ピアノ練習者がみんなやっている「ツェルニー」の練習曲。30番練習曲も中盤にさしかかる「12番」について、ピアノ歴20年近くの筆者が、自分なりのアドバイスを書いていきたいと思います。ぜひ参考にしてみてくださいね!
ツェルニーとは
さて、ツェルニー30番も中盤に入ってきていますが、まずそもそもツェルニー30番とはどんな曲集なのか、今更聞けない!っていう人も多いのではないでしょうか。この曲集はみなさんご存知の通り、ピアノを弾くために必要な技術を練習するための曲集です。しかし、機械的に指の訓練をするだけではなくて、音楽的にも良い表現をしていってほしいというツェルニーの思いもこめられています。その証拠にどの曲も音楽的にとっても素敵なものが多いです。
なので、あーこんなふうに弾いたらかっこいいだろうなーというのが初心者の人でも想像はつくんですが、思った通りには指が動かない!というジレンマを経験するかもしれませんね。
また、この曲集はだいたい、バイエルを終わったあたりで挑戦することが多いです。日本ではピアノを習う人にとっては超メジャーな練習曲がこのツェルニー30番なんですね!
ツェルニー30番練習曲ををひととおり終えると、40番練習曲という曲集に進むことが多いですね!小学生から大人まで、多くの人がツェルニーの練習曲を日々練習しています。同志はたくさんいる!と思うと、練習がつらくなっても励みになるのではないでしょうか。
ちなみに、50番も60番もあります。これらは、曲数が多くなるだけでなく、だんだんに難易度があがっていきます。そして40番はもうすでに、一曲の立派なピアノ曲で、(もちろん30番でもそうですが)発表会で弾きたいと思えるくらい、素敵なものが多いですよ!
余談ですがツェルニーは生涯でなんと861曲も曲を作っているので、もちろんこれらの練習曲はそのほんの一部ですね。小さい頃にはあの有名なベートーベンにも師事したというから、かなりのガチ勢ですね。(笑)しかしツェルニーさんものすごいバイタリティ…。
この練習曲をやっていると、「なかなか指が思い通りに動いてくれない!」「どうしても転んでしまう」「速く弾けない!」などいろいろな壁にぶち当たると思います。
しかしそれも修行だと思って、ツェルニーさんに負けないくらいのガッツでこれから曲集に挑戦していけるといいですね!(笑)
ツェルニー30番の12番
さて、ツェルニーの練習曲とはどんなものか分かったところで、具体的にツェルニー30番の12番(12曲目)について解説していきたいと思います。
まずこの曲は同じ音を連続で弾く練習になっています。「同じ音を連続?一番簡単じゃないの!?」と思った人もいるかもしれません。私も最初はそうでした…。たしかに、音がとんでいたり、次にどの音を弾くのか分からないという方が一見難しく見えます。
しかし、そういうのは初心者のうちまで。これからは、同じ音を弾くだけだとしても、いかにきれいな音で粒をそろえて弾けるかということが重要になってくるんですね。
「ただ音を追うだけ」「ただその楽譜を弾くだけ」というレベルからの脱却ポイントになります。
難易度は?
ここまで結構おどしてしまったかもしれませんが、ツェルニー30番練習曲の中での12番の難易度は、個人的にはそれほど劇的に難しい!というほどだとは思いません。ただ、指遣いを最初にしっかり見ずに弾いてしまうと、あとから直すのがとても大変になってしまって、逆につらいので、一番最初に譜読みをする時から、必ず正しい指遣いで弾いていくことが重要になってきます。結構めんどくさく感じるかもしれませんが、「急がば回れ」です。
弾き方のコツ
さて、この曲の大きなテーマ「同じ音を続けて弾く」。
ここではまず最初の「ソソソ」を取り上げて説明します。
楽譜を見てください。「ソソソ」と同じ音が並んでいます。同じ音なので、同じ指で弾けばいいんじゃないの?というのがまずだれもが思いがちな疑問ですね。しかし、指遣いを見てもらうと分かるように、「321」となっています。
実はピアノでは基本的には同じ音が素早く連続するときには違う指にかえて弾くんですね。その場合の指遣いはその曲によって違いますが、このような形の時には321という指遣いが多いです。
指遣いは「321・321・321・321…」となっていますね。そのあとも指遣いの記載は省略されていますがずっとその指遣いを続けていきます。
なぜこのように同じ音の中で指をかえるのかというと、まず最初の音を3の指で弾いたとすると、そのあとすぐに3の指で弾くよりも、2の指が準備して弾いた方が素早く確実に弾けるからなんですね。
3の指が弾き終わったときの指の形をとっている間は、次の音への打鍵の準備はできないからです。
そしてここでは、どんな指であっても均一に弾くという練習の意味もあります。弾く指によって音の質や強さが違うときれいじゃなくなってしまうんですね。
さて、ここでは「321321…」のほかにも、「212121…」や「432432…」で練習したり、リズム自体をかえて弾いてみたりということも重要な練習になります。余裕がある人はトライしてみると、いろいろな曲に対応できるようになります。
ここでは「321」という指遣いは変わらないままで、音が3つとも同じではなくなってきます。今までの形をばっちり弾けていた人ほど、ここでついつい「ドドド」と指が動いてしまうかもしれません。頭では分かっているけど…なかなか指はついてこないものです。
意識的に、「ドドラ」「ドドラ」と頭の中で歌いながら弾いて、3つ目の音は下がるように、そのような違う音形であっても指遣い「321」を守れるように気をつけていきましょう。
ちなみに、この321の打鍵のイメージは、「きつつき」だと個人的には思っています。きつつきのようにするどく、すばやく、無駄のない動きで打鍵できるようにイメージしていくといいですね!
(2:08~)曲の最後の3小節で、しっかりと盛り上がりを作って終わりましょう。終わりから3小節前では、一見音形は変わりません。「321」で同じ音の連続なので、曲の出だしと同じですが、「cresc.(クレッシェンド)」とあることに注意ですね。
「レレレレレレミミミソソソ」と徐々に音が上がっていくことに注目してみてください。このように音の高さが上がっていくとだんだん強く盛り上がって弾くことが多いんですね。
次の小節の大きく上り下がりする華麗なスケール(音階)でのラストに向けて、単に「だんだん強く」弾くのではなく、気持ちも一緒に盛り上げて弾けると良いですね!
まとめ
ツェルニー30番練習曲も中盤にさしかかる12曲目では、同じ音の素早い連続をつぶをそろえて弾く練習になります。同じ音なのに指が変わることに最初は違和感を覚える人もいると思いますが、きれいに弾くためのポイントだと気付けると楽しくなってきますよ!ぜひこの難所を乗り越えてくださいね!
「ツェルニー30番練習曲Op.849」の無料楽譜
- IMSLP(楽譜リンク)
本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1901年にウニヴェルザール出版社から出版されたパブリックドメインの楽譜です。30番練習曲全曲が収録されており、第12番は20ページからになります。
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