「愛のうたごえ」はディズニー映画の「バンビ」の中で流れている歌です。
今回は「愛のうたごえ」を発表会や演奏会向けに上級アレンジされた「王様のピアノ」シリーズに収録されているアレンジの練習ポイントと難易度について説明します。

■ 目次

「王様のピアノ」シリーズとは?

クラシックだけでなく、ジャズ、ディズニー、ジブリ、その他映画の音楽などを上級アレンジした曲集です。パッと見てどこがメロディーなんだろうと思ってしまうほど全体的に音が多く、装飾音や転調も多いです。2018年11月現在29もの楽譜が出版されており、連弾や初級・中級者向けのアレンジも出版されています。

楽譜はこちらから、「愛のうたごえ」はラブ・バラードに入っています。
前はウェディングになっていたのですが、改訂され現在はラブ・バラードになっています。



「愛のうたごえ」ってどんな曲?難易度は?

こちらが演奏動画です。華やかなアレンジなので発表会で注目を浴びたい方にはオススメです。途中まで楽譜が出ていますので、参考にどうぞ。

ピアノの教本でいうと、ツェルニー40番は修了した方がよい思います。右手のメロディーと装飾音とのバランスを弾き分ける技術が必要なのと、左手のアルペジオや3連符の練習に時間をかける必要があることを踏まえて考えました。アルペジオの練習の延長として取り入れてもいいと思います。

練習ポイントについて

今回は1フレーズごとに区切って説明します。

1フレーズ目(1~8小節目)
(動画0:04~0:28)
左手がメロディーになりますので、まずは左手から練習してみましょう。

右手はきれいな音が鳴っているなという感じで優しく弾きましょう。

2フレーズ目(9~16小節目)
(動画0:28~0:51)
メロディーが右手に来るのですが、メロディーと装飾音の2役を担うため、弾き分けが必要です。ですが、最初はどの音もしっかり弾けるように練習しましょう。しっかり弾けるようになったらメロディー以外の音で力を徐々に抜いていきましょう。

左手の伴奏はそれほど目立たせる必要はないですが、歌うように弾けるといいですね。(愛のうたごえですから)

3フレーズ目(17~24小節目)
(動画0:51~1:16)
イ長調からヘ長調に移調します。

左手の幅の広いアルペジオが特徴的です。このようなアルペジオが出てくると手だけで弾こうとしてしまう方が多いのですが、肩~肘~手首~手先と腕全体を使って手を移動するように動かすと変な力が入らずスムーズに弾けます。

21小節目で伴奏が左手と右手に分かれるのですが、聴いたときに「今左手で弾いた!」「今は右手で弾いてる!」って分からないようによく聴いて練習しましょう。

4フレーズ目(25~33小節目)
(動画1:16~1:43)
25小節目の最初の音をジャーン!と弾いてしまわないように注意しましょう。気が緩むと強く弾いてしまうところです。

29~30小節目は3フレーズ目の21~22小節目と同じなので、3フレーズ目の練習の時に弾けるようになっていればそれほど苦労することは無いでしょう。

テンポが87から74へと遅くなっているので弾きやすい部分だと思います。

5フレーズ目(34~42小節目)
(動画1:43~2:11)
ヘ長調からイ長調に転調します。

左手が3連符の伴奏になります。2フレーズ目にも書いたように、ここでも左手の伴奏は腕全体で動かすように弾くといいでしょう。

さて両手で弾くときですが、人によってはここが一番苦労するかもしれません。
なぜなら左手は3連符、右手は8分音符なので、初めての方にはこのリズムの組み合わせに戸惑うからです。

ディズニー映画「バンビ」の「愛のうたごえ」ピアノ楽譜(王様のピアノシリーズ「ラブ・バラード」より)
左手の3連符のうち2つ目を鳴らした後に、右手の8分音符の2つ目の音を弾きます。と文章で書くとよりややこしくなってしまうのですが、34小節目の2拍目でいうと左手のラの音を弾いた後に右手のシの音を弾きます。

練習方法としてはこの2拍目のみをひたすら弾いて慣れる必要があります。(左手はド#・ラ・ミ、右手はド#・シ)

6フレーズ目(43~52小節目)
(動画2:12~2:45)
イ長調からヘ長調に転調します。

左手にメロディーが戻り、右手の伴奏も1フレーズと同じ音型です。51小節目の「ラドファラドファラ」のアルペジオでは1つ1つの音の粒をそろえて(途中で音が消えたり、ある音だけ変に目だったりせず)きれいに弾けるように練習しましょう。

通して練習するときに気を付けるポイント
それぞれのフレーズに移る前に「次はどんな感じだったかな?」と自分なりのイメージをもって準備しましょう。

例えば私の場合、「3フレーズ目で花畑の中一気に風が吹く」イメージがあるので、2フレーズ目の終わりで風を吹く準備をします。聴いている側だと「ちょっとテンポを遅くしたな」という感じなのですが、それぞれのフレーズのイメージをもつと自然な流れの音楽になります。

練習ポイントのまとめ

①フレーズごとに練習すると飽きずに取り組める。
②メロディーと装飾音のバランスに常に気をつけよう。
③アルペジオの1つ1つの音の粒をそろえよう。


ちょっと背伸びして難しいアレンジに挑戦したい方、ディズニー音楽が好きな方、是非練習してみてください♪



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