シューベルト
シューベルトのピアノ曲である「即興曲」はOp.90とOp.142それぞれ4曲、計8曲あります。
その中でもこのOp.90-2は8曲の中で最も弾きやすいことから一番よく弾かれていて、ピアノを習っている人は発表会やコンクールでよく耳にする曲です。

私も小学校高学年くらいで弾いた覚えがあるのですが、一度聴いたら忘れられないような、とても印象に残る不思議な曲だなぁと思います。

これから挑戦してみたいという人のために、難易度と弾き方について解説します!

難易度と曲の特徴は?


難易度はチェルニー30番程度の、中級レベルの曲集によく載っています。

テンポが速く5分ほどあってわりと長いので難しそうに聞こえますが、繰り返しの部分も多いので暗譜するのもそんなに苦ではないでしょう。

ショパンの「子犬のワルツ」と同じくらいのレベルという人もいますが、子犬のワルツは左手が跳躍するので私はこちらの即興曲の方が弾きやすいと思います。

この曲を動画検索すると、小学校2、3年生の子も上手に弾いていたりして驚いたりもします。
右手も左手もあまり跳躍しないので、小さな手でも弾けてしまうんですね。

ちなみに「即興曲」というタイトルは本当に即興で弾いた曲という意味ではなく、形式にとらわれない自由な構成で、まるで即興で演奏したような曲という意味で付けられたそうです。

シューベルトはドイツ歌曲を数多く残しているため「歌曲の王」とも呼ばれています。
この曲も右手のメロディーがまるでオペラ歌手が歌っているかのように、なめらかで優美な印象ですね。

気持ちよく歌っている人を想像して練習してみましょう!

右手を転ばずうまく弾くには?

シューベルト「即興曲第2番Op.90-2」ピアノ楽譜1 (動画冒頭~)

初めから最後まで右手が絶え間なく動くので、右手の持久力と柔軟性が必要です。
力を入れっぱなしではすぐに指が転んでしまうので、手首は柔らかく、指の瞬発力を意識しましょう。

ハノンなど指の訓練と並行して練習すると、上達が早いと思います。
ハノンは苦手な人が多く私も練習嫌いだったので気持ちは分かりますが、マラソン前の準備運動だと思って頑張りましょう!

転ばずに弾くことと暗譜のコツは、流れで覚えてしまいがちな曲ですが、一音一音丁寧にゆっくりから練習することです。
目標のテンポの半分の速さで弾いた時に、しっかり手が覚えていれば大丈夫です!

ゆっくり弾いているときも強弱などは意識して、自然と体に覚えさせましょう。

表現を付けて弾くには?


テンポが速く弾けるようになると、表現がおろそかになりがちです。
「ただの速い曲」とならないように、強弱表現もしっかり付けて演奏しましょう!

この曲は基本的にメロディーが上がっていく時はクレッシェンド、下がっていく時はデクレッシェンドになっていて、アクセントなども楽譜に細かく指示されています。
まずは忠実に譜読みしてみて下さいね。

そして初めに「オペラ歌手が歌っているような」と言いましたが、例えば長調の部分は女性が歌っていて、短調の部分は男性が歌っていると想像して演奏してみましょう。

シューベルト「即興曲第2番Op.90-2」ピアノ楽譜2 (動画1:23~)

このロ短調になる部分、かっこいいですよね。
登場人物が変わると意識すると、最初のイメージとガラっと変えることができますよ。

そしてまた長調に戻りますが、コーダで再び短調になり男性が出てきますね。
ラストなので、女性と男性が一緒に歌っているように盛り上げていきましょう。

シューベルト「即興曲第2番Op.90-2」ピアノ楽譜3 (動画4:12~)

コーダに入るとそろそろ指が疲れてくる頃ですが、最後の力を振り絞って力強く弾き切りましょう!

中間部分では調号が変わり、♯2つのロ短調になっていましたが、最後は調号が変わらず臨時記号が多くなります。
そして最終的に♭6つの変ホ短調で終わっていますね。

臨時記号だらけで楽譜がややこしくなりますが、ロ短調と変ホ短調のスケールを練習しておくとスムーズに弾けるようになります。

スケールもハノンと同様、準備運動だと思って練習してみて下さいね。
ちなみにスケールは、ハノンの楽譜の最後の方に載っていることが多いです。

ハノンの楽譜はこちら。



シューベルトの「即興曲Op.90」が収録された楽譜はこちら。



まとめ

・譜読みはしやすい曲だけど、持久力と表現力が必要!
・ハノンやスケールと並行して練習すると、上達が早い!
・ストーリーや登場人物を思い浮かべて、表現力を付けよう!

この3つのポイントを押さえて練習してみて下さいね。
弾けるようになるととてもテンションが上がる楽しい曲なので、私もたまに弾きたくなります。

これから舞台で弾く人は、ぜひ楽しんで演奏してくださいね!



「即興曲第2番Op.90-2」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1888年にブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版されたパブリックドメインの楽譜です。「即興曲Op.90」全4曲が収録されており、第2番は7ページ目からになります。
  • Mutopia Project(楽譜リンク
    最近整形されたきれいなパブリックドメインの楽譜です。「第2番Op.90-2」1曲が収録されています。


 ピアノ曲の記事一覧