子ども向けのコンサートで必ずといっていいほど使われる曲です。
筆者がこの曲を弾くと、聴いている人が自然と口ずさんだり、身体を動かしたりしてくれます。

保育士さんや幼稚園の先生は、練習したりすることもあるのではないのでしょうか。
今回は、子どもの前で弾いてきた経験をもとに、ピアノ歴21年の私が、演奏を深めるために、この曲の魅力をご紹介し、その表現について探っていきたいと思います。

山を歩いた曲


まず、この曲がもちいられた映画は、みなさんご存じ宮崎駿監督「となりのトトロ」です。
しかし、この曲の作詞者が絵本「ぐりとぐら」等でもお馴染みの中川李枝子さんということを知らない方は多いのではないのでしょうか。

絵本「いやいやえん」が好きだった宮崎駿監督が、楽曲の詞を書いてもらうよう頼んだということです。

福島県の山を歩いていた経験を歌詞にしたと言われています。
筆者が、0歳から9歳頃の子どもがあるくのに合せて演奏することが多い曲でした。
覚えやすい歌詞なので、歩きながら口ずさめるところが魅力ですね。

曲の全体像の動画はこちら


(動画とこの楽譜は上級アレンジです)

「さんぽ」難易度

この曲自体は、小学校の教科書に載っている程、比較的易しいものだと思います。
特に、C調を基調としており、臨時記号も中間部の『トンネル』部分のラのフラットのみです。
歌いだしの部分で、一番のみであれば、バイエル程度の実力で両手の演奏ができるでしょう。

ただし、原曲で曲の前奏や転調も含むとなるとソナタ程度の実力が必要でしょう。
色々な場で弾かれる方の需要も多いために、左手の伴奏がベースの一音のみといった編曲がされているものもあり、難易度はアレンジにもよるでしょう。
そういった点では、楽譜選びも重要になってきます。

どんな弾き方がいいの?~推進力編~

それでは、曲の理解も深まったところで、具体的な弾き方のコツを3つご紹介します。
今回は、歩きやすい演奏をするために、①、②で初心者の方が向け、③では、原曲をすべて弾く方向けの弾き方をご紹介します。

① テンポを一定に保つ

曲としてのまとまりをつくるためにもメトロノームを使用し、4拍のカウントが均等になるように音を出せるようにしましょう。

聴いているひとが歩けるようにするために、足を出すタイミングが予測できる方が、聴いている人のノリがよくなります。
これはどの楽曲でも言える基本的なことですが、メトロノームを使って練習することは、ぜひ取り入れていただけたらと思います。

② 裏拍を意識する

人が歩くときには、足を下に踏んだら次は上にあげるように、音楽もまた、動的な動きを表現する際には、裏を感じることが重要です。

『あーるーこーう』とベタベタに弾くのではなく、『あ る こ う』の空白部分に軽く間があると感じてみてください。
例えてみれば、スキップをしているように弾くとよいと思います。

すると、軽く、明るい演奏になりやすいですよ。

また、もしできるのであれば、『あ る こ う』のそれぞれの空白の間に、裏打ちを二つの和音で弾くと次の音の前に足を出しやすくなるため、歩きやすい演奏になりますよ。

フレーズの中に入れ込むことが難しいようであれば、ひとつの大きなフレーズが終わった後のばしている音がある時や休符がつづいている部分のみに裏打ちを入れることもできます。

リトミックのように人が動く音楽は、ベースの拍打ちと音の出し方の安定とフレーズ感が大切ですが、それに加えて裏のリズムを打ち込むことで、リズムの乗り方が鮮明になり、聴いている人が動く手がかりが増えるので、できるかぎり裏打ちをいれてあげることをおすすめします。

③ 三連符で全体のカウントをとる

楽譜の表記では、4拍子ですが、前奏で3連符のメロディーになっています。
これが、曲の上質さをあげているといっても過言ではありません。

この三連符で、ヨーロッパの行進曲の印象を創り出しており、それが、この曲にマーチのような明るさを帯びさせているのです。

これを曲の全体にも、弾く人のカウントの取り方、いわゆるノリとして取り入れることで、途中の付点、四分音符との兼ね合いもスムーズになり、全体のまとまりが極めて容易になります。
『さんぽ』という曲名に相応しく、歩くことの楽しさが引き出されるでしょう。

歩くことの楽しさがつまった作品『さんぽ』。弾く人も聴く人も童心にかえった動きのある楽しさを感じられるような音楽にしてみてくださいね♪



「さんぽ」のアレンジ譜

 ピアノ曲の記事一覧