ある音楽大学を受験しようと決意し課題を必死で練習していたかつての日々。希望の専攻楽器はトランペット。音階も課題曲も一通り音を出せているしもう大丈夫だろう、これまでも吹奏楽でガンガン吹いていたのだから、と当時の私は自信に満ち溢れていました。
課題曲は今回ご紹介するアーバンの金管教則本の第2巻に収録されている「華麗なる幻想曲」の主題と変奏曲の2番まで。
そんなある日、同じく音楽大学を受験しようと日々練習をしていたもう一人のトランペット吹きと知り合いました。私の他に音楽大学を受験する人が皆無でしたのでその時は仲間ができ嬉しかったものです。色々な不安や練習の事について語り合ったのでした。
そんな中、その彼は私が練習しているアーバンの「華麗なる幻想曲」を聴いて「僕はその曲、昔練習したよ」と言います。「おっ!ちょっと吹いてみてよ」と私。どれどれ、チョイとライバルの演奏でも聴いてみるかな〜?と余裕で調子付いている私。
すると…
♪♪♪♪♪!!!
うまい!
音を一切外さない!!
パッセージがなめらかで速いィ!!!
ダブル、トリプルタンギング完璧すぎィ!!!!
こんなに吹いてもまだ余裕があるゥゥッ!!!!
まるでCDで世界的奏者の演奏を聴いているかのように完璧だッーー!!!!
さらに「昔練習した曲だよ」と続けて吹き始めたのは超絶技巧曲の定番曲である同じくアーバンの「ヴェニスの謝肉祭」!しかも続けてクラーク版の「ヴェニスの謝肉祭」も超絶スピードで吹き、さらには最後の非常に高い音のハイE♭(B♭管でいう2オクターブ高いファ)まで完璧に吹ききったのです。
その時、私は足元の地面が割れて地下に落ちて行くような感覚になりました。彼の演奏のレベルに比べたら私の実力など初心者にすらならない、レベルが違いすぎる!今の実力で音楽大学を受けるなんて恥ずかしすぎる!
音楽大学を受験する人も音楽大学の先輩方も、このレベルの奏者達がゴロゴロいる。考えが甘すぎた!プロの道はあまりにも遠すぎる…
その後私はショックのあまり一週間寝込んでしまいました…もう音楽は諦めよう…
しかし!私は再び意を決してこの曲に挑み音楽大学に進むことができ、さらには実際に演奏会で演奏する機会も頂くことができたのです。
さて、このトランペットを吹く人なら必ず行き当たるであろう、アーバンの「華麗なる幻想曲」。今回はスポットライトが当たるソロステージから、そして試験官が見守る音大受験現場からご紹介しましょう。
■ 目次
本格的なソロ曲
J.B.アーバンの教則本は金管楽器を吹いている人なら必ずと言っていいほど練習することがあると思います。非常に分厚い本で、中身もすべてトランペット、あるいは金管楽器を演奏する上で必要な技術を習得するための練習曲となっています。ひたすらただそれだけが載っている教則本です。そこで習得したテクニックを遺憾なく発揮できる12曲のソロ曲がアーバン教則本の第二巻に収められています。この12曲はすべて変奏曲となっています。その中の一曲が今回ご紹介する「華麗なる幻想曲」です。
比較的簡単な曲で(この12曲のなかでは)、例えば吹奏楽部の経験がある方はご存知かもしれませんが、ソロコンテストでも演奏曲目に挙がることもあります。また主題と変奏曲の一部が音楽大学の試験課題曲として指定されることもあります。
難易度としてはおそらくこの曲集の中の「輝く雪の歌による変奏曲」の次に取り掛かる曲ではないでしょうか。しかし曲は前奏があったりカデンツァがあったりと、より音楽表現も広いものとなっています。いよいよ本格的なトランペットのソロ曲に挑戦!といった感じで取り組みましょう。
コイツもお手上げだッ!
さあ!いざ練習開始!「輝く雪の歌による変奏曲」を人前で演奏できるくらいにレベルアップしたのだからこの調子で「華麗なる幻想曲」もササッと仕上げちまうヨ!まずは前奏。フムフム、何やらスペインっぽい情熱的な曲だな・・・ちょ、ちょっと難しいな。難しいところは後で本気を出して練習してくれるわ!主題を先に練習だ。伸びやかな旋律。ウッ…音の跳躍がちょっとムズいな。次の変奏曲は・・・
装飾音が・・次の変奏曲は・・・は、速い曲だッ!ダブルタンギング!!できねぇ!
さらに次の曲は「輝く雪の歌による変奏曲」同様の六連符、トリプルタンギング!しかも長い曲!今回もお手上げだっ!!
練習するときに気をつける事
でも大丈夫!音符の多さに気圧されることはありません。速いタンギングをしようなどとは考えず少しずつ、確実に音を作り上げることに集中しましょう。簡単な事をゆっくり少しずつ積み上げていけば、どんなに速いタンギングでも必ず誰にでも演奏できるようになります。この曲は「人間が吹くトランペット」を想定して書かれているのですから。まずはとにかく地道に練習する事。理論や奏法はその次に考えること。これが大切なことです。
練習する時のポイントは「輝く雪の歌による変奏曲」と同様、4つのことに注意して練習しましょう。
① オーケストラや吹奏楽のように大きな音で吹こうとしないこと。最後まで吹き切るためのスタミナ配分の練習です。
② 必ずメトロノームを使うこと。冷静に、客観的にテンポを維持し、本番で緊張しても失敗しないようにするためです。
③ 模範演奏や上手な人の演奏を聴いて影響されて、すぐに速いテンポで練習しないこと。上達したければゆっくりのテンポからしっかりとさらうことです。
④ 楽譜に書かれている記号や強弱記号は音楽辞典などを調べて、全て意味を把握してその通りに演奏しましょう。
「〇〇してはいけない」ばかりになってしまいましたが、技術を確実に体に覚えこませるには地味な作業が続くもの。ひたすらゆっくりのテンポで練習し音と安定感を作り上げていきます。タンギングに関しては正確性を作り上げるために、練習というよりは作業と考えてもいいかもしれません。
「華麗なる幻想曲」の吹き方と練習方法
ペルー出身の若きトランペット奏者、エルマー・チュランピによる演奏。日本ではまだあまり知られていまいかもしれませんが、ボストン交響楽団の奏者であり非常に素晴らしい奏者です。ラテン音楽でも素晴らしい演奏を聴かせてくれます。Facebookでも動画を配信しています。
前奏
この前奏はアーバンの練習曲や12曲のソロ曲の中でも少し異彩を放つ曲想です。どこかスペイン風の物悲しいながらも情熱的で力強い曲想です。テンポは「アレグロ・マエストーソ」。マエストーソは「堂々とした」という意味になります。トランペットの出だしもフォルテからです。フォルテだからといって無理に強く吹こうとせず始まりの音をハッキリとタンギングする事が大切です。
当たり前のことですが、フレーズを正確に。スラーがついている所とついていない所はハッキリ吹き分けましょう。
全体的に分散和音などの音の跳躍が多い曲です。この跳躍を綺麗に当ててゆくために、日頃からアーバンの教本1巻の音の跳躍や分散和音も並行して練習するといいでしょう。というより、したほうが断然早く上達できます。
この音の跳躍があるからこそ「華麗なる幻想曲」といえます。同時に半音階での動きも多く、スムーズに滑らかに演奏することも曲の表現付けに必要なことです。綺麗にバッチリ吹けるように練習です!
途中からテンポが少しアップします。piu mosso とあり、音もフォルテシモになります。伴奏もスペインのカスタネットを思わせるリズムです。でも無理に強い音を出そうとしないことです。タンギングをハッキリと金管楽器らしい金属音で、でも汚い音にならないように吹きましょう。
半音階、分散和音が連続して出てきますがこれも滑らかに決めないと残念な演奏になってしまいます。ゆっくりのテンポからメトロノームを使って練習し確実に身につけましょう。
メトロノームを使わず好きなテンポでばかり練習していると、半音階は「噛んじゃった早口言葉」を言っているかのような舌足らずな感じになり、分散和音も焦って吹いているような演奏に聞こえてしまいます。私がそうでした…
最後にカデンツァがあります。本来ならここで「オイラの演奏はスゲェだろ?ん?」と遺憾無く演奏テクニックを披露するところです。もちろん自分で考えたカデンツァを演奏してもいいと思いますが(でも失敗したらかっこ悪いゾ!)、ここは曲全体のバランスとこの後に変奏曲があることを考えて、くどくならないようにシンプルに楽譜通りに演奏する方がいいと思います。
音楽大学の試験などでは主題と変奏が指定されることが多く、この前奏は課題曲として指定されることはあまりないでしょう。
主題(動画2:20~)
いよいよ主題です。この曲も音の跳躍が演奏を難しいと感じさせる要因となっているように思えます。とくに冒頭のソから上のミにスラーで上がった時に、上がりきらずドの音になってしまいがちです。うまく上がってもミの音程が下がりやすいので注意です。と書くとそれを意識してしまい変に唇に力を入れてしまいがちになりますので、あくまでも自然に吹き最初は音程が不安定でも、少しずつ修正していきましょう。
今の時代はスマートフォンなどで簡単に録音ができたりするので、自分の演奏や練習を録音して常に自分でチェックする事をオススメします、
テンポはアンダンティーノ。歩く様な速さのアンダンテより少し速めのテンポです。メトロノームの指示は80位とありますが極端に速い、遅いということがなければあまりそれにこだわる必要はないと思います。
ポイントはテンポがダレたりだんだん遅くなるということがないように活き活きと演奏する事。とくに中間部のpoco agitatoは前向きなテンポで。「華麗なる」がモットーです。
フレーズの決めにフェルマータが数カ所あります。このフェルマータの直前は少しテンポを落としながらフェルマータに入り、音を伸ばすのがコツです。これが自然なフェルマータでしょう。
例えばバスがバス停に止まる時、急に止まったりはしないですね。ゆっくり減速してから止まります。聴いている人にとってとても安心感がありますね。
どれくらいテンポを落とすかはCDなど様々な演奏をマネ…参考にしてみましょう。おおよそどの演奏も同じくらいの感じです。
クレシェンド、デクレシェンドの表現付けも忘れずに。また装飾音も多用されています。始めから出来る人もいますが、苦手な人はこれも1巻に装飾音の練習曲があるのでしっかり練習しましょう。
第1変奏(動画3:30~)
ここからアクロバティックでテクニカルな変奏曲が始まります。先ほど申し上げたポイント、「上手い人の演奏に感化されすぎてカッコよく速く練習しようとしない」ことに注意です。主題のアンダンティーノのテンポと雰囲気のまま最初の変奏が始まります。一見地味な変奏曲に見えますが、三連符の変奏というばかりでなく音の跳躍や中間部のフレーズにも複雑さがある曲です。
クドイようですがメトロノームを使ってゆっくりと練習しましょう。テンポが速くてツライ、の逆でテンポが遅くてちょっとツライと思うくらいで練習しましょう。
この曲での装飾音はやや難しいかもしれません。もちろん楽譜通りに全て演奏できれば理想的ですが、実際に演奏するテンポで音楽の流れが悪くなるようなら思い切って装飾音を所々無しにしてしまうのもアリかと思います。
ゆっくりのテンポから練習していけば出来るようになると思いますが、それでも難しい時は出来るだけ最初の装飾音は頑張って付けた方が曲の印象が良くなると思います。
中間部のアウフタクトは三連符ではない所に注意です。細かい所もシッカリと造詣深く取り組むことがより良い演奏のポイントです。
第2変奏(動画4:33~)
ここでテンポが速くなります。これも半音階と分散和音が多用された「華麗な」曲です。何度もしつこいかもしれませんが、メトロノームでゆっくりのテンポから練習です。ここで楽譜にダブルタンギング(必要に応じて)と書かれています。エェッ!ダブルタンギング?デキネー!
しかし!練習ではそんなモノは無視です。ダブルタンギングなど10年早いわ!と私は習った先生に言われました…
まずは地味ですが普通のタンギングでゆっくりのテンポから練習です。やってみるとわかると思いますが普通のタンギングでゆっくり練習しても最初は難しいです。10年早いというのも頷けます。考えてみれば普通のタンギングでゆっくりのテンポでも出来ない曲をダブルタンギングで出来る訳がありません。
メトロノームの設定は♩=〇〇ではなく、♪=〇〇でセット、少しゆっくりすぎるかな?と思うくらいの余裕のある速度で練習しましょう。地味な練習ですが根気よくシッカリと身につけます。
中間部は分散和音の嵐!動画の演奏のように思い切ってテンポを落としてみるのも効果があります。
第3変奏(動画5:36~)
さて最後の変奏曲。6連符の嵐です。この変奏曲は最終的にトリプルタンギングで演奏する必要がありますが、決して焦らずに。まずはシングルタンギングで確実にさらい、しっかりと曲を身につけていきます。それからトリプルタンギングへと移行します。これもメトロノームは♪=〇〇で。シングルタンギングでゆっくりのテンポから練習していきますがここで一点注意。最終的に速いタンギングが必要だからといって、音を短く切りすぎないようにしましょう。むしろテヌートの長さで音を切るくらいでちょうどいいです。
トリプルタンギングで練習を始めた時も音の長さはテヌートのように長めにします。トリプルタンギングにしてもダブルタンギングにしても、速く演奏しようとすると無意識に音の長さが短くなりすぎて曲そのものが余裕のないセカセカした感じの演奏になってしまうことが多いのです。
最後の締めは、スタミナ切れで貧弱にならないようペース配分に気をつけましょう。そのために最初の前奏から無理に大きな音で吹かないこと。最後こそシッカリ力強く、です!
こちらはピアノ伴奏のみのカラオケバージョンです。ある程度曲が仕上がってきたらこれで練習するのもアリです!こんな動画があるなんて便利な時代ですね!
ダブルタンギングとトリプルタンギングが苦手〜?
多くの人はダブルタンギングやトリプルタンギングはタンギングを速くし、速いパッセージの曲を演奏しやすくするためのものと思っているのではないでしょうか。ある意味それは正解です。ダブルタンギングはTuKu-TuKuと発音しダブルタンギングはTuTuKu-TuTuKuと舌を発音させますが、多くの人がこのKuのタンギングがうまく切れず、力が入りすぎたりして苦難していると思います。
しかしあくまでもこれらのタンギングは「余裕を持って速くタンギングするための補助的なもの」と私は思います。まずは普通のタンギングでシッカリ練習すること。それからトリプルタンギングやダブルタンギングへと進むべきです。そのうちにKuはそれほど力を入れなくてもできることに気がつくでしょう。
シングルからトリプルタンギングへと進むには、それ以前の練習量というのも必要です。これを怠るといつまでも綺麗な演奏へと進むことはできないと言えます。なぜそう断言できるかって?私がそうだったからです!
困ったら1巻で
「どうやったらそんなに吹けるのー?教えてよー」ひと通り落ち込んで再び練習を開始した私は、その圧倒的な実力差のある受験仲間にしつこくベタベタと聞きまくりました。もう半分開き直っていました。
「全然難しくないよ!アーバンの1巻に必要な技術の練習曲が全部載っているよ。メトロノームで練習していけばこの曲も簡単に吹ける」
と教えてもらったのですが、これが私にとって大きな転機となりました。
この曲だけでなく他のアーバンの曲や他の作曲家のトランペットのためのソロ曲を練習する上で難しい所があると感じたならば、このアーバンの1巻と併用して練習することをオススメします。もちろんメトロノームは必須です。
この1巻にはトランペットを吹く上で必要な奏法がほぼ全て網羅されています。曲を練習する時に自分にとって何が難しくて何ができないかを見つけ、辞書を引くようにアーバンの1巻から練習曲を見つけ出し並行して練習しましょう。
今回のこの曲で必要な技術は、半音階と分散和音、音の跳躍と半音階、そしてダブルトリプルタンギングが中心となります。この曲に限らず基本的な演奏技術なので常に練習メニューに入れたい所ですね。
この1巻を練習していると、いざ曲を練習した時に自分が上達したことを感じることができるでしょう。
よく言われることに、アーバンの1巻は独学で練習しない方が良い、先生に習いながら練習するべきだ、という意見もありますが、私はメトロノームを使ってドンドン積極的に毎日でも練習して良いと思います。ただし「練習のための練習」にならないように注意!これについてはまたの機会にご紹介しましょう!
名盤
模範演奏、というよりは参考演奏をご紹介。これらの演奏は多少アレンジが加えられています。やはり世界的な名奏者による超絶に上手い演奏ですので、聴いて楽しむのは大いに結構。でも自分の練習はしっかりと技術が身につくまでは楽譜に忠実に、地道にいきましょう!モーリス・アンドレ
アンドレらしい非常に柔らかい音色ながらも、パイプの一つ一つがハッキリ響くかのような明瞭な響きが素晴らしい!
セルゲイ・ナカリャコフ
イケメントランペッターとして女性の間で絶大な人気を誇るナカリャコフの演奏です(チッ…(-.-)とくに変奏曲は完全完璧な演奏です。多少アレンジされています。
ウィントン・マルサリス
こちらは伴奏のブラスバンドとともに大幅にアレンジされています。とてもカッコイイです!しかも恐ろしいほど上手い!!真似できるもんならやってみな?!
自分も聴く人も楽しく
さて、一度はあまりの実力差を見せつけられ一通り挫折した私でしたが、音楽で悩めるということはとても幸せなこと。しかし才能がある人に正面からぶつかっても勝ち目はない。焦らず腐らず地道に練習することに重点を置き、安定感のある音楽作りを目指すことにしました。そしてもう一つ、演奏する人が心得ることとしてどのジャンルでも、世界中どこでも言われることで、「演奏する本人が楽しく演奏すれば聴いているお客さんも楽しくなる」ということも心がけるように練習を重ねていきました。
数ヶ月がかりで必死に練習して、かろうじてこの曲をギリギリ通して演奏できるようになったとき、私に演奏会でこの曲を演奏してみないか?と声がかかりました。しかも私より遥かに実力のある受験仲間の彼ではなく私に白羽の矢が立ったのでした。どうして・・・?
初めてのピアノ伴奏のみのソロ曲で非常に緊張し、もちろん「楽しんで演奏する」心の余裕などありませんでした。
私自身は、とにかく最後まで吹ききるだけで精一杯、アップアップの演奏でしたが、本番が終わった後、何人ものお客さんが楽屋に来てくださり「とても良い演奏だった」「これアーバンでしょう?難しい曲をよく吹いたね」と声をかけていただいたときは驚いたものです。余裕のない演奏だったのに・・・?
これはトランペットに限らないことかもしれませんが、自分では「楽譜を追うだけで精一杯で余裕のない演奏だったな」と思ったときほど意外にも聴いている人には感動を与えていたり、逆に「これはうまく行った!どうよ!?」という感触があったときほど不評だったりするものです。
もし私がこの曲を楽々に吹ける状態でこの演奏会に臨んでいたらもちろん安定感のある音で緊張もせず凄いテクニックの曲を披露できたでしょう。しかしそれだけではただ音符を再生しただけの演奏で終わっていたかもしれません。でも内心はそれができるだけの技術が欲しいですが・・・
本当の「楽しんで演奏する」という意味は、ただ嬉しい楽しいだけではなく「自分が演奏する音楽と体当たりで、本気で向かい合って演奏する」ということなのかもしれませんね。
まとめ
・練習する。・メトロノームでゆっくり練習する。
・練習する。
・「こんな難しいのできるかーー!!」と海、あるいは山に向かって叫ぶ。
・練習する。
・サボ・・・・適度に休憩し、気力と体力を充実させる。
・ひたすら練習する。テクニックは後で自然に付いてくる。
- アーバン金管教本「輝く雪の歌による変奏曲」吹き方と練習のコツ!トランペット奏者を目指す人の初めての超絶技巧曲!楽譜を丁寧に練習しよう!(「ビューティフルスノー」解説と練習方法) 2018年7月22日
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はじめまして。突然失礼いたします。
中学高校と吹奏楽でトランペットを吹き、大人になって再開した者です。
アーバンの事を調べていて、たどり着きました。
「練習のための練習になってはいけない」
非常に興味深い一言です。ぜひ教えていただけませんでしょうか。
おそらく、今私がやろうとしていることはそれそのものではないかと思っています。
よろしくお願い申し上げます。
はじめまして!コメントありがとうございます!また、私の記事を読んでいただきありがとうございます!
トランペットとは、とにかく中々吹けるようにならない、地獄の楽器と言えますね( ; ; )そしてGiko-様も私も含めてトランペット吹きは皆、超マジメな人が多いので(本当)吹けるようにならなくちゃ!と焦るあまり「練習の為の練習」という状態に陥りやすいものです。
これは私がかつて、先輩や先生に指摘された言葉でして、どういう状態に陥ったかと言いますと、
・曲を練習しているとうまくできない箇所があります。例えば高い音が当たらない。するとその部分だけ練習をするのですが…
・高い音が当たらないならリップスラーが足りないのだ!とリップスラーの練習を始めます。まだ足りない、もっと基礎練習しなくちゃ…
・指も難しい所がある。音階の練習もしなきゃ、ついでに分散和音もやらなきゃ!あれもこれも…
・失敗すると何度も何度もリップスラーやら音階やらを吹いて確認しようとします。無駄に何度も何度も、当たるまで吹いてしまいます。
・基礎練習が足りないからうまく吹けない。だから日々しっかりと休まず基礎練を!と、どんどん曲から離れて基礎練習ばかりをやるように陥ってしまいます。基礎練さえしっかりやればどんな曲でも完璧に吹けるようになる!と思うようになります。まるで筋トレのように、筋肉があればなんでもできる!と言わんばかりに…
・するとある日、自分は一体何を目的に、何を練習しているのだろう?と気付きます。指はよく回り、パラパラと難しい曲は一見吹けるようにはなりますが、表面だけの音楽になってしまいます。よく言われる「テクニックはあるけど歌がない」状態になります。簡単な楽譜ほど安定して吹けなくなり、速い曲ですら安定感のない演奏になってしまいます。
曲の中で、できない所を出来るようにするために、練習をする
その練習曲(このアーバンやクラーク等)を出来るように、さらにその為のリップスラーやら音階やらをやたらと吹きまくる。音を外してしまう度に、確認するかのように確認吹き、無駄吹きをしてしまう。
こういった悪循環に陥ってしまうのです!
基礎練習と曲の練習、バランスよく練習しなければならないし、基礎練習も何を目的にするのかを考えて取り組まなければ、ただ楽譜通りに吹いているだけの「作業」になってしまいます。あくまでも基礎練とは曲を吹けるようになる為のものだということが大切なことだと思います。
特にアーバンは基礎練習の百科事典のようなもので、もちろんそのまま全部通して練習してもいいと思いますが(スーパーヴェニスの謝肉祭を吹いてる人みたいに)今自分に必要なものは何か?を考えて効率よくピックアップして練習する必要があります。
もちろん日々の基礎練習も大切ですが、あくまでも最終目的である曲が中心であることが前提ということですね。
ご参加になれば幸いです。