これまで音楽やピアノに関する記事を多く書いて来ました。ピアノについての記事では教本についてや弾き方、難易度、難易度順について書いてきたのですが、今回は初歩だけに焦点を当てて書きたいと思います。

年齢問わず初めて弾く方や始めたばかりの方を大きく捉えて初歩レベルと言うのだと思いますが、初歩レベルと言っても年齢によって弾ける曲のレベルは様々です。

今回はそんな初歩レベルの中でも小さな子供だけを対象にして書いていきたいと思います。具体的な年齢は3歳~5歳の幼稚園、保育園児です。

かなり焦点を絞っているので対象とした年齢以外の方々には全く当てはまらない記事となりますが、幼稚園、保育園の頃にピアノを始める方は実際多いので、今回はこのテーマで書かせて頂こうと思います。

■ 目次

ピアノは3歳から始めないといけないのか?


「ピアノとヴァイオリンは小さいうちからやった方がいい」という言葉を聞いたことがあると思います。

私もそうですが音大卒の人達の多くが3歳頃からピアノやヴァイオリンを始めています。しかし3歳から始めないと音大に入れないというわけではなく、5歳からや小学生になってから始めたという方もいらっしゃいますので始める年齢が全てというわけではありません。



以前ご紹介した本によるとピアノを弾くことで脳の構造が少し変化するようなので、本格的に音楽を学びたい場合やピアニストになりたいという場合には小さいうちからやっておく方が有利であるというのはやはり事実なようです。

ピアニストになりたいというのであれば、小さい頃から膨大の練習量を積み重ねていく必要がありますが、そうではなく趣味で楽しみたい(または楽しんで欲しい)というのではあれば、年齢は特に関係ないと私は思います。

ピアノを弾くという動作を続けることによって脳は少しずつ変化してくれるようなので大人になってから始めたとしても積み重ねればそれなりに弾けるようになっていきます!

3歳からすぐにピアノを弾けるようになるのか?


小学校に上がる前のこの年齢の子供はとても個人差があります。そのため3歳になったらこれができると言い切ることはできません。その子供さんによって様々で3歳でも器用に鉛筆を持ちしっかりと〇を書いたり、線を引いたり、文字をなぞったりできる子もいれば、鉛筆は持ててもしっかり握ることが難しく、薄い線しか書けない子もいます。3歳の場合は右手と左手がわからない子も多いです。

背丈がみんなそれぞれ違うように手の器用さや理解力もその子によって本当にバラバラです。3歳でもしっかりしている子も中にはいますが、それは上にお兄ちゃんやお姉ちゃんがいる場合がとても多いです。

この年齢ですぐに5線譜を見て音を読むというのは無理なので、歌を歌ったり、ドレミの並びを覚えるためにドレミの各音を体の位置に当てはめて体操のようなことをしてみたりします。

ピアノを弾くというのは大雑把に言ってしまえば指を1本ずつ動かすことで、指には親指側から12345というように番号がついています。番号で指を動かすというところから始めるのが1番簡単な方法だと私は思っているので、まずは1~5までの数字が理解できるようになってから習いに来て頂きたいなと個人的には思います。

ピアノを弾くというのではなくて、音楽を楽しませたいというのではあればリトミック教室へ行くというのも1つの選択肢だと思います。
https://www.eurhythmics.or.jp/whats/

リトミックの場合は3歳よりももっと早くから教室に通うことができます。リトミックは音楽を使いますが、大きな目的は人を育てるというものです。ピアノ教室のようにピアノを弾けるようになったり、楽譜が読めるようになったりというのが最優先の目的ではないということは理解しておいた方がいいかもしれません。

最近ではピアノ教室でもリトミックのクラスを設けていらっしゃる教室もあったりするようなので、教室を選ばれる時はホームページなどを確認されると良いかもしれません。

先ほど書いたように3歳の場合はやはりできることが限られてきますので、どうしてもリトミック的な要素は入れることになってきます。私もそうですが、多くのピアノ教室の先生がこの年齢のお子さんが習いに来られる場合は歌を歌ったり、カスタネットやタンバリンなどの楽器を使ったり、体を動かしたりとリトミック的な要素を含んだレッスンを試行錯誤しながらされていると思います。

このようなことをしつつ、指番号を見て正しく指を動かす練習をしたり、音を読めるようにしたり、5線譜を使って弾けるようにしたり、リズムを読めるようにしたり、同時進行でいろんなことをほんの少しずつ進めていきます。

理解が早い場合はどんどん進めていけますが、そうでなければわかるまでじっくり時間をかけてゆっくり進みます。

これはやってみないとわからないことなのですが、歌うのとリズムをたたくのは好きだけど、弾くのはイマイチ興味を示さない子もいます。(これは多分、自分が思っているように指が動かないということに原因があるのではないかと思います。)

3歳というとだいたいこのような感じなので、すぐに弾けるようになるというものではありません。

この年齢の特徴

このくらいの年齢の子供には共通してなかなかわかりづらいことがあるということをこれまで教えてきた中で気づきましたので、そのことについて書いていきたいと思います。

ドレミはわかるが、ドシラはわかりづらい

上がる時はドレミファソラシドと上がるというのはすぐに理解してくれるのですが、ドから下りてみてというと上がる時と同じようにドレミファソラシドと答える子がとても多いです。下りる時は反対になるというのはなかなか理解するのに時間がかかります。(これも個人差があってすぐに理解できる子もいます。)

これはドレミを体の位置と組み合わせて歌いながら教えるなどの工夫が必要です。下りる時はドシラソになるということを理解できていないと音読みにも影響してきますので、とても大切なことです。

右手の指番号はわかるが、左手の指番号がわかりづらい

指番号は親指側から123なのですが、右手と同じように左手も小指側から123だと思ってしまう子も中にはいます。これを間違ってしまうと指番号で指を動かす時などに大変なことになってしまうので、きちんと教えておく必要があります。

歌うときに音程が付きづらい

これもかなり個人差があって何にもしなくても音感の良い子も中にはいますが、多くの場合は音程がなかなか付きづらいです。

幼稚園や保育園児がみんなで歌を歌っているところを想像して頂くとわかると思うのですが、歌詞はしっかり歌っていても音程がしっかりついているとは言えない場合が多いですよね。多くの場合があのような感じです。

音程をしっかりつけさせるためには、音が高いのか低いのかを感じ取ることが大切で、自分が出している音がちゃんと合っているのか聴くということも必要です。

教材について

幼稚園児や保育園児に私が実際に使っている教材について書いていきたいと思います。



この教材は楽譜ではなく、指番号が書かれていて指番号通りに指を動かす練習をして、それを指定されている鍵盤から弾くというものです。指番号をしっかり理解させることができますし、音符を読まなくてもいいので、初めにするのに相応しい教本だと思います。

いろんな位置に手を置かせて指番号通りに動かすと全く無理することなくいろんな調を弾くことができるので、調の雰囲気の違い感じさせることもできると思います。



この本もおすすめです。この教本は右手、左手、両手の3冊に分かれています。(両手となっていますが、両手で同時に音を弾くことはありません。)

楽譜を見て音符やリズムを読んで弾くことにはなりますが、かわいい絵が描いてあり、歌詞もついているので歌を覚えるような感覚で弾くことができます。

歌詞で歌う→ドレミで歌う→弾く→仕上げに歌詞で歌いながら弾くというような使い方をすると音も読めるようになりますし、音程もしっかりつけて歌えるようになってきますので、とてもおすすめです。



この本の良いところはト音記号だけでなくヘ音記号も読めるように大譜表にしてあるところです。真ん中のドの音から上下に少しずつ音の範囲を広げてあります。

ピアノの場合はト音記号もへ音記号もどちらも読まなくてはいけないので、苦手意識ができないように最初から少しずつ読むようにしていくことが大切だと思います。そのように私は考えているので、上がる時はドレミ~で下りる時はドシラ~というのをしっかり覚えてもらう必要があるんです。



この本は連弾です。童謡などのよく知られている曲ばかりが載っていて、2巻まであります。右手と左手に分かれたメロディーを生徒が弾き、先生が伴奏を弾く形になっています。1巻、2巻とも最後の方は両手で弾く曲もありますが、ほとんどが片手ずつ弾く形になっています。

知っている曲ばかりですし、伴奏もつきますのでみんな楽しそうに弾いてくれます!連弾は2人が同じテンポで弾かないと上手くいかないので、ちゃんとテンポを守って弾くことの重要性に気づかせることできるという点でもとても良いと思います。

日本人はお箸を使うからなのか、欧米と比べると小さい頃から割と手先が器用な方なんだそうです。日本では3歳頃からピアノを習うというのはそれほど珍しくはありませんが、欧米では6歳くらいからなんだそうです。

いくら手先が欧米に比べると器用といっても、3歳では指を動かすのが精一杯の子がほとんどです。音が読めてリズムがわかっていれば、年齢が上がって指がもっと自由に動かせるようになったら自然と弾けるようになりますので、このくらいの時期では弾くことよりも音を正しく読むことやリズムを正しくたたくこと、正しい音程で歌うなどに重点を置いておいた方が良いように私は思います。

今回は3歳くらいの年齢の子の特徴やおすすめの教本などについて書いて来ましたが、いかがだったでしょうか?ピアノを習わせたいなと考えていらっしゃる方々の参考に少しでもなれば嬉しいです。

まとめ

◆3歳から5歳まではかなり個人差がある
◆この時期に重要なのは音を読むこと、リズムを正しくたたけること、正しい音程で歌えること



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