映画と演劇。どちらが好きですか?
私は、どちらも大好きです!
長いこと演劇に携わってきまして、映画も、演劇も、数え切れないほど観に行っているのですが、重大な悩みが一つ!
私はストーリーがとても苦手なんです。(すぐ分からなくなってしまうんです!)
誰かと映画の話をしたくても、「誰々はどうで、あの設定はこうで・・・」という話についていけず、自分は全くもってダメなんじゃないか?と思ってました。
そんな私が、「分からないことは全然ダメなことじゃない」と思えるようになったきっかけを、そのきっかけの一つでもある「演劇」を通して、ご紹介したいと思います!
映画と演劇って何が違うの?
映画と演劇では、映画を観る人の方が間違いなく多いはず。(ですよね?)
演劇は身近じゃないし、値段がめっちゃ高いし。
(「なまもの」だから高いんです!)
「その日、その場所」に、
「スタッフ、役者、お客さん」が揃って
はじめて、成り立つわけです。
(映画みたいに「全国ロードショー」があったら良いのに・・・)
もう客席の空気が違います。
だって、咳払いも、笑い声も、みんな舞台上に届いちゃうんですよ!?
これは緊張します。お客さん一人ひとりの気配がすごいです。
演劇は体験するもの!
お静かに。。。
会場に流れている音楽が高まると同時に、客席が暗くなり始めたら、いよいよ演劇の始まりです。完全に真っ暗になって(暗転といいます)、再び明かりが点いたとき(明転)、別世界が広がっていきます。子供のようにドキドキする瞬間。。。
あ、演劇って、、、「うそ」じゃないですか?
すごい舞台セット(アパートの一室だとか、古代の神殿だとか)を建てても、
境い目見えてるし、非常灯あるし、みたいな。
映画は、「ほんとう」っぽいですよね。
カメラの「フレーム」があるので、「実際のリアルな映像」に見えますよ。
舞台だと、ベンチが一つだけとか。
良く分からない形のものとか。笑
それを、「照明さん」、「音響さん」、「役者さん」などなど、
「ほんとうにその場にあるもの」を駆使して、
「ほんとう」にしていくわけです。
だから、どんなにストーリーがつまらなくても(あ、言っちゃった)
舞台のエネルギーとか、役者さんの熱量とかが、「ほんもの」であればあるほど、
「まぶしいもの」はまぶしいし、「熱いもの」は熱い!
キャンプファイヤーを思い出してみてください。
(次から次へと役者さんが登場するように)薪がどんどんくべられて、火の勢いが強まると、空気が変わります。
みんなの顔に、真っ赤な炎が反射して、ぶわっと熱風が巻き起こる。
ドキドキするでしょ!?
ストーリーがなくても、なぜ火を燃やすのか分からなくても。笑
もちろん、ストーリーあってこそなんですが、
なんていうか、役者さんの体を通して、「電気」みたいなものが、流れてくるんですよ!ほんとに。
映画は見るもの!
演劇を、「肌」で感じてみて思ったのは、
映画は、やっぱり「見るもの」なんだということです。
演劇は、どこを見ていても怒られないですが、
映画だと、カメラの「フレーム」から出られないので、ぱっと、どこか遠い場所に移動しても、突然アップになっても、この「目線」についていって、よく見なきゃいけない。
あ、映画は、「ほんとう」っぽいと言いましたが、実は半分「うそ」でした。
だって、構図を決めて、照明を当てて、フィルターをかけて、カメラで切り取るんですよ!?
その切り取った「カット」をつなげて、一つの場面にするんですから、
実際の映像だけども、現実じゃあない!
例えば、「犬が逃げるカット」と、「男の子が泣いているカット」があったとしまして、
大事な犬が逃げちゃったのか、、、ただ噛まれただけなのか、、、
「カット」が増えて、「カット」と「カット」の関係が強まると、ストーリーは、はっきりしてきます。
でも、現実じゃあない!
そこに見えているのは、「犬が逃げていて」、「男の子が泣いている」ことなんです。
「犬」と「男の子」は関係ないんです!
ストーリーが苦手な人へ
私は相変わらず、ストーリーが苦手なままですが、
「画面の奥へ、犬が逃げていくのが良かった!」とか、
「男の子が泣いていて驚いた!」とか、
そんな風に感じてもダメじゃないってことに、ようやく気付いたんです。
演劇を肌で感じるのも、映画をただ見るのも、
よく考えたら、こどもの頃にやっていたことでした。
最近、まだ字が読めない姪っ子に絵本をあげたんですが、なんと、絵すら見ない!
楽しそうに、ずーっとページをパラパラとめくってました。笑
「良いストーリー」ってむずかしいですね。
それはそのまんま「良い人生」というのと同じぐらいよく分からないもので、
ただひたすら、「良い瞬間」があるだけなんじゃないかと、思ってます。