ピアノの鍵盤には白い鍵盤と黒い鍵盤がありますよね。

初歩の教材ではまず、白鍵ばかり弾く曲が多く出て来ます。そしてその次に臨時記号として#や♭が出て来て、少しずつ黒鍵を弾く箇所が増えていきます。

特に小さなお子さんで初めて黒鍵を弾く時は白鍵よりも上に鍵盤があって弾きにくいと感じたり、白鍵よりも幅の細い黒鍵は指がすべって落ちてしまって弾きにくいというように感じたりするようです。

確かに黒鍵は幅が白鍵に比べて細いので、白鍵の幅の感覚で弾いてしまうとつるっとすべることがありますね!

でももし、黒鍵が白鍵と同じ幅あったらとっても弾きにくいと思いますよ!!

白鍵と同じ幅の黒鍵にしてしまったら、全音の間隔が今よりも広がってしまうということなので現在の指の広げ具合では弾けなくなるということです。指を広げて弾かなくてはいけない和音やオクターブを弾くのが今以上に大変になったら、ちょっときついですよね…。

黒鍵は白鍵よりも少し高さがありますが、もしこれが白鍵と同じフラットな状態だったとしたら、それはそれで弾きにくさが出ると思います。この鍵盤の配置や幅は本当によく考えられていて、素晴らしいなと思います!

今回は鍵盤についてや手元を見ないで弾くコツについて書いて行こうと思います♪

■ 目次

ドはどこ?


いきなりですが、鍵盤を見ただけでドの位置がわかりますか?
多分真ん中のドの位置はピアノを弾いたことがない人でもわかると思います。

中央にYAMAHAなどのピアノメーカーの名前が書いてある位置の白鍵を弾けば真ん中のドだよ!何を言っているんだ、当たり前じゃん!ときっと思われているでしょう。

それではそれよりも1つ上のドを数えずに弾いて下さいと言われたらどうでしょうか?それができたら次の上のドを弾いて下さい。

もっとできる人は全てのドを低い方からできるだけ速くポンポンポンとテンポよく弾いて下さいと言われたらどうですか?

このように難易度を上げて行くと、だんだんと脱落していく人が出て来ると思います。考えたら誰にでもできる簡単なことですが、ポンポンとテンポ良く素早く弾くことは鍵盤に慣れていないと意外と難しいのです。

どうしてテンポ良く弾けないかというと、ドの位置を感覚的に掴んでいないからです。

真ん中のドはちょうど中間に位置していて、YAMAHAなどのメーカー名が入っているので助けがあるため、非常にわかりやすいのですが、他のドはそのようなヒントがなくなってしまうため、ちゃんとドを理解していないとすぐに押さえることはできないのです。

ドを理解するというのはどういう意味かというと、ドが鍵盤上でどのような位置にあるのかを何となくではなく、しっかりと把握するということです。

ドは白鍵を弾くことになるのですが、白鍵だけに注目していてはいけないのです。ポイントは黒鍵です!

白鍵は端から端までずらーっと並んでいますが、黒鍵は2つと3つのセットに分かれて並んでいます。この2つと3つというのがポイントです!

2つの黒鍵の部分の下側の白鍵を弾くとドの位置です。

小さな子供さんの場合、真ん中のドさえもまだわからないことがあります。そのときはじゃんけんをするときのようにチョキをまずはさせて、2つの黒鍵の所にチョキをしたまま指を置かせます。そしてそこから親指を出させて弾かせ、ここがドだよ!と教えます。

鍵盤には白い鍵盤と黒い鍵盤があって、黒い鍵盤には2つのところと3つのところがあるんだよ!という説明からまず始めて、それからチョキをさせてここがドだよと私は教えています。

ドは1つだけじゃなくて、いろんな高さのドがあるから探してみようというように、端から端までドを探させ、何個ドを見つけられるかというのを始めたてホヤホヤの子供さんにやっています。

ドはココよ!という風にドの位置だけを直接的に教えるのではなく、黒鍵と白鍵があって…というように視覚的に捉えさせたり、ドレミファ~というように数えるのではなく、感覚的に位置を理解させておいたりすることは意外と大切なことなのかなぁと思います。

黒鍵がもしなかったら、ドの位置を把握するのはとても難しいと思います。ピアノでそれを検証するのは困難ですが、マリンバで黒鍵なしでも演奏できるのかを検証されている、とてもおもしろい動画がありましたので是非見て下さい!!


難しそう…。黒鍵絶対いる!!と思いました(笑)
でもさすがプロ!練習を重ねるとやはり感覚を掴んで来て、見事演奏できましたね♪

手を見ないでなぜ弾けるのか?


「何で手元を見ないで弾けるの?」
「楽譜と鍵盤を交互に見ながら弾くのが難しい」
「鍵盤を見ていて、いざ楽譜に目線をやると今どこを弾いているのかわからない」

このようなことを生徒さんからよく言われます。

私がお手本で弾いている時に私の目線をじっと見て、「何で楽譜しか見てないのに弾けるの?」と不思議そうに聞いてきた生徒さんがいました。

その生徒さんは手元を見ないと間違えてしまうから、楽譜はあまり見ないで手元ばかり見てしまうんだと言いました。

手元を見ることは全然悪いことではありませんが、私があまりにも手元を見ないから驚いたんだそうです。

この目線の違いは本当に個人差があり、小さいお子さんでも手元をほぼ見ない子もいます。逆に中級レベルに達している中学生くらいの子供さんでも手元を見ないと弾けなかったり、楽譜と手元を交互に見るのが苦手だったりする子も中にはいます。

何が違うのでしょう??

その違いは脳から手指へのスムーズな伝達と、鍵盤を感覚的に捉えられているかどうかの違いなのではないかと私は思います。

ピアノだけの話ではなく、その人が普段物事をどのように捉えているのかによっても違うのかもしれません。

しかし、これは生まれ持ったものだけで決まるいう訳ではないように思います。すぐにできる、時間がかかるという違いはあるかもしれませんが、いろんな曲を弾いていったり、経験値を積んだりするとできてくるものだと思います。

手元ばかりを見て弾くという人の場合は、目線を上げて楽譜をなかなか見ることができないので楽譜の覚えが速いという良い点があるので、悪い点ばかりではないんですよ!

他にも手元を見ていて、いざ楽譜に目線を戻したら自分がどこを弾いているのかわからなくて「今どこ?」と私に聞いてくる生徒さんがいました。

初めて言われたときは驚きました!えぇ!?さっきまで楽譜見てたじゃん!!!

目線を上げたら場所が違っていて見失った…とのことでした(笑)音楽はどんどん進んでいくのに目線は変わらない位置で止まっていたようなんです。

楽譜から目を離す時は、音楽が進んでいることを想定して進んだ場所に目線を戻さなくてはいけないですよね。

当たり前のことなのですが、改めて考えてみると色んなことを同時進行させていて意外と高度なことをしているのかもと思いました。

私は特に初見の場合、目線を楽譜から離さず、手元はほぼ見ません。なぜかというと、どんな展開が次に待っているかわからないので、なるべく目線を離さずに先に先にと楽譜を見ていたいからです。

しかし、譜読みが終わっている曲というのは構成が頭の中に入っているので、暗譜までできていなくてもどこに何が書かれていたかというのをだいたい覚えているため、目線を離してもすぐに自分の弾いている場所に視線を戻すことができます。

構成が頭に入っているので伴奏の場合に、ここから弾いてという指示にもすぐに対応できます。何ページ目の何小節目と言われなくても、あの辺りだなというのが何となく理解できるのです。(同じメロディーが出て来るとどっちのことだろうと思うことはありますが、迷子になることはほぼないですね。)

構成をしっかり覚えるということはとても大切なことです!

ブライダルの仕事(ピアノを教える他にブライダル奏者としても活動しています)は楽譜にかじりついて弾くということができません。しっかり構成を頭に入れて、動きに合わせてサイズを計算しつつ、周りをよく観察し、雰囲気を感じ取りながら演奏することが求められます。

普段の演奏とはまた違ったことが求められる仕事です。いろんなことを頭で考えることは考えますが、どちらかというと直感的で感覚的なものを大切に私はしています。

こうしよう!というようにカチッと決めて臨むとそこからはみ出た時に何となく違和感が自分の中で生まれてしまい、上手く対応できないなと感じたからです。この仕事を始めてから、より感覚的なものを大切にするようになりました。

手元を見て弾いていないと不安だからとじっくり手元を見て弾くという方もいらっしゃると思いますが、自分の感覚をもっと信じてみて下さい!

手ばかりに気を取られて目線をぐっと落としていると、だんだん姿勢が悪くなり猫背になって来ませんか?姿勢が悪いと肩や首が凝ってしまっていいことがないですよ!

少し目線を上げて、チラ見くらいの感じで指の感覚に任せて弾いてみて下さい。それでもちゃんと弾けると思いますよ♪

少し目線を上げられると楽譜を見ながら弾く事が出来るようになり、それに慣れたら初見ができるようになってくると思います。

初見ができるようになるといろんな曲が弾けるようになり、だんだん経験値が増えて行くと、パターンが徐々に見えてくるようになってくると思います。

初見の曲でも次のメロディーラインや和音の進行など展開がどのようになるかが予想できるようになっていきます。そうなると面白いですよ♪

「ほらね、やっぱり!」という時もあれば、「あぁ、そっちパターンね!」ということもあります、中には「ん?どういうこと?そんな流れ??」という思わぬ展開の場合もあります。

自分が予想していた和音や調になっていないとそこが違和感たっぷりという感じになりますが、また1つ勉強になって、経験値が増えたなと思えます。最近の曲は「ん?どういうこと?」という展開が多くあって面白いなぁ~と感じます。

鍵盤を感覚的に捉えて手元を見ないで弾くということはこのような利点があります!!いろんな事を同時進行で行っていかなくてはいけないので、なかなか難しいことだとは思いますが、地道に努力していけば身につけることができるスキルですので、楽しみながら頑張りましょう♪

応援しています!!

番外編~生徒さんからの質問~


先ほど以外にもこんな質問をよく受けます。

①指使いがわからない。楽譜に書いてないのにどうしてすぐに決めて弾けるの?
②メロディーは耳コピで弾けるけど、和音をつけることができない。どうやったらつけられるようになるの?

①②とも共通しているのですが、これまでの経験値によるものが非常に大きいように思います。

①に関しては弾きにくく、難しい部分は指番号をしっかり考えて書き込みますが、その他はそれ程考えなくても勝手に手が行っているという感じです。②の和音付けに関してはメロディーに合うと思うものを適当にチョイスするという感じです。

どちらとも感覚でしていることが多いです。指づかいも和音のつけ方も1つだけが正解で、後は全て間違っているというものではありません。

同じ曲で違う楽譜を見比べてみるとよくわかると思いますが、指づかいにはかなり違いが出ます。和音のつけ方も様々で、いろんなつけ方があるのでいろんな編曲を見比べてみると良い勉強になると思います。

①指使い

基本的に、無理がなく、前後も自然な形の指運びになっているかということに気をつけて選んでいます。指使いの決め方は色々で、その場所に相応しい音を出すにはどの指が良いのかということで選ぶ場合もありますし、楽譜に指示されていることをするためにはこの指でないと弾けないなという選択の余地のないものもあります。

基本的には楽譜通りにちゃんと弾けるのであれば、どの指使いでも良いのだろうと私は思いますが、指示されていることを守れない指使いは良くないと思います。

例えばスラーがついているのに上手く繋げられない指使いを選んでいるのであれば、自分がどんなに弾きやすい指使いだったとしても、それはそこに相応しくない指使いなので、変更すべきです。

②和音付け

ある程度、和音について知っておくことは大切ですが、ガチガチに和音や理論について学んでから和音付けしようとすると、決まりきった和音進行しか思い浮かばなくなるかもしれません。

それよりも色んな曲を聴いて、どんな和音がつけられているのか注意深く聴いたり、楽譜を見たりする方が勉強になると思います。

ただ聞くのではなく、何度も何度も注意深く聴くと以前は分からなかったことが、だんだん分かるようになってくると思います!

このように経験値を積んでいくと、それが自分の中でだんだん消化されて、いつの間にか自分のものになっていくのだと思います。

始めは主要三和音のⅠⅣⅤからしか選べなかった和音がだんだんとバリエーションが増えていったり、伴奏のリズム形態を変えて弾けるようになったりと、レベルアップしていけると思います。

注意深く聴く、または観察することが、とても大切だと思います!!

まとめ

◆感覚的に捉えるというのは、何となくということではなく、
ちゃんと頭で理解した上で、それを考えなくてもできるようにするということ



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