さまざまな音楽シーンで必ずといっていいほど耳にする楽器トランペット。その華やかな音色はジャズやクラシックばかりではなく、祝祭のファンファーレなどでは雰囲気を盛り上げるための重要な役割を果たします。それだけでなく野球応援や軍隊の信号ラッパ、世界の終わりを告げるラッパがあるかと思えば日曜日には「笑点」のテーマで大活躍です^^
トランペットという楽器ほど広いジャンルで活躍している楽器は他にないのではないでしょうか。そしてプロのミュージシャンからアマチュアまで老若男女問わず、吹いている人も非常に多い楽器と言えます。そんな私もラッパ吹きのひとりです。
小学校低学年の子から中学高校生など指導をしたことがありますが、じつに個人によってすぐ吹ける子、中々吹けない子、予想だにしない発想で吹く子、千差万別でした。それらの経験から私なりのトランペットの吹き方を書きたいと思います。
■ 目次
どうやって音を出すの??
トランペットを触ったことがない人が始めて吹こうと手に持ったとき、必ず二つのことを聞かれます。これどうやって音出すの?息入れても音でないよ
ボタン三つしかないやんけ!どうやって音階吹くねん!!
誰もが初心者ならではの質問を投げかけます。幼稚園や小学生の子が聞いてくると可愛らしくて、「こうやるんだよー^^」と教えてあげます。微笑ましいです。だがしかし!!私は強く思うのです。この二つの初心者ならではの疑問、じつはトランペット吹きが一生追い求める永遠の課題なのではないかと。
構造は単純です!!
トランペットという楽器はほぼすべて金属でできています。真鍮と亜鉛と銅をまぜたもの、簡単に言ってしまえば家の鍵等と大体同じです。構造も簡単。パイプがあって一方にメガホンみたいなのがあって、もう一方に口をつけて吹く所があります。途中三つの弁を変えるピストンがあります。これだけです!!別の機会で詳しく解説しますが、お手入れも簡単。動く所に錆びないようにオイルを注すことと、金属製なのでぶつけて曲げないように注意する。これだけです。
まずは吹いてみよう
ほかにも色々細かいことはありますが、何よりもまず音を出してみましょう!!マウスピースという吹き口を楽器につけて、左手で楽器本体をグワシ!!としっかり持ち右手は三つのピストンに添えて。そしてテレビなどで見かけるように息を吹き入れて見ましょう!!ようこそトランペットの世界へ^^
しかし・・・・きっとほとんどの人はスカーと空気の抜ける音だけが聞こえると思います・・・
そうなんです、トランペットは笛のように息を入れただけでは音にならないのです。ではどうやって音を出すのでしょう?
答えは、「唇をブーッと鳴らして音を出します」マウスピースを口につけてそのマウスピースの中で唇を鳴らします。つまり唇が振動して音になるのです。これが最も基本となります。さあ、それではやってみましょう。
すぐに音が出せる人、なかなか出せない人、思いっきり力を入れれば出る人、おならが出る人、個人差はありますがまずは難しいことは考えなくて大丈夫。色々工夫したら音が出た!!という達成感を感じて楽しいと感じられればそれでOKです!純粋に音が出た!ということを楽しんで欲しいです。
唇のセットに注意しましょう。
注意・この最初のマウスピースのセットの仕方は最も重要です!!この最初が今後の上達に大きく影響します。さて、ここからが大切です。何度か吹いていると少しずつ音が出せるようになってくると思います。ここで二点注意することがあります。
① 唇は上下まっすぐそろえて、そして軽く閉じてマウスピースを当ててください。

図の真ん中のように唇の中側を突き出して吹くのはやめましょう。また右のように上唇を下唇に重ねるのもよくありません。これらは音が簡単に出るような気はしますが正しいセットではありません。例えるなら箸を持って食事をするとき、二本の箸をグーで握ったほうが使いやすいからずっとそれでやる、というのと同じで、どこかで限界が来ます。
正しくないセットで吹き続けてそれに慣れてしまうと、あとで矯正するのが難しくなります。私自身も長年唇を重ねるセット(右)で吹いて、直すのに何年もかかりました。音は汚いし高い音も出しにくい!しかもこれマウスピースが下を向くので下唇がめり込んでメチャクチャ痛くなります。
② マウスピースの唇に対する上下の位置は、唇の赤い部分が出ないように。マウスピースの円の中に唇の赤い部分をおさめます。(左)

マウスピースの円が唇の真ん中かそれより上になるようにセットします。最初に吹く多くの人は下にセットしがちです。また吹いていて疲れてくると図の真ん中のように下に下がってくることがあります。後にも述べますがこうなったら休憩しましょう。個人差によって唇が厚い人もいますが基本的には真ん中かそれより少し上の位置にセットしましょう。
理由は、下唇でマウスピースを支え、上唇を多く振動させることが良い音を出すための大きな秘訣だからです!!!
かつて私も真ん中の図のように下の位置で吹いていて中々うまく吹けませんでした。真ん中か上くらいにセットしてみると劇的に吹けるようになる、、、かもしれません。(私は劇的に変化しました)私のトランペットの師匠は「上にセットして、マウスピース内は唇たっぷり」と表現しておられました。
そして左右の位置は上下ほどこだわる必要はありませんが真ん中がいいでしょう。真ん中から数ミリずれたりするのは問題ありません。
図の右のセットは唇の中側を突き出したものです。これは例外なくダメです。真ん中の唇セットが(×)なのはこの吹き方でも世界的なトランペット奏者がいるからで、必ずしも×ではないからです。詳しくは次で↓
“自分の吹きやすいやりかたで”ということについて
トランペットの吹き方ということに関してはこれまでに信用できるものもそうでないものも含め、たくさんの教本やウェブサイトなどで色々な人が解説しています。私もその色々な人たちの一人であるわけですが、たくさんの情報に惑わされずに自分にあったやり方を実際にやってみて見出すことが上達のコツではないかと思います。とくによく言われるのは、自分が楽に吹けるやり方でやりましょう、という言葉です。正しい言葉だとは思いますが、しかしそれは特に初心者の人にとっては中々わからない言葉だと思います。ある意味、自己責任で自分の好きなように吹いてネ。私は責任を負いません、といっているように私には思うのです。
世界的に有名なトランペット奏者でも極端に楽器を下にむけてかまえたり、マウスピースの位置をかなり下にセットしている奏者もたくさんいます。セルゲイ・ナカリャコフやウィントン・マルサリス等々。全体的に見れば少数派ですがなぜ普通ではない奏法であれだけの演奏ができるのか?
私が思うに彼らはそれが自分にとって正しい、楽に吹ける吹き方であることに気づけたからだと思います。
つまり練習を通して感覚で自分の身体の特徴を熟知し、基本を踏まえたうえでさらに自分にとって効率のいいやり方を実践できた、という点があの演奏を形作ったと思うのです。
スタートが最も大切
トランペットは一番最初に正しいやり方でスタートすることが非常に大切です。極端に言ってしまうとどんなセットでも一応音は出ます。しかし自分流のやり方ですぐ音が出せてそのまま上達できたなら大いにOKですが、まずは基本的なマウスピースの位置のセットでスタートしましょう。その上で自分にあった奏法を身につけるべきです。私自身がそれを怠って苦労したので・・・・。

とりあえず“ソ”の音を出そう!
さて、熱く語ってしまいましたが話を戻して。さっきの二つの大切なポイントを踏まえた上でドレミファソのソを出してみましょう。・唇は上下まっすぐに。
・マウスピースは唇の真ん中かそれより少し上
“ソ”はピストンは押しません。このとき無理に力を入れないようにしてください。音を出す、ではなく息を入れたら音が出ちゃった!という感覚で出すのがコツです。自然に唇が振動して音が出るまで待ちましょう。トランペットはどうしても息をたくさん使うと思われている人が多いですが違います。息は強くではなくため息くらいの自然な強さで。たとえ音が出なくても唇のセットは変えないように。
・無理矢理吹かず自然に音が出るのを待つ。
・息も強く入れすぎない。ため息程度。
“ソ”が難しいようならその下の“ド”でもOKです。トランペットは同じ指使いでいくつかの音が出せるのです。これを組み合わせて音階が吹けるのです。音階についてはまた別の記事にて説明しますので乞うご期待です!
ロングトーン、そして休憩へ!!
ソかドの音が大体確実に出せるようになってきたらいよいよ本格的にトランペット奏者への第一歩として、ロングトーンの練習に入りましょう。ロングトーンとは色々やり方はありますが基本的にひとつの音を安定して長く吹く練習です。不要という人もいますが、トランペットに限らず管楽器の最も基本的なトレーニングです。ロングトーンは自分の頭の中で拍を数えてやるのもいいですが、メトロノームを使用しての練習をお勧めします。四拍吹いて四拍休む、あるいは八拍吹いて二拍休む等色々なやり方があります。ここでは簡単に説明しましたが詳しくは別の機会にご紹介しましょう。
そしてもうひとつ大切なこと。それは「疲れたら休憩する」です。トランペットは唇の、普段の生活では決して使わない筋肉を使います。気合と根性で吹くのは筋肉を傷めてしまい上達どころか逆に吹けなくなってしまいます。こんなに頑張って練習してるのに~(T_T)となってしまいます。私のように。
適度にサボりましょう^^
ただし例外があります。野球応援で吹くときは選手と一体となって気合と根性でいきましょう~^^♪

はじめのうちは中々思うように音は出ないと思います。しかし根気よく練習と休憩を続けていると必ず段々音が出しやすくなってくることに気づくことでしょう。根気よく続ければ他の楽器では味わえない楽しさがトランペットにはあるのです。どんな楽しみ?それは上達してからのお楽しみです!^^
今回は最も基本的な音の出し方をご紹介しました。最初のマウスピースのセットの仕方がラッパ人生の命運を大きく分ける、といっても過言ではないと私は強く感じます。初心者の方はもちろん、長年楽器から離れていて改めて一から練習しようとされる方にもお役に立てれば幸いです。
分かり易い解説で嬉しいです。ペットを手にして4日。音らしいものが出ていません。すーすーといった感じです。唇が振動するということが実感できないです。ブルブルは出来ますが。
これとは違いますよね。他の指導者の動画を見ていますが、超初心者の人の参考になるものは殆どありません。根気よくふいていると自然に音が出た!となるのはいつのことでしょうか。
サックスを吹いて10ケ月。「ひまわり」に挑戦中です。
はじめまして!コメントありがとうございます。
ラッパーを始めて4日目ということはお正月デビューですね!素晴らしいです。
トランペットはなんと言っても「音そのものを出す」ただそれだけの事が最初の壁になりますね。
とりあえずどんな音でも出してしまえばこっちのもの。まずは強引にでも楽器に音を出させて、鳴っている感じを体験してから自然な音の出し方を身につけるのもいいかもしれません。
まずは唇でオナラを出してみましょう。新年早々何を言ってんじゃい!!と思われるかもしれません^ ^「ブー!!」と唇を鳴らすと頬っぺたに力が入ると思います。この力具合が音を出すコツになります。
ちなみに「プー!」でもOKです!
次にその感覚でマウスピースに口をつけて、マウスピースの中で「ブー!」とやらかすと音が出ます。
もしかすると一発でいい音が出るかもしれません。出たら今年の運勢は大吉でしょう。
上下の唇を力を抜いて全体的にふるわすと「プルプルー!」となりますがこれだと音は出ず、面白い人と思われます。でもこの方法は口の周りが疲れた時のリラックスに役に立ちます。そう!全てのものには意味があるのです。多分。
これでまずは楽器が鳴っている状態を覚えてからリラックスした自然な音を求めていく、というやり方もアリと思います。
いかがでしょう、ご参考になれば幸いです^ ^