CMって、すごいですよね。
突然どうした!?と思われた方、すみません。

CM。コマーシャルは、(おおまかにですが)15秒、30秒くらいの間に、情報をギュッと詰め込んで、私たちに伝えてくれます。
人気の役者さんが出演されているもの。シリーズとして続いているもの。
そして、アーティストの曲を使ったものなど、世の中にはいろんな種類、いろんなタイプのCMがあります。

そしてCMの中には、クラシックの曲を使ったものも少なくありません。
今日は、あなたもどこかで聞いたことがあるのでは?
某お薬のCMに使用されているショパンの前奏曲、第7番の弾き方を考えていきたいと思います。



難易度はどのくらい?


全音ピアノピースでは、難易度C(中級)で発売されています。
テンポはゆったりとしていて、たった16小節から成り立つ曲です。

おそらくソナタを弾いているかたでしたら、難なく弾けるのではと思います。
しかし、右手も左手も基本的にオクターブ、あるいはオクターブ以上の音で進行していきます。

ですので、逆に言えばオクターブが簡単に届くのであれば、ピアノをまだ両手で弾き始めたばかり、という方でも挑戦しやすい曲だと思いますし、オクターブが苦手な方でしたら、ソナチネ、ソナタほど進んでいても、難しい1曲となるかもしれません。

ショパンってどんな人?


ピアノを弾いたことのある方で、ショパンの名前を知らない方は居ないのではないか、と思います。ピアノの詩人、ショパン。
ここでは、その生涯を簡単にご紹介したいと思います。

フレデリック・フランソワ・ショパン(1810-1849)は、ポーランド出身の作曲家です。
彼が残した作品は、ほとんどがピアノ曲。
幼いころよりピアノに魅せられ、作曲家として、ピアニストとして、大成していきました。

あまり背が高くなく、やせていて、病身であったためか、あまり大きい音でピアノを弾くことはしなかったといいます。
ですが、主にサロンで演奏活動をしていたショパン。
そこでは甘く華麗な音楽に加え、優美な出で立ちから、集まった婦人たちの人気の的だったようです。

確かに、考えてみればショパンの曲って、オクターブをガンガンならしてffでインパクトを付けるようなものではなく、たとえばトゥリルを多用したり、mpやmfの間の機微を楽しむような曲が多いように感じます。

ピアノという楽器を愛し、ピアノの持つ可能性を、最大限に広げた人。
私はショパンを専門的に研究したわけではありませんが、そこそこの曲を弾き、また聴いてきた経験から、そんな風に思っています。

あなたの心をいやします

(動画 0:02~)

さて、それでは弾きかたを考えていきましょう!
たった16小節から成るプレリュード。

最初にAndantino(=アンダンティーノ。アンダンテよりもやや速めに)
アンダンテが「歩くような速さで」♩=63-76くらいですので、大体そのあたりを目安に、少しテンポをあげるくらいでいいでしょう。

強弱記号はp。くわえてdolce(=ドルチェ。甘く、やさしく)の表記があります。
やわらかく、甘く、やさしく。
たとえば、この曲は胃腸薬のCMにも使われています。
ですので「体の内側からきれいに、健康に。あなたを癒します。」そんな柔らかいイメージで弾いても良いかもしれませんね。

ペダルは音が濁らないように、離すところではしっかりと離しましょう。
「ミド♯ーレシシシ・・・」から始まる、メロディラインを意識して、そして時にはテンポの揺れなども楽しみながら弾いていきましょう。

弾けない和音は別の方法で

(動画:0:28~)

さて、12小節目。この和音で悩まれている方も多いのではないでしょうか。
全ての音を押さえようと思ったら、指がもう1、2本欲しいトコロ・・・。ですが、悲しいかな人間の指は5本ずつしかありません。

例えば、別の楽譜には、ラ♯とド♯を右手の親指でまとめて弾く。という表記もありました。これで弾ける方は問題ありませんが、弾けない方は、和音ではなくアルペジオ(=arpeggio。和音を同時に演奏せずに、下、または上の音から順次演奏していく演奏法)で弾いても良いと思います。(動画はこの方法を使われていますね)

充分に指が届く方でも、柔らかい癒しの音を出すために、あえてアルペジオにするというのもいいかもしれません。

まとめ

1. 難易度は中級。オクターブが楽に届くのであれば、初心者でも挑戦してみる価値あり。
2. ショパンは多くのピアノ曲を作った作曲家。サロンなど、小・中規模での演奏を好む。
3. 甘く、やさしく。しかしペダルの切り替えはハッキリと。
4. 押さえにくい和音はアルペジオなど別の方法で。


冒頭でもお話しましたが、CMって、すごいって思うんです。
なぜなら、あんな短い時間で、宣伝したい商品が、どんなものかを伝えるのですから。

そのためには、まずCMを見てもらわないと、聴いてもらわないとはじまりません。

短い時間で、いかに人の興味を惹くか。それは演奏にも言えることだと私は思っています。

最初の1音で、どれだけまわりの興味を惹きつけるか。飽きずに最後まで聞いてもらえるには――少し強引な言い方をすれば、「聴かせるには」どうすればいいのか。
記憶に残るためには。インパクトを与えるには。

そうしたものは、CMからも学べるところがあると思います。

たった16小節。されど16小節。
さて。あなたにとって、この16小節は、どんなものになりそうですか。


「前奏曲第7番」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1839年にブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版された楽譜です。「24の前奏曲」全曲が収録されており、第7曲は10ページ目になります。

ショパン「プレリュード(前奏曲)」の記事一覧

 ピアノ曲の記事一覧