ヤマハなどの楽器店に行くと楽譜売り場には楽譜だけでなく、本も一緒に売られていることが多いと思います。一緒に売られている本にも目を向けてみて下さい。面白い本に出合うことができるかもしれません。

クラシック関係の本というのはとてもたくさんありますが、最近ではこれまであまり書かれることがなかったようなことがテーマとして取り上げられているものがあり、とても面白いなと思います。

これまでのクラシック関係の本というと、音楽史についてや作曲家のこと、作品の解釈や細かい分析などが書かれている専門書が多く、知識がない人が読んだとしたらきっと理解は難しいだろうなという内容や文章が多かったような気がします。(私が知らないだけかもしれませんが…)

専門的に学んでいる人だけでなく、趣味で音楽を楽しんでいる人にも楽しんで読んでもらえるような本が最近は増えているなと私は感じます。

今回は私が実際に読んでみてピアノの演奏に役立つなと感じた本や面白かった本、おすすめしたい本について書いていきたいと思います。

とても読みやすい!おすすめの本!


この本は実は以前、シューベルト「即興曲」の記事の中でご紹介したことがあるのですが、とても読みやすくわかりやすいと私は思いましたので、もう1度ご紹介します。

1冊でわかるポケット教養シリーズの「吉松隆の調性で読み解くクラシック」



この本はスラスラ読める!そして文章がとにかく読みやすい!!

多分知識がなくてもある程度は理解できるのではないかと思います。難しく書こうと思えばいくらでも書ける内容を知識がそれ程ない人にも理解できるように言葉を選んで書かれています。

全てを網羅していて専門的に書かれている本とは言えないかもしれませんが、楽器から調性を考えたり、科学的に調性を見たりしていて、調性に特化した内容になっています。

私は同じシリーズの「和声法がさくさく理解できる本」というのも購入して読んでみましたが、こちらは読みやすいとまでは言えないかなぁという感じでした。



和声法という内容そのものが難しいので、それをわかりやすく書けというのはなかなか難しいのだと思います。しかし、和声法を学ぶ教科書的な本なんかよりは何十倍も読みやすく、理解しやすいと思いますので、興味がある方は読んでみて下さいね。

このシリーズには他にもクラシックや音楽に関する本が多く出ています。

https://www.ymm.co.jp/feature/pocket.php

どうですか?興味をそそられませんか?

どの本もクラシック音楽というものを単なる音楽の歴史としてうわべだけで捉えるのではなく、調性から見たり、形式から見たりと色んな角度から見ようとするその視点がとても面白いなと私は思いました。

より良い演奏のために読む本!


ピアノを上手になるためには、まずはピアノを弾いて練習することが1番です。しかしそれだけが全てではないように思います。

子供には難しいと思いますが、ある程度の年齢から大人の場合は本からも知識を得て、それをピアノの演奏に活かすことができると思います。演奏に関連する本というのはたくさん出版されています。

このような本は「より良い演奏をするためにはどうしたらいいのか」、「自分の弾き方を見直したい」、「色んな音色をもっと出せるようにするにはどうしたらいいのか」などの悩みを解決する糸口になってくれると思います。

コロナのために緊急事態宣言が出されたのを受けて私のピアノ教室も休講しました。その自粛期間中はたくさん時間があったので、自分のピアノの弾き方についてじっくり考える期間にしました。

それよりも前から自分の弾き方を少しずつ変えてはいたのですが、時間をたっぷり使うことができるこの期間にもっとしっかりと自分自身の弾き方を見つめ直し、より良い演奏のために何を改善していけばいいのかを考えました。

その時に読んでいた本がとても参考になったので2冊ご紹介したいと思います。

「ジョセフ・レヴィーン ピアノ奏法の基礎」



この本は初版発行が1981年なのですが、現在も発行されていて購入することができます。

とても薄い本ですが、手の形についてやどのように弾いたら柔らかい音を出すことができて、どのように弾いたら硬い音になるのかなどがとてもわかりやすく書かれています。

以前の私は基本的に指先で弾くことが多かったので硬い音になりがちでした。(指の腹で弾くことももちろんありましたが、それは音量を落としたかったり、曲想を変えたかったりしたときにだけ弾き方を変えていました。)

硬い音色を何とか改善しようと指の腹で弾くのに慣れようと頑張った時期があります。指の腹で弾く方が柔らかい音が出るのでとにかく指先で弾かないようにしたのです。

しかし、指の腹で弾くことにしか重点を置いていなかったので、柔らかい音というよりはのっぺりとした弱々しい音にしかなりませんでした。

指を寝かせて弾いているのにしっかりとした音を出せている人は多くいます。自分と何が違うのか?手の大きさか?骨格の違いか?なんて思っていました。

指を寝かせて弾く時に私は指を鍵盤と平行になるようにしていました。それだと第3関節がほぼ出ない状態になってしまうので、指先の方に力が伝わりにくいのです。この状態でしっかり弾こうとすると指を高く上げて振り下ろさなくてはいけなので、自然な弾き方をしているとは言えません。

「ピアノ奏法の基礎」を読んだときに間違っていたことに気づきました。指を寝かせて弾くということ自体は間違っていないのですが、第3関節の支えがあった上で指の腹が鍵盤にあたるような形にするのが正しい手の形なのだということを学びました。

このようにして弾くと手が自然な形になりました。この形で弾くと無駄な力を使うことなく弾けるような感じがしました。

今現在「余計な力を使わないでもっと自然に楽に弾く」というのと「もっといろんな音色を出せるようにする」を目標にしているのですが、この本は色んなことを気づかせてくれました。

指先で弾くことは昔の弾き方で、ダメなことだと思い込んでいましたが、指先で弾くことが全て悪いわけではなく、曲によって、または部分によって硬い音が欲しいのなら指先で弾いた方が相応しい音が出せるということだってあるんだということに気づかせてくれました。

場合によって使い分けるのでいいんだよと言ってもらえた気がして少し気が楽になりました。弾き方を全て変えなくてはいけないというのはとても大変なことなのです…。

他にもこの本が参考になりました。

「ピアニストへの基礎」



さきほどの本は具体的な練習方法というのは書かれていないのですが、こちらの本は実際にどのような練習をしたらいいのかということが書かれています。この弾き方にはこの練習方法をしたらいいというように、具体的なことがこと細かに書かれています。

たくさんの練習方法が紹介されていますので全てやるのは大変かもしれませんが、気になったものだけでも練習してみるといいのではないでしょうか。

骨や筋肉など自分のからだについて知っておくべき!

以前の私の弾き方は指や腕だけで頑張って弾いてしまっていて、指や腕に負担がかかっていました。音量のいる曲では体重をかけるようにからだを多少使って弾いてはいましたが、ほぼからだを使えていない状態でした。

肩甲骨から弾くように意識すると楽に弾けるようになると聞いたことがあったのですが、肩甲骨というものに注目したことがあまりなかったので、どうやったらいいのか全くわかりませんでした。

自分の肩甲骨に注目してみると右と左で羽の出方が全く違いました。左は自分で掴めるのに、右はほぼ掴めない。

肩に注目してみると右はかなり内側に入っている状態で、左はそれ程でもありませんでした。元々そういう骨格なのか、だんだんそのようになっていったのかはよくわかりませんが、右側の方が肩こりが酷く、肩甲骨周りも凝っているということだけはわかりました。

他にも人からの指摘で猿腕だということがほんの数カ月前にわかりました。指摘されるまで猿腕が何かも知らなかった…

自分のことが何にも分かっていない…(笑)

真上に手を伸ばした時にまっすぐ伸ばしたつもりでも曲がってしまうのが猿腕の特徴の1つらしいのですが、私の場合左手よりも右手の方が曲がってしまいます。

猿腕で検索するとゴルフや弓道関連のことがたくさん出てきます。このような骨格の違いというのはゴルフや弓道だけなく、ピアノを弾く時にも何かしらの良い影響、悪い影響があるのではないかと思うのですが、今のところそのような記事を見つけられていないのでよくわかりません。

他の人がどのような感覚で弾いているのかということを体感することができれば、自分の弾き方と比べて何がどうちがうのかを理解できるのですが、そのようなことができないので違いは私自身もよくわかっていません。

自分がどんな骨格を持っているかというのは意外と知らない人が多いのではないかと思います。ピアノは指や腕だけで弾くものではなく、からだ(特に上半身)を使って弾くと楽に弾けます。

本を読むことでいろんな知識を得て、肩甲骨周りをほぐす体操などを続けると少しずつからだを使って弾けるようになってきました。確かに前よりも楽だなと感じます。

肩甲骨は重要なポイントなのかもしれません。肩甲骨周りをほぐす体操は本ではわかりにくい部分があったりすると思うので、慣れるまではYouTubeなどの動画を見ながら行うといいかもしれません。

私自身まだまだ改善しなくてはいけない点もありますが、皆さんも今よりも楽に弾く方法を是非学んで欲しいなと思います。その手助けとなるかなと思う本をご紹介します。

「音が変わる!演奏がラクになる!ピアノ骨体操」



ピアノ骨体操というだけあってピアノを演奏するときに必要と思われる体操が載っています。肩甲骨を開く体操や胸を開く体操など、上半身を動かす体操が多いです。特に肩甲骨の体操がおすすめです!

何度かやればすぐに音が変わったり、楽に弾けるようになったりするわけではありませんが、上半身を上手く使えるようになるヒントとなってくれると思います。

他にもこのような本があります。

「ピアニストならだれでも知っておきたい「からだ」のこと」



この本は何年か前に図書館で見つけて借りたのですが、借りたときは現在のように、からだについてあまり興味を持っていなかったので、さらっと読んで返してしまいました…。

へえ~そうなんだぁ~と思った記憶はあるのですが、しっかり内容を覚えていないので、購入してもう1度じっくり読まなくてはと思っている1冊です。

ちゃんとしたご紹介ができなくて申し訳ありません…。

ピアノを弾くことで脳が変わる!?

最近読んで1番面白かったのがこの本です。

「ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム」



タイトルがもう面白くて購入を即決しました。

ピアニストやピアノを弾いている人と、ピアノを弾いたことがない人とでは脳に少し違いがあるようです。ピアニストがピアノを弾く時、脳はどのような状態になっているのか、ピアニストはどうして指をあれほど速く動かすことができるのかなどを科学的に検証しています。

この本はピアノの弾き方など演奏に関してではなく、ピアノを弾いた時の脳の状態がどのようになっているかということに焦点を当てたとても珍しい本です。

実際に音を鳴らしているのは指なのですが、指は脳からの指令に従っているだけで操っているのは脳なんだということを改めて理解しました。

緊張して暗譜が飛んだ時は頭が真っ白になり、脳が一時思考停止状態になります。そのようなときは指も止まってしまいそうですが、実際は指が勝手に動いてくれる場合がとても多いです。それはなぜなのかということについても書かれています。

実際にピアニストに協力してもらい科学的に検証した結果ということなので、とても信頼できる内容だと思います。興味が湧いた方は是非読んでみて下さい!

これから読んでみたい本

「本番に強くなる!」



スポーツ界では選手のメンタルを細やかに見守ってくれたり、メンタルをトレーニングしてくれたりする方がつくことがあるようですが、音楽界ではそのような話はあまり聞きません。

このような本が出始めたということはもしかすると一流ピアニストにはメンタルトレーナーのような方がつくような形になってきているのかもしれませんが、スポーツ界よりはとても遅れていると思います。

暗譜の記事でも書いたのですが、私は緊張しいなので本番になるとどうも上手くいかくなることが多く、ひどく悩んだ時期があります。

本番で上手くいかないのは練習が足りなかったからと自分を責めている人は割と多いのではないでしょうか?

どのような方法で本番に強くさせるのかを読んでみようと思って最近購入しました。まだ読んでいないのですが、読んで実践してみたいと思います。

「音楽家の食卓」



つい最近、知り合いの方に面白い本があるよと紹介して頂いて知りました。

音楽家ではないのですが、似たような内容の本を私は持っていて、とても面白かったので「音楽家の食卓」もとても興味が湧きました!

私が持っている本は画家のフェルメールについて書かれているものです。彼がどんな食事をしていたのか、当時のオランダはどんな感じだったのが書かれています。フェルメールは大好きな画家なのですが、彼が食べていたものやその当時の様子を知ることで、少し身近に感じることができました。



その音楽家版があったとは!少し中身を見せてもらいましたが、美味しそうな料理がたくさん載っていて、作曲家についても載っているし、街並みもカラーで載っていました!絶対手に入れたい1冊です!!食べていたものについてまでは、なかなか知ることはこれまではできなかったので知ることができてとても嬉しいですね!

作曲家が食べていたものや好物だったものを知ったからといって、上手な演奏ができるわけではありませんが、親近感を持つことができればそれまでのイメージを変えてくれるなどの何か良い影響があったりしないかなぁと期待しています。

今回は私がおすすめしたいピアノやクラシック関係の本について書いてきましたがいかがだったでしょうか?ピアノを上手になるにはもちろん練習するのが1番ですが、何か行き詰まりを感じたりしたときはこのようなクラシックやピアノに関係する本を開いてみるとヒントとなるものがあるかもしれません。

たくさん良い本が出ていますので読んでみて下さいね!

まとめ

◆無駄な力を使わないで弾けるようにするには自分の骨格に目を向ける必要がある
◆本から得た知識がより良い演奏への手助けとなることもある



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