ピアノ学習者なら一度は耳にしたことがある教本 ハノン。
その中の39番にあたるのがスケール(音階)です。

ピアノを学習する上でとても重要なスケール。
音大のピアノ科の試験にはもちろんのこと、ピアノ以外の楽器を専門にしていても副科ピアノの試験で必ずと言っていいほど必要な、とても重要なものです。

逆に言えば、スケールを上手く弾けない人は残念ながらピアノの演奏もその程度・・・と見られても仕方がないくらい基礎力を試されるものと思ってもらってもいいでしょう。

では、どうやったらスケールが上達するか、
練習方法を4つにまとめてみましたので、ひとつずつ詳しく解説していきましょう。

・・・とその前に、ハノンって?

ピアノの教本というのは、作曲者の名前がついているのをご存知ですか?
そう、ハノンという教本もハノンさんが作った教本なのです。
バイエルはバイエルさんが、ブルグミュラーはブルグミュラーさんが作った教本です。

で、このハノンさんが作った教本ハノン、どういう教本かと言いますと、1~60番からなるピアノ演奏に必要な指の鍛錬をするひたすらメカニックな本です。

機械的に指を動かすだけ。

好き嫌いがバッサリ分かれるところですね。

でも私はこのハノンがめちゃめちゃ好きだった!!
だって弾くだけでどんどん指が強くなって速く動くんですもん!!
そりゃーもう魔法にかかったように!!

それもそのはず。

ハノンさんはピアノの名教師。
「生徒たちがピアノを上手く演奏するには・・・」
と日々ずーっと考え続けて考え続けて考え続けて考え続けて・・・・
そうして生まれたのがこの教本なのです。

ハノン先生の生徒への愛情いっぱい、愛の鞭いっぱいなこの教本をやれば、上達への近道となるように作られているんだから、上達しないわけがない。

もちろんただ弾けばいいってもんではありません。
一音一音はっきりと音が出るように指をそれぞれ独立させ、手首に無駄な力が入らないよう常に柔らかく、ひとつずつの音がクリアに響くよう指の力をしっかりと感じながら練習します。

39番のスケールに入る前に、せめて1~20番だけでも習得しておくのが良いでしょう。

練習方法その1 全ての音をしっかりと弾いてみる

では実際にスケールをどのように練習するか。

スケールはハ長調とイ短調の平行調のセットから始まり、フラットひとつのヘ長調とニ短調、フラットふたつの変ロ長調とト短調・・・と続いていき、24の調全て網羅していきます。

まずは一番簡単なハ長調から始めましょう。

最初はとにかく全ての音をしっかりと弾いてみる!
これに尽きます。

たいてい薬指や小指は弱いもの。
でも指が弱いからといって弱い音じゃお話になりません。
全部が均等に聴こえるようになるまで、しっかりと指を動かして、ゆっくりで良いのでクリアな音が出るようにしましょう。

間違っても、指ぴーん!とか、手首ガッチガチな下手くそ弾きにならないように!!

何でも最初が肝心です。
一音弾いたら手首は脱力、また次の一音弾いたら手首脱力・・・と、超スローモーションで構いませんのでじっくりと取り組みましょう。

練習方法その2 指くぐりで止めてみる

さて、一音ずつしっかり弾けたら、書いてある通りの指使いでドレミファソラシドと弾いてみましょう。
出来るだけスムーズに。
スラーをつけて。

どうですか?

ここで「おぉ!美しい!」と思えたらハ長調はほぼ攻略と言っても過言ではありません。

しかーし!

たかがドレミファソラシド、されどドレミファソラシド。
いきなり美しいドレミファソラシドを弾ける人はあまりいません。

それは指くぐりが上手く出来ていないから。

スケールが上手く弾けない人の9割が指くぐりが下手と言い切れます。
そのくらいスケールを手中にする上で指くぐりが重要なポイントとなってきます。

指くぐりというのは1→2→3→1など、指の下に親指をくぐらせて次の音に進むテクニックです。
親指が素早くくぐれるとスムーズに音運びが出来ます。

自分の弾くドレミファソラシドをよーく聴いてみてください。
指くぐった後の親指の音が「ドン!!」ってまるで落とし穴に落っこちたみたいに無様な音になってませんか?
ハ長調で言えば「ファ」の部分です。

親指ってただでさえ太くて強い指。
ほっといたら親指が登場した時だけ大きな音になって、スケールがデコボコに聴こえてしまいます。

そこで、親指が出てくる度に止める練習をしてください。

ドレミファ、ドレミファソラシド
周りの音と綺麗に並ぶように、親指は少し内側に向けて打鍵しましょう。
そうすると爆撃みたいな音の親指にならずに済みます。
それが出来たら徐々に音を増やしていきます。
増やしていっても親指が出てくる度に止めて綺麗な音かどうかよく聴きましょう。

この一見面倒くさい細かい練習が出来るか否かによってスケールの出来栄えがグーンと変わってきます!
頑張りどころですよ!!


ちなみに、高音から降りてくる時は皆さんそれほど苦労されないようです。
親指の上を長い指がまたいでいくので、下から親指がくぐるのに比べると弾きやすいのかもしれませんね。

練習方法その3 メトロノームを合わせる

均等に美しく音が整列したら、メトロノームの出番です!

けっこう見落とされがちなのは、スケールは4分の2拍子だということ。
ただの音の羅列じゃありません!(ここ重要)
16分音符4つでひとかたまりなんです。
「ドレミファ」で1拍
「ソラシド」で1拍
その次は「レミファソ」「ラシドレ」という風に拍を感じながら弾きましょう。

そして忘れてはならないのが片手練習!!

え?そんなのしなくても両手弾けるし。

とか思っちゃった人、それ幻想ですから!!

右利きの人の場合、絶対左手は右手より劣っています。
テンポ、指のコントロール、指くぐりのスムーズさ、右手をお手本に同じくらい美しく弾けるようになるまでメトロノームを付けて左手だけの練習をしましょう。

左手は右手の5倍練習する!!
と心に刻んでください。


練習方法その4 リズム変奏する

スタッカート、スラー、ノンレガート、その他にも付点のリズムやスラーとスタッカート織り交ぜたリズムなど様々なリズムに変えて練習してみましょう。

この練習をすることによって手首が柔らかくなります。
そうすると無駄な力が入らず、よりいっそうのテンポアップが望めたり、指先が自在に動くようになる感覚がわかってくると思います。

どんなリズムに変奏したらいいかわからない場合は、ハノンの最初の方に「1番の変奏の例」というページがあります。
これを参考にしましょう。

まとめ

とにかくスケールは
1 まずは音を均等に
2 次に指くぐりの攻略
3 メトロノーム
4 リズム変奏
この4つの練習を積み重ねることで、ビックリするほどあっという間に効果が出ます。

ピアノ上達の道は何通りもあります。
先生のやり方によっても練習法は千差万別。
でも、私は上記の4つを毎日やることによって、亀並みだった指が一気にうさぎへと変貌したかのような錯覚を覚えるくらい、指の自由度が格段にアップしました。
生徒達にレッスンをしていても、スケールをしっかり弾けるようになると、フォームも指先のコントロールも良くなる方が多いです。

正しい練習方法でスケールの練習をして、ピアノ演奏の上達速度を加速しましょう!!


「ハノン(60の練習曲によるヴィルトゥオーゾ・ピアニスト)」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    1900年にシャーマー社から出版された楽譜です。39番は51ページからになります。

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