ヴァイオリンは子供用のサイズがあるので、成長に合わせてサイズを変化させられますが、ピアノはサイズを変えられないので弾く人が楽器に合わせるしかありません。

子供用のピアノ、手が小さい人用のピアノなどサイズが色々選べれば良いのですが、そうはいかないのです。そのため小さな子供でも大人と同じピアノを弾かなくてはいけません。

ピアノは指だけで弾くものではなく、腕や手首を使います。上半身だけでなく、足や腰など下半身も使います。特に迫力のいる音が必要な場合は全身を使って弾くといった感じです。

そのため上半身だけに注目するのではなく、下半身も疎かにしてはいけないのです。

小さな子供には迫力のある大きな響く音を要求するということはほとんどないとは思いますが、足できちんと支えるということをしていないとそれが癖になってしまい、のちに苦労するということがあるかもしれません。

癖は自分では中々気づきにくいですし、直すのも大変なので変な癖がつかないようにしなくてはいけません。

前回の記事ではグランド・ピアノとアップライト・ピアノのペダル機能の違いについてやペダルの踏み方について書きました。今回は前の記事の続きのような感じで足元や姿勢に注目して書いていきたいと思います。

■ 目次

私が考えるピアノを弾く時に必要なこと


ピアノを弾く上で注目されているのは指、そして手首、腕など上半身だと思います。足はそんなに大切ではないように思われるかもしれませんが、私はとても大切だと思っています。

私はピアノを教えるだけでなく、ブライダル演奏の仕事もしています。これまで私がお仕事した挙式会場にはピアノが置いてあるということはなく、キーボードか、ピアノと同じタッチで弾ける電子ピアノ、オルガンの場合がほとんどです。

私はこれまでピアノを専攻してきたのでキーボードや電子ピアノは弾けるのですが、足鍵盤を使うオルガンは弾けません。足鍵盤を使った重厚なオルガンらしい演奏はできないので、オルガンの置いてある式場さんには行っていなかったのですが、足鍵盤を使わず手だけでOKなのでオルガンが置いてある式場に行って下さいとお願いされたことがあり、1度だけ足鍵盤を使わずに手だけでオルガンの演奏に挑戦したことがあります。

オルガンに触れること自体が初めてだったので本番を迎える前に操作の仕方や弾き方についてのレッスンを受けました。足鍵盤を使わなくてもいいのだったらオルガンも同じ鍵盤楽器だし何とかなるだろうと考えていたのですが、色々勝手が違って戸惑いました。

ピアノを弾くように足を床につけるようとすると足鍵盤を押さえてしまい音が鳴ってしまいますので、いつものようにしっかり踏みしめることはできません。

慣れればなんてことないのでしょうが、体をどこでどう支えればいいのかがよくわからなくて力ばかりが入ってしまい、レッスンを受けた後すごく疲れたことを覚えています。

力が入ってしまった原因は必要以上に足を浮かせてしまったことなのではないかと思います。そのせいで上半身も上手く動かせない感じになってしまったのではないかと思います。

いつもと違う姿勢で弾くというのは中々難しいんだなということと、足の重要性にも気づきました。足で支えるといってもグッと力を入れて体を支えるためのつっかえ棒のようにするというわけではなく、しっかりと体幹も使って椅子に座るということが大切です。

オルガンやエレクトーンは足でしっかり支えられない分、ピアノよりもより体幹が重要になってくるのかなと思いました。体幹を鍛えるというのはスポーツだけでなく、楽器の演奏にも役立ちそうですね。

以前、私の腕や肩甲骨は左右でかなり違いがあるという話をしたのですが、肩甲骨はがしというストレッチを行うことで改善してきました。最近はウォーキングを日課にしているのですが、ウォーキング中は腕を後ろまでしっかり引くことを意識し、たまに腕をグルグルと大きめに回したり、伸びをしたりしながら姿勢に気をつけて歩いています。これを続けていたら前より自然と姿勢が良くなり、肩こりで頭痛がするということが減りました。

以前は本に書いてあった肩甲骨を使って弾くということがどういうことなのか全くわからなかったのですが、少しわかるようになってきました。そして指や手首、腕だけに頼らず全身を使って弾ける
ようになって来たなと感じます。

力だけに頼らない弾き方が出来てくると今までは出せなかった音も少しずつ出せるようになって来たような気がします。自分の持っているものを最大限出すには体幹をきちんとして姿勢を良くしておくことが大切なのだなと思います。

姿勢を良くするということは力を入れて背すじを伸ばすということではありません。意識して力を入れなくても自然と良い姿勢になるというのが理想の形だと思います。

特に姿勢はピアノを弾く時だけ気をつけるのではなく、日常生活でも気をつけていると無意識でもそれができるようになってくると思います。

小さなお子さんに腹筋や背筋を鍛えろとか体幹を鍛えろというのは難しい話なので、せめて足はぶらぶらさせないようにしましょう。足がぶらぶらになっていたら踏ん張ることができないのでしっかり弾くこともできないですし、姿勢も悪くなってしまいます。

足を足台に乗せていたとしても猫背になっていたら意味がないので背中が丸まらないように、しかし反らし過ぎないように気をつけましょう。背すじを伸ばしましょうと言うと必要以上に背中を反らしてしまう子がいます。

私も反らし過ぎる傾向があるのですが、それはそれで腰に負担がかかってしまうので良い姿勢とは言いにくいと思います。反らし過ぎてしまう場合は反ってしまった分、お腹が前にグッと出ている状態になっていると思います。そのような場合は背すじをしっかり伸ばそうと思うよりは肩甲骨を寄せるようにしてお腹を背中の方に少し近づけるイメージを持つといいかもしれません。

無駄な力を使わず弾くには正しい姿勢が重要だと思います。その第1歩は足の支えからではないかなと私は思います。

足台の種類について

足台にはペダルがついているものとついていないものの2つがあります。前回のペダルの記事でも書いたのですが、ペダルを踏むのは自分で踏めるくらいの身長になってからでいいのではないかと私は考えています。

最近では初歩の教材でもかなり早い段階でペダルの指示が出て来たりしているような気がします。昔に出版されたブルグミュラー「25の練習曲」ではペダルの印がほぼありませんでしたが、現在出版されているものはペダルの印があります。

そこまでペダルを入れる必要があるのか?という疑問が私にはありますが、楽譜にペダルの印を入れるということは小さい頃からペダルを入れるのを勧めているということなのでしょう。

小さい頃からペダルに慣れたり、響きに慣れたりというのも良いのかもしれませんが、足台のペダルと実際のペダルとでは踏み心地に違いがあると思いますので、やはり最初から自分の足で実際のペダルを踏むことに慣れるというのが良いのではないのかなと私は考えています。

足台について上手にわかりやすくまとめてあるものがありましたので、リンクを貼っておきます。

https://www.yamahamusic.jp/shop/ikebukuro/event/kenban_otayori/piano-hojopedal_ashidai_assist_pedal.html

(2024年2月29日追記。↑リンク切れしていました。同様の内容はこちらから見れます。https://retailing.jp.yamaha.com/shop/ikebukuro/piano_digital-piano/piano-hojopedal_ashidai_assist_pedal

このページに載っているアシストペダル以外の足台を持っている(全く同じものではないかもしれませんが同じタイプのもの)のでそれぞれの良さが分かります。ペダルは実際に踏んだ方が良いと言っておきながら、実はペダル付の足台も持っています。(笑)

ここからは足台のそれぞれの良さについて書いていきたいと思います。(ペダル付の足台についてはあまり比較したことがなく、普段それほど使っていないので書きません。)


※↑AX-SZの後継のAX-RHです。

先ほどのサイトのピアノ補助台AX-SZと同じ形のものを持っているのですが、私が持っているものはこのタイプよりも古いもので横に目盛りがついていません。私の持っている足台はどこで止まるのかが上から見ているとよくわからないので合わせるのに苦労しますが、新しいタイプは目盛りがついているので困らなさそうですね!

このタイプの足台はしっかり止まっていないとグッと体重をかけた時に急に下がってしまうので、子供を足台に乗せる前に手で押してちゃんと止まっているのか確認をしないと危ないので気をつけて下さいね。

この足台はかなり高くできるので年少さんくらいの小さなお子さんでも足がぶらぶらになりません。足台に滑らないように生地が張ってあるので靴下や靴で上がっても滑りにくくて安全です。レッスンの時にはもちろん、発表会の時にも私は使っています。

このような点でこの足台はとても良くて私は高さを合わせる部分が取っ手になっているタイプのものと、回すタイプのものを1つずつ持っています。2つとも高さ的にはほぼ同じです。(ほぼ同じものを持っているのは2つの場所でレッスンしているからです。)



横長のピアノ椅子のように手でくるくる回して高さを調整することができる、補助台AX-50もあるようですね。このタイプのものは持っていませんが、先ほどのものよりも細かく調節ができるという点ではとてもいいですね!

合わせるのに時間がかかりそうなので、そこが唯一難点かなと思いますが、試してみたい足台ではあります。

個人差はありますが、これらの足台は小学3、4年生くらいになってくると1番低くしても足台が高すぎると感じるようになってくると思います。そうした場合にはピアノアシストスツールASS-Vの出番です。



この足台とアシストペダルを組わせて使用することが多いようなのですが、私は足台のみ使用しています。



先ほどのサイトの写真では木製の板の間にコマが挟まっているような状態になっていますが、コマを使わずに木製の板のみにすることもできるのでかなり低くして使うことができます。

先ほどの足台と違って足を置く幅がとても狭く、木製でできているため特に靴で使用すると滑ってしまうことがあります。座る時や立ち上がる時は足台から滑り落ちないように気をつけなくてはいけません。(他の足台よりも幅が狭いのはアシストペダルと組み合わせて使うことを想定して作られているからなのではないかなと思います。)

これ以外にも色々なものがあると思いますが、他のものもだいたい似たような形になっていると思います。

足台の場合はどのくらいの高さまで上げることができるのか、またはどこまで下げることができるのかをよく確認すればネットで買っても大丈夫だと思います。

ペダル付の足台の場合はピアノによっては合わないものもあるかもしれませんので、ヤマハなどの販売店に行って店員さんに相談しながら決められた方が良いと思います。販売店に足台が置いてあれば、実際にペダルに足台を設置してもらって試し踏みができるとなお良いですね!

足台は買わなくてはいけないのか


足台についてたくさん書いて来ましたが、自宅の練習用に必ず購入しなくてはいけないということではありません。今回書いて来たように専用のものはたくさんありますが、これらを絶対に使わないといけないという決まりはありません。

足がぶらぶらにならず、足を乗せてもつぶれないくらいの強度があって、危なくないものであれば何でもOKだと私は思っています。ご自宅にあるもので代用できるものがあればそれでも良いですし、良いものがなければDIYしてもOKですよ!

最近の100均にはいろんな高さの踏み台が売ってあるので、それが足台として使えるかもしれません。元々踏み台として作られているので安定していると思いますし、大人が乗っても大丈夫なように作られているものがほとんどだと思うので、耐荷重も気にしなくていいと思います。

幅がどのくらいあるかは踏み台によって違うと思います。幅がかなり広いのであれば踏み台に足を乗せてから椅子に座ったり、椅子から下りたりしても大丈夫だとは思います。幅があまりない踏み台だと足を滑らせて落ちてしまう可能性もありますので、椅子にまず座ってから足を踏み台に乗せるようにするなどの対策をするようにして下さいね。

今回は足台についてや姿勢について書いて来ましたが、いかがだったでしょうか?

力だけに頼らず、体を上手く使って弾けるようにするというのが今取り組んでいる私の課題です。まだまだ理解できていないことや習得できていないことがたくさんありますが、前よりも頑張りすぎなくても弾けるようになったので肩甲骨を意識することや姿勢を正すということは効果があるのだと思います。

先ほども書きましたが、足をぶらぶらさせないということが良い音を出す第1歩になると思いますので足元にも注目して疎かにしないようにしましょうね!

まとめ

◆足台は足を乗せても危なくないものであればピアノ専用のものではなくてもOK
◆足をぶらぶらさせないことは良い音を出すための第1歩
◆足を足台に置くだけでなく、姿勢にも気をつけよう



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