリです。
3.三連符の一つ目の音同士がメロディとしてつながっていくようにする
今度は冒頭から四小節までを大きく見てみましょう。三連符の1音目を見ていくと、「シシドラシシレソシシドラシシソレ」となります。実はこれが、この曲のメロディになります。
なので、最初は難しいですが、慣れて来たらで良いので、このメロディを意識しながら、頭の中で一緒に歌って(もちろん声に出して歌っちゃっても良いですが笑)弾いていくと、だんだんとメロディが聴こえてきます。そうなったら、もうこの曲は完成に近づいてきています!
4.三連符は手をまわすようなイメージで弾く
三連符は、一つの三連符につき一つの円を描くようなイメージで、手をなめらかにまわしながら弾くと弾きやすく、上手くいくことが多いです。
(動画0:26〜)ここからは、右手の「ファファミファソミドレ」というのが、メロディになってきます。
三連符の一拍目が抜けていますね。この曲の前半では、この三連符の一拍目も右手で弾いていましたが、後半からはそれを左手で弾くと思うと良いでしょう。
左手も、右手のメインのメロディとは違うものの、うまく調和するような、別のメロディラインを奏でます。どちらも大切に、聴き分けて意識していけると良いですね。
一生懸命練習してると、ついつい縦のノリになりがちですが、この曲はしっかり小川の流れが止まらないように、横の流れを意識して、メロディが流れていくようにしないといけません。
弾けると?
この曲のポイントとなっている音形は、有名な曲にも多く使われています。たとえば、リストの「愛の夢」やラフマニノフの「鐘」にも似たような形が出てきます。
また、ブラームスのラプソディ、シューマンの子供の情景、グリーグの叙情小曲集など、ピアノ弾きにはおなじみの名曲の中にもこのスキルが必須の曲が結構あります。これらの曲を弾く時に、なんだかどこかで見た音形だなーなんて思い出したりしますよ!
「清らかな流れ(小川)」をマスターすることで、それらの曲を弾くレベルに少し近づける!というのもあります。逆にそれらの曲に行き詰まった上級者が、初心に戻って練習するにもぴったりなのが「清らかな流れ(小川)」ではないでしょうか。
まとめ
ブルグミュラーの25の練習曲の中でもとってもきれいな音楽のひとつである、「清らかな流れ(小川)」。同じ音形の繰り返しでできている曲なので、難しそうに見えますが、一度弾けるようになるとあとは同じことの繰り返しです。ただ、単に音を正しく弾けるようになるだけでなく、音楽的に美しく弾くには結構練習が必要かもしれません。
この曲に出て来る右手の音形を正しく、そしてきれいに弾けるようになるコツには大きく分けて4つのポイントがあります。
1.三連符の一つ目の音は四分音符なので一拍分しっかりのばす
2.三連符の一つ目の音は他の音よりも大きめに弾く
3.三連符の一つ目の音同士がメロディとしてつながっていくようにする
4.三連符は手をまわすようなイメージで弾く
この4つのポイントがとっても大事!ぜひ意識して練習してみてくださいね。
この音形は、リストやラフマニノフ、バッハといった人気作曲家の有名な曲にも多く使われていて、中級者以上のピアノ弾きには必須のスキルといっても良いと思います。
ぜひマスターして、弾ける曲の幅を広げていきましょう!
「清らかな流れ」の無料楽譜
- IMSLP(楽譜リンク)
本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1903年にペータース社から出版されたパブリックドメインの楽譜です。「25の練習曲」全曲が収録されており、第7番「清らかな流れ」は10ページからになります。
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