「ひばり」は演奏会のアンコールでよく演奏される曲です。難易度はピアノの教本でいえばツェルニー40番後半ぐらいでしょうか。私も演奏会で弾いたところ、お客様に好評でした。

ただショパンやベートーヴェンと比べるとバラキレフはそこまで広く知られている作曲家ではないので(私も音楽科の高校に入ってから知った作曲家です)、発表会であまり人とかぶりたくない方にはオススメです!

これから「ひばり」を練習する方に実際に演奏会で弾いたことがある私の練習の仕方をご紹介します!

弾く前に

まず、この曲はグリンカが作曲した歌曲集「ペテルブルクへの別れ」の中にある「ひばり」という曲のフレーズをバラキレフがピアノ曲に編曲したものです。つまり元々は歌曲なので、どんな歌か知る必要があります。 「グリンカ ひばり 歌詞 意味」で検索してみてください。またYoutube等で演奏を聴いてみるのもいいでしょう。

「こんな歌なんだ、ふーん」ってぐらいで大丈夫です。自分なりのなんとなくのイメージを作りましょう。

ちなみに私は「離れ離れになった恋人に向けて何か思いを伝えているのかな~」とか「曲を聴いた雰囲気としては厳しい寒さの冬から緊張が解けて春がやってくる感じ」なーんて思い浮かべてました。


楽譜は、現在国内版では@ELISEのみの販売になっているようです。こちらで購入すると自宅で印刷できます。
http://www.at-elise.com/elise/CCDPKG00051/

他は輸入楽譜になりますが、Amazonではシャーマー社の楽譜が販売されています。


音源(CDやYoutubeなど)を聴きながらできること

今回はこちらの演奏動画と照らし合わせながら紹介します。


①ざっくり譜読みをしてみよう!

歌を聴いていただくと分かるように、1番2番と「同じメロディーの繰り返し」なんですよね。
なので楽譜の中からメロディーを探します。音符を〇で囲んでおくとわかりやすいですよ。

グリンカ歌曲集「サンクトペテルブルクとの別れ」第10曲「ひばり」ホ短調/ピアノ編曲:バラキレフ 変ロ短調 ピアノ楽譜1 (動画0:03~)

ファーシ♭ーラ♭ーソ♭ーファーーーレ♭ミ♭ファの部分を見つけましょう。数か所あります。音源を聴きながら楽譜を見るとわかりやすいです。

グリンカ歌曲集「サンクトペテルブルクとの別れ」第10曲「ひばり」ホ短調/ピアノ編曲:バラキレフ 変ロ短調 ピアノ楽譜2 (動画2:43~)

ちなみにこの部分はテヌート(音符の上の―)がついている音符がメロディーに当たります。

②音源に合わせて指をなんとなく動かしてみよう!

これ、私がよくやる方法です。指使いは鍵盤に向かった時にしっかり決めればいいのです。まずは大まかな動きを知りましょう。youtubeで弾いている方の手の動きをみながら真似をします。この方法で曲のメロディーや伴奏の和音やリズム等を耳で覚えておくと譜読みをするときに合っているか判断できるようになります。譜読みのミスも少なくなります。

いよいよピアノに向かって練習

私のやり方は「全体的にざっくり弾けるようになってから細かいところを詰めていく」という感じです。この曲は♭5つの変ロ短調(b-moll)です。♭5つはめんどくさい!なので…

①あ、楽そうだな~ってところから練習する。

例えば最初のこのフレーズ

グリンカ歌曲集「サンクトペテルブルクとの別れ」第10曲「ひばり」ホ短調/ピアノ編曲:バラキレフ 変ロ短調 ピアノ楽譜3
ここだけでも弾けるとなんか弾けてる感じがしますよね。最初から順番に譜読みしている方が多いと思いますが、私は楽なところや好きなところから譜読みをしています。

②後回しにしていたところを練習する。

ちなみに私はこの部分です。

グリンカ歌曲集「サンクトペテルブルクとの別れ」第10曲「ひばり」ホ短調/ピアノ編曲:バラキレフ 変ロ短調 ピアノ楽譜4 (動画3:11~)

ここは1小節ずつ練習します。1小節ずつ練習したら2小節つなげて弾けるように練習して、2小節できたら4小節つなげて弾けるように練習して…と繰り返すのに根気がいります。この壁を超えるととりあえず通して弾けるレベルにぐっと近づきます。

③難しいところを部分練習する。

グリンカ歌曲集「サンクトペテルブルクとの別れ」第10曲「ひばり」ホ短調/ピアノ編曲:バラキレフ 変ロ短調 ピアノ楽譜5 (動画2:16~)

こちらのアルペジオはとにかくゆっくり練習すること。ゆっくり練習して何も考えなくても指が勝手に動くレベルになるまで根気よく練習しましょう。ちなみにここはpなので力強く弾く必要はありません。なんかキラキラしているように聴こえればいい感じです。

グリンカ歌曲集「サンクトペテルブルクとの別れ」第10曲「ひばり」ホ短調/ピアノ編曲:バラキレフ 変ロ短調 ピアノ楽譜6 (動画3:37~)

ここもゆっくり練習するところからスタート。音と指の感覚をしっかり覚えられると弾けるようになります。ここはfなので力強く弾きましょう。ただし伴奏の部分(テヌートがついていない音)まで大きな音にしてしまうとうるさくなってしまうので、メロディーだけ際立たせるようにしましょう。全部大きく力強く…と弾いてしまうと腕が疲れてしまいますよ。

なんとなく通して弾けてきたら…

自分の演奏を録音して聴いてみよう

スマホで録音してもいいでしょう。高価だったり専門の機材は必要ありません。スマホでも自分の演奏を聴く分には充分です。録音して聴いてみて「この部分を直したい」と思うところがあったらその部分を練習しましょう。以下のポイントに気を付けて聴いてみましょう。

・自分のイメージ通りに演奏できているか
 思ったより伴奏の音が大きかったり、変なところで速度が変わってしまっているときがあります。
・メロディーがはっきり聴こえるか
 伴奏やメロディー以外の飾りの音が目立ってしまっていないか確認しましょう。

まとめ

①音源を聴いて耳で覚える
②楽なところから練習する
③難しい所は繰り返し根気よく取り組む
④自分の演奏を聴いて修正しよう


この流れは「ひばり」に限らずどの曲でも使える方法です!
練習してインスタ映えならぬ演奏映えしちゃいましょう!

気合い入れすぎて腱鞘炎にならないように気を付けてくださいね。



「ひばり」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。ムジカ社から出版されたパブリックドメインの楽譜です。

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