チェンバロ。クラブサン。
こういった言葉をきいたことがありますか。

これは、楽器の名前です。
ひらたく言ってしまえば、まだピアノができる前に、ピアノの元となった楽器です。

クラシックには、この楽器を使って作られた曲がたくさんあります。
今日はその中の一曲、ラモーのタンブランの弾き方を、考えていきたいと思います!



難易度はどのくらい?


バイエル終了~ソナチネ程度くらいでしょうか。
ほとんど左手がオクターブで進行していくので、オクターブが苦手な方にとっては、難しいかもしれません。

ですが、そのオクターブも、いくつかの同じようなパターンで構成されていますので、最初の譜読みを頑張ってしまえば、後半はいくらか楽になると思います。

タンブランって何?

フランス、プロバンス地方に伝わる民俗的な太鼓のこと。
あるいは、それを使って演奏された18世紀に流行した2拍子の舞曲のことを、そう呼ぶそうです。

また、今回の曲には関係がありませんが、タンバリン(タンブリン)も、タンブランと呼ぶことがあります。

ラモーのタンブラン、弾き方は?

(動画 0:01~)

それでは、楽譜を見ていきましょう!
強弱記号はf。速度表記はAllegro molto(=アレグロ モルト。きわめて速く)となっております。
堂々と弾き始めましょう。

左手が、①ベース音の役割 ②和音としての役割 ③旋律の役割。
を持っています。

①は、各小節の一音目にある音が、ほとんどこれにあたります。
②、③は、右手と組み合わされた時こそ、本領発揮といったところでしょうか。

うつりかわる音の響き、和音の変遷。そしてミレ♯ミ、ミーファ♯ミレ♯・・・と動いていく音の流れ。
のびやかに歌い上げるほどに意識する必要はありませんが、こうした役割があると知って弾くだけでも、演奏に幅が出ることと思います。

(動画 0:26~)

25小節目からは、左手が下に下がっていきますね。
ベースの「ミ」の音。そして、和音のまま下がっていく音「ミド♯」「レ♯ド♮」・・・。

なめらかに弾く必要も、ppを意識して、特別やさしく、弱く弾く必要もありません。
ただ、音の動き、旋律の移り変わりは意識しておきましょう。

(動画 0:30~)

28小節目からは、左手が和音で刻むリズムとなります。上(右手)に、下(左手)にと出てくるメロディの掛け合いを楽しみましょう♪

(動画 0:58~)

52小節目からは、右手が今までにない動きをしていますね。
ラストスパートです!自分の中の熱を出し切ってしまいましょう!

強弱記号や、ペダルについて


さて、ここまで演奏の仕方を考えてまいりましたが、今回の曲については、強弱記号について「あまり意識しなくていい」と私は考えます。

なぜなら、この曲自体が、クラブサン(チェンバロ)で演奏されたもの、演奏することを想定して作られたものであり、クラブサンはあまり強弱がハッキリ表せる楽器ではないからです。

音もピアノほど伸びるわけではなく、一度鍵盤をたたいたら、すぐに減衰していきます。
今回の楽譜のように、ペダルの表記がされているものもありますが、あまり必要ないかなぁ、と思います。

ただ、これはあくまで、(おそらく)この曲に対する「一般的な考え方、練習の仕方」です。
ピアノでチェンバロを意識した弾き方をするなら、最初からチェンバロで演奏したほうがいいじゃない、とも思えませんか・・・?

せっかくピアノで弾くのですから、強弱記号にはたくさん幅を持たせて、ペダルもたくさん使って・・・。そんなタンブランを演奏してみるのも、楽しいかもしれません。
私は、いわゆる「セオリー」の弾き方を知った上で、演奏に幅を持たせるのも、音楽の魅力、過去の音楽を現代で演奏することの魅力だと思っています。

作曲者さんが生きていたら、怒られるかもしれませんが、十人十色、色んな弾き方、色んな楽しみ方があっていいじゃない。
そんなふうに、気楽に、好きなように楽しめたら素敵だな、と思います。

強弱やペダルについては「特に意識しなくてもいいと思う」と書きましたが、それではあまりに平坦すぎるというもの。
たとえば、音を「溜めて」みたり、部分的に「速く」してみたり、「遅く」してみたり。
そうしたところも遊びながら、弾いてみてください。

まとめ

1. 難易度は、バイエル終了~ソナチネくらい
2. タンブランとは、民族的な太鼓を使った楽曲、またその踊りのこと。
3. 左手の役割を意識しておく。
4. チェンバロを意識するのであれば、強弱記号やペダルは控えめに。

クラブサン、チェンバロ、ピアノ・・・。
時代によって、地域によって、色んな楽器があります。
今だからできること。今だから、できないこと。

今自分にできることを見極めて、あなたなりの解釈、演奏を楽しんでみてください♪


「タンブラン」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1918年にカール・フィッシャー社から出版された楽譜です。

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