シベリウス作曲の「樅(もみ)の木」はよくピアノ小品として発表会やアンコール曲など、幅広く演奏されています。
この曲は、1914年、シベリウスが49歳の時に作曲されました。

シベリウスといえば!!
フィンランドの作曲家で、自国をこよなく愛した国民楽派。
1865年に生まれ、1957年に亡くなっているのでなんと91歳まで長生きした数少ない作曲家のひとりなんですね。
音楽家は短命な人が多いイメージですが、、、!

また、交響詩「フィンランディア」では、フィンランドの土地や自然をテーマに曲を仕上げ、人気を博しました。
小学校の教科書にも載っている有名な曲です。




今回紹介するこの曲は「五つの小品(樹木の組曲)Op.75」の中から最後の五つ目の曲です。
「樹木」といわれていることからもすべての副題は木の名前からとっているという面白い曲です。
ちなみに、、

第一曲「ピヒラヤの花咲くとき」
第二曲「さびしい樅の木」
第三曲「ポプラ」
第四曲「白樺の木」
第五曲「樅の木」


全曲、フィンランドらしい叙情的な音楽でシベリウスの音楽性がいっぱいに響き渡る曲集になっています。
そのなかでも、「樅の木」は最も演奏される曲で人気な曲。

四分の三拍子のロ短調で書かれています。

実は、「樅の木」はフィンランドでは枯れないことから「永遠の命」といわれているそうです!
日本だと樅の木といえばクリスマスツリーを思い浮かべる人が多いかもしれませんね。
寒いフィンランドの地域には、そんなクリスマスツリーに使われる樅の木がたくさん植えられているのでしょう。

曲調も、美しい憂いに満ちたメロディーで聴く人を魅了します。
メロディーはLentoから始まりますが、テンポも移り変わり中だるみもしない素敵な一曲です。


難易度は、さほど高くはないので中級者におすすめ。
バイエル終了程度~ブルクミュラーくらいでしょう。

左はオクターブが出てくるので、ある程度手が成長してからのが無難。
 
参考動画はこちら!

それではさっそく曲の解説に参りましょう!!!

メロディー探しから始めよう

冒頭のStretto一小節が終わると、次にメロディーが出てくるLentoに移ります。
ただし、単純に右がメロディー、左が伴奏、という形ではありません。


シベリウス「5つの小品(樹木の組曲)第5曲「樅の木(もみの木)」ロ短調Op.75-5」ピアノ楽譜1
この楽譜を見ると、弾いてみなくてもメロディーを見つけることができるんです!(動画0:16~)
着目すべき点は、アクセントもしくはテヌートがある部分!
強調してほしい箇所をシベリウスは明確に示してくれています。
アクセントやテヌート記号があるところが曲のメロディーとなる部分です。

そのほかの和音で、曲の叙情性を表現できると良いですね!

変化はつけるべき?!

シベリウス「5つの小品(樹木の組曲)第5曲「樅の木(もみの木)」ロ短調Op.75-5」ピアノ楽譜2
次に出てくるのはこちらの旋律。(動画0:53~)

最初のメロディーとはまた少し違った雰囲気がありますね。

この曲を弾く人は、「音楽的に弾こう」とこういった部分も大きな変化をつけて強弱をオーバーに演奏しようとします。
が、それはNG!

ここは、風のない静かな森のようなイメージで弾くと良いでしょう。


また、上の譜表で音符の棒が上向きのラインがメロディーです。
いくつかタイがありますね。
このタイはきっちりのばしましょう!

途中で切って次の音の準備をしてしまうと、どうしても音の終わりが雑に聞こえてしまいます。

タイの終ったあとには決まって八分休符が出てきます。
この休符の間でブレスをして次の準備ができるので、この間を有効活用してくださいね!

右と左の調和のコツとは、、、?

ゆったりと歌う前半部分が終わると、今度は徐々に激しさを増して動きも速くなっていきます。(動画1:45~)

シベリウス「5つの小品(樹木の組曲)第5曲「樅の木(もみの木)」ロ短調Op.75-5」ピアノ楽譜3
最初に書かれている「Risoluto」という楽語は「きっぱりと、断固として、決然と」といった意味です。
発想を示す用語なので、自分なりに解釈して噛み砕いて演奏してみましょう。

ここで苦戦することは、右と左が分離してしまうこと!
左手が4分音符
右手が32分音符なわけですが、ここの右手は拍頭に32分休符があるので正確に入らなければなりません。

こうして右と左の入るタイミングを合わせなければならないようなところは、片手ずつの練習をするのではなく、両手で練習を行います。
そして決して速いテンポで練習をしてはいけません。

ゆっくりメトロノームを使って練習してくださいね!


そして付け加え!
ここは最初の音は「雰囲気がここから変わるよ!」と聴き手に知らせるために大きく弾いて構わないのですが、そのあとはいったん弱くするのがコツ。
そうしてクレッシェンドをかけていきましょう。

こうすることで、同じリズムでもメリハリが出て良いですよっ!


また、最初の音の後は一瞬テンポをおとしてゆったりするのもあり!
そのあとだんだん速くしていくと緊迫感が出ます。

指がしっかり動くようになってからは、こうした工夫も凝らしてみてください!!

最後のフェルマータの数はいくつ?

シベリウス「5つの小品(樹木の組曲)第5曲「樅の木(もみの木)」ロ短調Op.75-5」ピアノ楽譜4
こちらは曲の終わりの部分。(動画2:43~)
フェルマータは右左合わせていくつ出てきますか?
5つですね!!!(笑)
多い!!!!!(笑)
しかもpoco rit.と表記されているのでフェルマータに加えてゆっくりしていくのです。


ただし、気を急いて終わり5,4小節目あたりからゆっくりしてしまう人がいるのですが、そこからゆっくりしてしまうと、間伸びしてしまいます!
なので、poco rit.からゆっくりしていくといいですよ。

ただし、フェルマータが出てくるところは間をいれてくださいね!
そして、全部同じ長さの間ではなく、一回目、二回目、三回目とだんだん間の長さを長くしていくと、より素敵になります!

特に一番最後のフェルマータはたっぷりと!
ペダルも使ってOKです。
その場合には、手を離してからペダルを離す順番にも気をつけましょう。


最後の音は、左手が右手をまたいで「ファ」の音を弾きます。
ある程度響かせてもよいですが、あまりにも飛び出さないようにだけ気をつけてくださいね!

最後に

ここまでお話してきた「もみの木」。
少しでも弾き方の参考にしていただけたら嬉しいです。


わたしは、実際にフィンランドのヘルシンキに行ったことがあります。
フィンランドが独立し、シベリウスがその独立に大きく貢献したとして「シベリウス公園」という公園がありました。
野外ですが大きなパイプオルガンがあり、フィンランドの国にとってシベリウスがいかに大切な存在であるかがうかがえました。

少し足をのばせば、針葉樹林が生い茂りいかにも「北欧」らしい光景が目に飛び込みました。
首都のヘルシンキからシベリウスの生まれた町は100キロくらい離れたところにあります。
シベリウスの生家は当時のまま保存されていて楽器も残されていました。

ただ、めちゃくちゃ寒くて(笑)
極寒の中、庭などを見た記憶があります(笑)


でも、実際に行ってみてシベリウスの育った環境や背景も知ることができました。
この「もみの木」も、極寒の中まっすぐ成長し生きている様が表現されていると思います。


物悲しさもありますが、力強さもある曲です!
技術、表現力ともに駆使して、ぜひ頑張って完成させてくださいね!!


「樅の木」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1922年にドーヴァー出版から出版されその後再販されたパブリックドメインの楽譜です。

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