スマートフォンが普及するにつれてSNSの利用率も上がり、世界中の方達がいろんな動画や画像を日々発信しています。
これは音楽でも同様でプロの演奏家たちだけでなくアマチュアの方達もYouTubeなどで自分の演奏動画を発信しています。このような演奏動画が多く出回ることは色々と参考になるので私としてはありがたいですね。
皆さんに共感してもらえるかどうかわかりませんが、テレビで放送される演奏会や演奏している映像に私はちょっと不満があるんです。
少し聞いて頂けますか?
何が不満かというと演奏者の顔をやたらと映すということなんです。顔そんなにいります?
どんな人が弾いているかはもうわかっているし、顔は直接演奏に関係ないので映す必要がないと思うのです。それよりも腕やひじの動きをもっと見たいですし、ペダリングを見せてくれるでもいいのですが、もっと演奏にちゃんと視点をおいて見せて欲しいのです。
やたら指ばかり見せているものもありますが、指だけではなくもう少し手首やひじ、腕も見せて頂きたい!!
いいところで顔のアップになったりするとガッカリするんですよね…。ちがう!!見たいのはそこじゃないって…
男性の場合、ジャケットを着ているので腕などの動きがよくわからないということもあるのですが、映してくれていれば分かることもあると思うのです。(前に「題名のない音楽会」という番組で演奏家の筋肉に注目していたものがあって個人的にはとても面白かったです。)
その点、YouTubeなどの動画はすごくいいなと思います。
YouTubeの場合、カットがすごく切り替わるということがそれほどなく、横からのアングルや真上からのアングルなどテレビとはまた違った角度からの映像が多く、腕の動きやひじの使い方、手の動きなどがよくわかるからです。
私の場合、以前はYouTubeの動画を参考にするということはほとんどなく、伴奏などで弾く曲の音楽がどのようなものなのかを聴く程度でしたが、今ではたくさん演奏動画や解説動画があるので参考にしています。
YouTubeなどの動画はスマホで手軽にどこでも見られますし、気になるところを何度も繰り返して見ることができるのでとても便利ですね!
私の不満から始まってしまいましたが、今回はグリッサンドについて書いていきたいと思います。
グリッサンドはクラシック曲にも多く出て来るのですが、YouTubeで話題となり人気となっているピアニストが自分流にアレンジを加えて演奏するときにかなり多くグリッサンドを使用しているような印象を受けます。
グリッサンドを使うと一気に華やかになるので音楽を盛り上げるには効果の高い奏法の1つだと思います。
今回は今話題のピアニストも多用しているグリッサンドについて書いていきたいと思います。
■ 目次
単音のグリッサンドはそこまで難しくない
グリッサンドとはどんな奏法なのかは皆さんもうご存知だとは思いますが、改めて説明すると爪や指で鍵盤を急速に滑らせる奏法のことです。(ピアノの場合)
フランス語のglisser(滑る)が語源とされており、私達が使っているglissando(グリッサンド)という言葉はイタリア語に変換させたものです。
グリッサンドというとピアノをイメージされる方が多いと思いますが、ピアノ以外の楽器もグリッサンドを奏法として取り入れているものがあるので、鍵盤楽器特有の奏法というわけではありません。
グリッサンドはピアノよりもマリンバなどの木琴やハープの方が簡単にできる奏法です。
しかし、ピアノは音域が広くペダルも使用できるためグリッサンドの効果は他の楽器よりも大きな効果を生むのではないかと思います。
グリッサンドは鍵盤を滑らせていく奏法ですが、滑らせる位置は白鍵の場合と黒鍵の場合の2つがあります。そして上行させるか下行させるか、右手で滑らせるのか、左手で滑らせるのかなど色々パターンがあり、曲によって様々です。
白鍵のグリッサンド
*ドビュッシー「ピアノのために プレリュード」(1:00に1回目のグリッサンドあり)
この曲は計5回のグリッサンドがあります。
私はこの曲で初めてグリッサンドをしたので慣れるまでがとても大変でした。5回ともかなりの音域を駆け上がり、しかも盛り上がるために書かれているようなグリッサンドなのでどうしても力んでしまって何度も内出血をしました。
慣れるまでは練習の時に毎回弾いていたら痛かったので鍵盤に指をそわせてカタカタさせて弾いたつもりという感じで弾いていました。
コツを掴むまではやはり痛かったので覚悟を決めて弾くという感じでしたね…。
*プロコフィエフ「ピアノソナタ6番 第1楽章」
(4:54に1回目のグリッサンドがあります。)
この曲は先ほどのドビュッシーよりももっともっとパワーがいります。でもコツを掴んでいたので痛くはなかったです。
グリッサンドを弾くコツを掴んでいたということもありますが、この曲は何かに取り憑かれたようにとにかく夢中になって弾かないといけない(または夢中にさせられる)曲なので、痛くても痛いと感じなかっただけのかもしれません。
◆白鍵グリッサンドの弾き方
私の場合、爪に当たるように弾いています。角度をちゃんと調節しないと内出血したり、切れて血が出たりするので気をつけて下さいね!
【右手:上行の場合】
右手で上行する場合は3、4の指をそろえるようにして2本で弾くことが多いです。
【右手:下行の場合】
右手で下行する場合は2、3の指をそろえるようにして弾いていることが多いです。
1の指で下行する場合もあります。手首を返す暇があまりない場合や次の音にすぐ進むのに手首の角度を元に戻すための時間が取れない場合は1の指で弾く事もあります。
【左手:上行の場合】
左手で上行する場合は2、3の指をそろえるようにして弾いています。
左手は音が跳躍することが多かったり、和音を弾く機会が多かったりするので手首の向きを変えずに弾ける1の指だけで弾くこともあります。
【左手:下行の場合】
左手で下行する場合は3、4の指をそろえるようにして2本で弾きます。
私はやりませんが、爪を使わないで指の腹を使うという弾き方や手のひらを使う弾き方もあります。
ピアノではなく、キーボードなどの鍵盤がかなり軽い楽器は指の腹でなでるように弾くという方法の方が爪で弾くよりもきれいなグリッサンドになるかもしれません。
黒鍵のグリッサンド
ラヴェル「水の戯れ」(2:38に黒鍵のグリッサンドがあります。指の腹で弾いています。)
黒鍵のグリッサンドは白鍵よりもほんの少し難易度が上がります。慣れないと痛いです…。
黒鍵のグリッサンドは指の腹で弾く場合と手の甲側で弾くパターンがあります。
【手の甲側】
手の甲側で弾いた場合、勢いがつきやすいので華やかな音が出るような気がしますが、当たる位置によっては痛いです。
【指の腹側】
指の腹で弾く場合は重めの少しベタっとした音がする気がしますが、こちらの方が痛くないですし弾きやすいです。
黒鍵のグリッサンドの場合は白鍵の時とは違い、爪に当てるのではなく指や指の腹に当てるので白鍵の時よりは痛みがあるかもしれません。
手の甲側で弾く場合も指の腹側で弾く場合も私は指をかなり寝せて指全体を使う感じで弾いています。
指が立った状態で黒鍵を滑らせるとガタガタしてかなり痛いと思いますので2、3、4の指の第2関節が鍵盤に当たるくらいまで(手の甲側で弾く場合は2、3の指)寝せて弾いてみて下さい。それほど痛みもなく弾けると思います。
当たった部分が赤くなったり、皮がほんの少しむけたりということはあるかもしれませんが、流血までにはいたらないと思います。
動画でわかりやすく解説して下さっていますので載せておきますね!
重音になるとグリッサンドは激ムズになる!!!!
重音になると難しさは一気に跳ね上がります。同じタイミングで2つの音が鳴らないといけない重音は単音と違った難しさがあります。重音のグリッサンドのある曲に本格的に挑戦したことがないのですが、やってみるとなかなか滑らせることができなかったり、両方がきちんと鳴らなかったりとかなり難しいです。
重音のグリッサンド(音程は様々)
(6:54から再生されます)先ほどの動画の続きで重音のグリッサンドも解説されています。
重音のグリッサンドは力がちゃんと抜けていないとかなり厳しいですね…。私も参考にして練習してみたいと思います。
【Glissando in quadruple notes】
— Tomoki Sakata 阪田 知樹 (@TomokiSakata) November 29, 2020
New Piano Technic by me😆
【四重音によるグリッサンド】
私が開発した新しいピアノテクニック😆
I.Stravinsky:Trois Mouvements de Pétrouchka 1.Danse russe
I.ストラヴィンスキー:ペトルーシュカからの3楽章 第1曲ロシアの踊り
#気まぐれサカタライブラリー pic.twitter.com/EGfzuAwYQb
こんなことできるんですね…。もう驚きしかないですよ!!
オクターブのグリッサンド
男は黙ってグリッサンドをこう弾く pic.twitter.com/WtAeI7Ro28
— 菊池亮太🎩(Anoatari) (@komuro_metal) December 12, 2020
これは手が大きくないと無理です。私にはできません。
オクターブが弾けるからといって弾けるというものではないと思います。片手では無理でも左右に分けてグリッサンドする事が可能であれば弾けます!
練習曲をたくさん作曲したツェルニーはグリッサンドの練習曲も書いています。60番練習曲の31番は単音、重音、オクターブのグリッサンドが入っています。グリッサンドをする指使いの指定まで書かれています。
内出血や流血しないために必要なこと
グリッサンドは色んなタイプの弾き方があってどれが正解でどれが間違っているということはありません。
単音でも重音でも上行でも下行でもとにかく力を抜いて滑らせるということが大切です。弾き方は色々ありますが力を抜くということが共通することです。
そして指を動かそうと頑張るのではなく腕から動いていくようなイメージで弾くことが大切です。
いきなり鍵盤で弾くと力加減が分からないと思いますので、いきなり弾くのではなくまずは鍵盤の上をカタカタという音が鳴るように爪を当てる練習をしてみると良いのではないでしょうか。
それができたら、ピアノよりも鍵盤が軽いキーボードなどの上で実際に音を出して弾いてみましょう。ピアノで弾く場合はペダルを使って練習をするとあまり頑張って音を出そうとしなくても音が鳴るので力みが少なくできると思います。
YouTubeにはグリッサンドのコツを解説している動画や演奏動画がたくさんあるのでそれらを参考にして少しでも痛くない演奏の仕方を学んでコツを掴んでいって欲しいなと思います。
音楽の場合、言葉だけでの説明はとても難しいです。実際に動画を見る方が勉強になると思います。
動画見る時は、よく観察して下さい。手やピアノの鍵盤ばかりを見るのではなく腕や肩などの使い方にも注目してみると上手く弾くヒントがあると思います。
言われた通りにしているはずなのに、上手くいかない場合はスマホで自分の弾いているところを横から動画に撮ってみると良いと思います。自分の弾き方を客観的に見ることができると、上手弾けている人と違う点がきっと見えて来ます。
これはグリッサンドに限ったことではありません。直接人から教えてもらって学ぶこともたくさんありますが、客観的視点を持つことができれば自分でもある程度の上達やマズい点の修正は可能だと思います。
自分が演奏しているところを録音、録画したことがない方は是非1度試してみて下さいね!
まとめ
◆グリッサンドは弾き方に特に決まりはない◆単音だけでなく、重音、オクターブのグリッサンドもある
◆とにかく力を抜いて鍵盤の上を滑らせるというイメージを忘れないこと