一日の終わり、ごはんを食べたりお酒を飲んだり、誰かとお話ししたり。夜はまったりとくつろげる貴重なひと時です。
でも楽しく幸せな夜もあれば、嫌なことがあって一刻も早く一日を終わらせたいという苦しい夜もありますよね。
この記事では、どんな気持ちの夜にでもぴったりなピアノの名曲を難易度順にご紹介してまいります!
こんにちは! ピアノ弾きのもぐらです。
私はわりと夜行性なので、夜は大好きです。夕方になったら早めに畑のお野菜をかじって夕食を済まし、巣穴に戻ります。そして土の中でピアノを弾き、音楽鑑賞をします。そして眠りにつくときには、夢の中にピアノとお野菜とミミズが出てくることを願い、一日は終わっていくのです。
まあそんな私の個人的な生活習慣はともかく、本題に入っていきますね。
もぐらの完全なる独断で選ぶ! 夜に弾きたいピアノの名曲10選
この記事では以下の10曲についてお話していきます。① 25の練習曲より『天使の合唱』(ブルグミュラー)
② グノシェンヌ第1番(サティ)
③ 夢(ドビュッシー)
④ ワルツ第7番op.64-2(ショパン)
⑤ ノクターン第20番 嬰ハ短調遺作(ショパン)
⑥ 無言歌集より『甘い思い出』(メンデルスゾーン)
⑦ 雨だれのプレリュード(ショパン)
⑧ 即興曲第3番op.90-3(シューベルト)
⑨ 主よ、人の望みの喜びを(バッハ)《ピアノ編曲 マイラ・ヘス》
⑩ 孤独の中の神の祝福(リスト)
※ 数字が低いほど難易度は低く、数字が高いほど難易度は高いという意味となっております。
では、さっそく各曲について、難易度の低い順にお話していきますね!
もぐらが語る! 各曲の難易度と特徴
① 25の練習曲より『天使の合唱』(ブルグミュラー)この曲はブルグミュラーの有名な練習曲集の21番目にあたる曲です。『天使の合唱』という名前の通り、どこか宗教的で神秘的な雰囲気です。全体的にまるでハープを思わせるようなフレーズが散りばめられており、とても美しい響きになるように構成されているのが特徴です。
難易度としては、バイエルの下巻の後半あたりを練習されている方であれば、充分弾けるくらいです。
そしてこの曲をより美しく表現するポイントはペダルの踏み方です。全体的にそれほど難易度は高くないため、まだペダルに慣れていないという方々にとってはとても良い練習になるかと思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。
② グノシェンヌ第1番(サティ)
サティは『ジムノペディ』で有名な作曲家ですね。しかし『ジムノペディ』も確かに名曲ですが、個人的なおすすめはこの『グノシェンヌ第1番』なのです。
この曲の何とも言えない怪しげな雰囲気は、一度聴いたら耳に残ること間違いなしです。ちなみに私の知り合いには「トラウマになるから!」と恐れる人もいるほどです。知り合い曰く、怖いのだそうです。しかし、それがある意味この曲の魅力でもあると私は思います。
難易度としては、技術的にはそれほど難しくはありません。バイエルの後半くらいを練習中の方も弾けるくらいです。
この曲のポイントはいかに曲の世界にのめり込んで、怪しげな雰囲気を表現できるかというところです。そして表現すればするほどますますこの曲に対していろんな思いが浮かんできます。とにかく自分なりの表現一つで、聴く側に強烈な印象を与えることのできる一曲です。
③ 夢(ドビュッシー)
ドビュッシーの曲は、お洒落な雰囲気の作品がとても多いです。そのため、少なくとも一曲はレパートリーにしたい、と憧れておられる方もたくさんおられるかと思います。
この『夢』という曲は『夢想』とも呼ばれています。この曲はドビュッシー先生が作曲家としてはまだ駆け出しの頃に作曲されたもので、ドビュッシー先生ご自身はこの作品には残念ながら満足していなかったそうです。
ドビュッシー先生曰くこの曲は「駄作」であり、本当のところはこの曲を出版して欲しくなかったようなのです。うーむ、ドビュッシー先生には自分に厳しい部分もあったのでしょうか。
とは言え、私はこの曲大好きですよ!
何とも言えない哀愁漂う旋律と独特な和音の響きがとても素敵です。私個人としては、珠玉の一曲だと思います。
難易度ですが、この曲は教則本を基準に考えるよりも、他の作品を基準に考えたほうがわかりやすいかと思います。
具体的には、同じくドビュッシーの有名な『アラベスク第1番』を基準にしてみますと、『アラベスク第1番』のほうが難易度的には高いと言えます。ですので『アラベスク第1番』をマスター済みの方はこの『夢』についてもわりとすんなりマスターできてしまうかと思います。
また、ドビュッシーの作品に初めてチャレンジするという方にはもってこいの曲だと言えます。
④ ワルツ第7番op.64-2(ショパン)
ワルツ第7番は、物憂げな雰囲気の中に独特な魅力を持ち合わせた名曲の一つです。
その一方で、しばしばこのワルツ第7番というのはワルツとしてはあまり実用性がない曲だとも言われています。ここで言う実用性とは「ワルツを踊るのに適している」という意味です。
実際この曲を聴いてみるとおわかりになるかと思いますが、確かにこの曲でワルツを踊ろうという気にはなかなかなれないという雰囲気です。ですがその代わり、この曲はとても叙情的ですので、ワルツという形式だけにとらわれずいろいろな解釈で表現できる曲です。
難易度としては、ツェルニー30番を練習中の方なら、ちょっと頑張ればマスターできるくらいです。けっこう繰り返しの多い曲構成ですので、わりととっつきやすい曲かと思います。
このワルツ第7番については、以前に弾き方のコツという内容で私が執筆させて頂いた記事もあります。もしよろしければ下記の参考記事もご参照してみてくださいね。
【参考記事】
これで挫折知らず!ショパン『ワルツ第7番op64-2』弾き方のコツと難易度
⑤ ノクターン第20番 嬰ハ短調遺作(ショパン)
この曲は『戦場のピアニスト』という映画でも取り上げられた曲で、聴いたことのある方もたくさんおられるかと思います。
ショパンのノクターンは第2番が最も有名ではありますが「ノクターンと言えばこの嬰ハ短調遺作は欠かせない!」というのが私の個人的な考えなのです。というのは、この曲の何とも言えないあの切なげで情緒豊かな旋律は、弾く側も聴く側も両方酔わせるほどの魅力があるからです。
ちなみに、ノクターンとは漢字で表すと『夜想曲』です。「夜」という字があるだけに、やはり夜に弾きたい曲という部分では外せない名曲です。
難易度としては、ツェルニー30番を練習中の方であれば充分弾けるくらいかと思います。しかし、この曲では所々技巧的な要素もありますので、マスターするにはそれなりの練習が必要になってきます。
⑥ 無言歌集より『甘い思い出』(メンデルスゾーン)
『甘い思い出』はメンデルスゾーンの無言歌集に出てくる最初の曲です。緩やかなテンポで甘く優しい旋律が印象的な曲です。
ちなみに私の最近の甘い思い出は、畑のイチゴをお腹いっぱいかじったことです。甘くてとても美味しかったです。
難易度はツェルニー30番を練習中の方であれば弾けるくらいです。この曲のポイントは、両手で奏でられる分散和音の中で流れる主旋律を、なるべくきれいに際立たせることです。ペダルの踏み方にも気をつけましょう。ちなみにメンデルスゾーンの無言歌集にはこの曲のように、分散和音が用いられている曲がわりと多いです。
無言歌集には他にもいろいろ表情豊かな曲がたくさんありますので、とても弾いていて楽しく練習しやすい曲集だと言えます。
⑦ 雨だれのプレリュード(ショパン)
『雨だれのプレリュード』は名曲中の名曲です。この曲に憧れを持っておられる方も多いかと思います。美しい旋律の中にどこか暗い影を思わせる印象で、始終その中では雨音を思わせるような連続音が、途切れることなく鳴り続けるという特徴のある一曲です。
題名にもある『プレリュード』とは漢字で表すと『前奏曲』です。
私の勝手なイメージですがお食事に例えてみると、この曲は題名では前菜だと語ってはいますが、メインディッシュとしても充分堪能できるくらいの存在感があると言えます。
難易度としては、基本的にはだいたいツェルニー30番を修了した方であれば充分弾けると思います。ですが、この曲を通じて何かを表現できるようになるまでの道のりは長いですので、とにかく何度も弾き込むことがポイントです。
ちなみにこの曲の弾き方については、以前私が執筆させて頂いた別の記事にてがっつり書いてありますので、もしよろしければ下記の参考記事もご参照してみてくださいね。
【参考記事】
6つのコツで雨音を弾く!ショパン『雨だれの前奏曲(プレリュード)』の難易度・弾き方とは?
⑧ 即興曲第3番op.90-3(シューベルト)
この曲はまるで子守歌のような雰囲気だと私は感じております。静かな流れの中に情緒溢れる旋律が浮き上がってくるという特徴があります。
この曲には情熱や喜び、そして悲しみなどの様々な感情が随所に盛り込まれているように思います。しかしこの曲のすごいところは、その感情たちをあくまで静かな流れの中で適切に感じさせるところであると私は思っています。
難易度としては、ツェルニー40番を練習中の方は充分弾けるほどです。
この曲の重要なところは右手の使い方です。特に基礎練習の際には、右手の技術を高めることができるような練習が必要になってきます。
⑨ 主よ、人の望みの喜びを(バッハ:ピアノ編曲 マイラ・ヘス)
バッハの『主よ、人の望みの喜びを』は、おそらく誰でも一度は耳にしたことがあるほどの、世界的に有名な曲です。よく教会のパイプオルガンで演奏されているイメージがありますね。
この曲は、バッハの『教会カンタータ第147番』の中の一曲としておさめられています。
教会カンタータというのはすごくシンプルにご説明しますと、プロテスタント教会の礼拝の際、福音書の朗読や説教(ここでの「説教」とは「宗教の教えを説く」という意味です。)をする中で演奏される音楽のことです。つまり教会カンタータとは、礼拝には欠かせないものなのです。
そんな教会カンタータの中の一曲、『主よ、人の望みの喜びを』をピアノに編曲してくれた人物というのが、イギリスのピアニストのマイラ・ヘス(1890年~1965年)でした。この曲がピアノの曲に編曲されたというのは、バッハ好きのもぐらとしては大変ありがたいことだと思っています。
難易度としては、ツェルニーを基準にするよりも、バッハの曲集『インベンションとシンフォニア』を基準に考えるほうがわかりやすいかと思います。『インベンションとシンフォニア』を全部ひと通り修了してあれば充分弾けるかと思います。
ただ、バッハの作品というのはこの曲に限らずとにかく楽譜が難解ですので、弾く技術に加え、楽譜を分析する力というのもある程度必要になってきます。そういうわけですので、この曲については簡単に弾ける曲だとは正直言い切れない部分もあります。
⑩ 孤独の中の神の祝福(リスト)
リストと言えば『ラ・カンパネラ』や『ハンガリー狂詩曲』などが有名ですね。
これからお話するこの『孤独の中の神の祝福』という曲について、もしかすると「全然聴いたことがない」という方々もおられるかもしれません。
この曲がおさめられている『詩的で宗教的な調べ』という曲集は、10曲の作品で構成されていて、その第3曲がこの『孤独の中の神の祝福』です。
この曲は、宗教的で厳かな雰囲気の中に何とも言えない安らぎがあり、聴いていてとても心地の良い曲です。それこそ夜にこの曲を聴くと、私の場合はあまりにも心が安らぎすぎて、いつの間にか眠り込んでしまうほどです。
ですが、確かに聴く側は眠くなるほどの安らぎを感じますが、弾く側は正直必死です。お世辞にもこの曲の難易度については簡単とは全く言えません。
もしもこの曲をマスターしたいと思ったときは、まずはリストの曲の中でもわりと難易度の低めな曲をいくつかマスターしてからこの曲にチャレンジすることをおすすめします。
全体的なまとめ
さて、ここまで夜に弾きたい様々なピアノの名曲を難易度順にご紹介してきましたが、いかがでしたか?
ピアノだけでなく音楽全般に言えることですが、音楽とはやはり心に癒しの効果をもたらしてくれます。特に夜は一日の疲れを癒す大事な時間であり、そして音楽はそんな癒しの時間を一層豊かにしてくれます。
音楽に触れて心身を癒しぐっすりと眠り、そしてまた素敵な明日を迎えましょう。
by ピアノ弾きのもぐら