秋といえば、読書の秋、食欲の秋、そして芸術の秋と言われますが皆様はどうお過ごしですか?

気になっていた本を読んでみたり、おいしいものを食べに足を延ばしたり・・・。
気候も涼しくなってきて、何をするにも過ごしやすい季節ですね。

そして秋といえば発表会なども沢山開催されますね!
皆様の中にも、発表会に参加される方はいらっしゃいますでしょうか。

今回は、そうした発表会などでもよく弾かれる人気曲の1つ。
ローデの「あやつり人形(マリオネット)」を可愛らしく躍らせる弾き方を考えてみたいと思います。


難易度は?弾きやすさは?

全音ピアノピースなどでは、「A(初級)」で紹介されています。
個人的にはバイエルを終了された方なら、あまり悩むことなく弾ききれると思います。

大きく手を広げるオクターブなどは出てきませんが、右手も左手も細かい動きが多いです。
ですがスケールの指練習などを欠かさず行っている方でしたら、楽勝かもしれません。

曲の構成も
冒頭→中間部→冒頭と同じ→中間部(の音が変わったもの)→最後。
という具合で、繰り返している部分が多いので、はじめの譜読みが済んでしまえば、あとはその応用でなんとかなると思います。

速く弾く?いえいえ元気に踊らせればいいのです♪


さて、それではさっそく楽譜を見ていきましょう。

ローデ「フリーゲンデ・ブレッター第5番「マリオネット」ト長調Op.36-5」ピアノ楽譜1
まずはLively。これはVivoと同じような意味で、実際Vivoと書かれている楽譜も多いです。(Vivo=活発に。元気よく。テンポでいうと大体♩=152くらい)

これを見て、「速く弾かなきゃ!」と思ってしまった方はいませんか?
つい「速く弾こう」と思うと、指が流れやすくなり、ベチャベチャとつぶれた音になってしまいがちです。
確かに速く弾くことで、活発さや元気さの表現にもつながりますが「速く弾く」ばかりで、曲そのものが疎かになってしまっては元も子もありません。

速く弾くことを目指すよりも、まずはゆっくりとしたテンポで練習をして、1音1音丁寧に弾いていきましょう。
ゆっくりしたテンポでも、スタッカートやスラーの表記を守るだけで、十分可愛らしく聞こえませんか?

速度記号=守るべきテンポ。
と認識してしまいがちですが、そうではありません。
もちろん数字で見る速度も、時には必要であり、曲を表現するうえでの大切な表記の1つです。
ですが、この曲に関しては、言葉の持つ「意味」の方を大切にして頂きたいと思います。

私も試しに152の速さで、あやつり人形を弾いてみましたが、まぁ忙しい忙しい・・・。
まるで操り人形でマラソンをしているような具合でした。
このテンポでもって、聞きやすい演奏ができたなら、技術の一つとしては良いと思いますが、この曲には必要ないかなぁ、と思います。

大体、速度記号って「極めて速く」とか「歩くような速さで」とか言いますけれど「そんなの人それぞれやーん!!」というのがわたくしの思うトコロ・・・。

のんびりさんも居れば、せっかちさんも居るし、子供が歩く速さと大人の歩く速さじゃ全然違うよー!!と思います。
現に私は「極めて速く」などと言われると電動ミキサーのごとく弾きたくなります。
ええ、それはもうまわりの食材(音)が飛び散ってしまうほどに。
・・・皆様はそれぞれの速度記号に、どんなイメージをお持ちでしょうか。


メトロノームやテンポの表記は、国を超えて、時代を超えて曲を弾くにあたって、そうした「感覚的なもの」にわかりやすく目安を付けてくれた大変ありがたいものだと思います。
(テンポを知ることで、曲のイメージもはかどりますしね♪)
ですので、一度は守って弾きたいと思いますが、それに縛られすぎずに弾いていきたいものですね。

(しかしながら、これがポップスやバンドスコアの表記となると、「守るべきテンポ」となってきますので、難しいところです・・・。)


苦手なところはバラして挑戦。

ローデ「フリーゲンデ・ブレッター第5番「マリオネット」ト長調Op.36-5」ピアノ楽譜2 (動画 00:09~)

9小節目からはf。クレッシェンドもついています。
「強く弾く」というよりも、大きな広がりを意識して弾いてください。

ローデ「フリーゲンデ・ブレッター第5番「マリオネット」ト長調Op.36-5」ピアノ楽譜3 (動画00:15~)

そして16小節目からは、pとなり右手と左手の掛け合い。呼びかけのような音が続きます。
これは、右手(人間)が操り、左手(人形)が応えているのでしょうか。それとも、男の人形と女の人形がお互いに呼び合っているのでしょうか。

ローデ「フリーゲンデ・ブレッター第5番「マリオネット」ト長調Op.36-5」ピアノ楽譜4 (動画 00:28~)

29小節目からは、左手の音階がはじまります。
これはまた、音がバラバラしてしまいそう・・・。
音階が苦手な方は、付点をつけて練習してみるなど(ドーレミーファソーファミーレドー)楽譜どおりに弾くのではなく、まず「音階の形、音」を指に慣れさせるところから始めてみてください。

そして右手の旋律は28小節目の「ソ」の音から始まっています。
左手に気をとられやすいですが、右手のメロディ
「ソソーーソファミレーーファミレドーーミレドレラシソド・・・」
ものびのびと歌ってください。
また後半では右手と左手の役割が変わりますが、同様に弾いてください。

あやつり人形、あやつられたのはどっちでしょう?


そしてまた冒頭と同じパターン。そして音は変わりますが29小節目と同じパターンがやってきます。
ここも先ほどまでと同様に音がバラけないように弾いていきましょう。

ローデ「フリーゲンデ・ブレッター第5番「マリオネット」ト長調Op.36-5」ピアノ楽譜5 (動画 01:03~)

67小節目からは、ラストスパートです。
難しい和音も、嫌いな音階もこれで終わりです!

ここに来るまで大変だった人は「これで終わりだーー!!!!」という万感の思いを込めて。
ここに来るまで楽しかった人は、残念ですが「これで終わりだから最後までちゃんと踊らせるぞー!!!」と、気を緩めずに。
あなたのあやつり人形を、最後まで踊らせてあげてください。


・・・あやつり人形、あやつったまま弾けたでしょうか。
それとも、あやつり人形に操られてしまったでしょうか。

あなたの糸は、あなたの操り人形は、今どこにありますか?

発表会について個人的に思うこと


さて、曲の解説はここまでにしておきまして、最後に少し個人的な話を。

以前、音楽教室のスタッフの方から「最近は、発表会に出ない方が多い」と聞いたことがあります。
それを聞いて私が思ったことは、「なんてもったいない!」という気持ちでした。

なぜなら、私の思い出に残る発表会は、どれも楽しいものだったからです。
・最高の環境でグランドピアノが弾ける!(普段は電子ピアノで練習)
・間違えても、失敗しても最後まで聞いてくれる!(レッスン中は、間違えると先生からのストップが入る)

人によっては、「かわいいドレスを着れる」や「お友達に会える」なども加わるでしょうか。


もし、今この記事を読んでいる方で、出演を迷っている発表会がありましたら、私としては是非出演してほしいです。
1度だけでもかまわないので、その1回を経験してみて欲しいです。

どうしても調整の利かない「時間」の問題や、「金銭」にかかわる問題でしたら、アドバイスすることが叶いませんが・・・。
「恥ずかしいから」「ちゃんと弾けないから」そうした思いから出演を見送っているのでしたら、勿体ない!と思います。

「完璧に」弾く必要なんてないんです。
「頑張ったから聞いて聞いてー!あっ失敗しちゃった、ごめんちゃい」
くらいの軽いノリで、参加してみて欲しいです。
そしてもし間違わずに弾けたなら、自分を褒めてあげてください。

ミスをしても最後まで弾ききった、その場での頑張り。
ミスをすることがない程に重ねてきた日々の努力。
ステージに立つ、という未知の経験、緊張と戦った時間。
私は、そのどれもが誇るべきもの、褒められるものであると思います。


発表会。
舞台に立っている間だけは、あなただけのステージ。
贅沢な環境を是非味わってみてください。
そして楽しかったなら、是非また次回の発表会も参加してみてください♪♪

まとめ

1. 難易度は初級(バイエル終了程度)
2. 速く弾くのではなく、可愛らしく元気に。
3. 苦手なところはバラして挑戦
4. 最後まで、操られることなく弾けましたか?
5. 発表会って楽しいですよ。迷っているならぜひ1度チャレンジを。


時には自分自身で自分の感情さえもあやつって。
そして指先も気ままにあやつって。
あなただけの人形たちをおどらせてみてください。



「あやつり人形(マリオネット)」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1884年にロッテンバッハ社から出版されたパブリックドメインの楽譜です。

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